原案を撤回、修正案を上程“罰則”事実上適用せず
二百年に一度の大雨から県民の命・財産を守る「県流域治水条例」の原案が、十八日開会の二月県議会で取り下げられた。流域治水を「看板政策」とする嘉田知事は修正案を新たに提出し、今議会での成立を目指す。同条例案を巡っては、県民への不十分な説明と建築規制のあり方が問題視され、県議会で二回(九月、十一月)継続審議となり、対象地域の住民から激しい反発にあった。修正案を地元住民はどう見るのか、元虎姫町長の山内健次さんに聞いた。 (高山周治)
同条例案は、二百年に一度の大雨に備えて、三メートル以上の浸水深が想定される地域において、住宅などを増改築、新築する場合、宅地をかさ上げするか、近くに避難所の確保を義務付ける。許可なく建設した場合は、罰則として二十万以下の罰金や、五万円以下の過料を科す。
修正案では罰則について「当分の間、適用しない」とし、適用を事実上見送った。また、避難体制や地域指定に関して行政と住民が協議する「水害に強い地域づくり協議会」の意見を十分尊重することを確認した。
ただし、要望の多かった河川整備の推進については、従前の計画のうち平成二十六年度~三十年度分を抜き出した「五ヶ年計画」を策定したほか、浚渫(しゅんせつ)や草木の伐採などの維持管理費の積み増しにとどまった。
これについて旧虎姫町(長浜市)の元町長、山内健次さん(64)は、「罰則は実質ないと受け取っている。まだ十分ではないが、地域住民の意見を尊重してくれるならば真剣に議論できる。ただし、これまで手付かずだった姉川、高時川の河川整備が進むことが前提」と釘をさす。
両河川に挟まれた虎姫地域は、二百年に一度の大雨で水没が想定される県内約千戸のうち、約八百戸が集中する。背景には、高時川上流にある国の丹生ダム計画が定まらないため、県が高時川、姉川の河川改修計画を策定してこなかったことにある。
同ダムの方針については、国交省近畿地方整備局などが今年一月、「ダム建設は有利でない」と事実上の中止を打ち出した。これを受けて嘉田知事はこれまでの経緯を踏まえて、「ダムに代わる河川改修は国直轄でお願いしたい」と切り出し、これに対して近畿地整は「現行制度上、難しい」と難色を示した。
ダム計画中止の方針を受けて、県は新年度から両河川の整備計画を策定するとともに、国へ財政支援を求めるが、先行きは不透明だ。
山内さんは「ダム建設に慎重な嘉田知事がブレーキをかけた経緯があるのに、河川整備をできなかった責任を国に押し付けるのは理解に苦しむ。国と県の責任のなすりつけ合いで犠牲になるのは流域住民。県は河川整備をやるというなら、口約束だけでなく形で示してほしい。地域指定の協議はそれからでもいい」と、今後の動向を注視している。







