参議院議員 林 久美子
NHKの籾井勝人会長や経営委員の暴走が止まらず、公共放送としてのNHKが危機にさらされています。NHKと言えば、皆さんよくご存じの通り公共放送であり、その放送は私たちの受信料で行われています。当然、放送は公平で公正でなくてはなりません。
それにも関わらず、新たに就任した籾井会長は、就任会見という公の場で、従軍慰安婦問題や尖閣諸島・竹島問題について政治的に極端に偏った発言をし、特定秘密保護法についても「通ってしまったので、言っても仕方ないと思う」と述べ、公共放送機関のトップとしてその資質を疑わざるを得ない愕然とする発言を繰り返しました。放送法は第四条において、NHKを含めた放送事業者に「政治的公平性」を義務づけています。また「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」とも定めています。NHKの番組の編集権は会長が持っていることを考えれば、公共放送の会長として不適格であることは明らかです。
一方、会長を任命する経営委員会はどうなのでしょうか。経営委員は委員十二人で組織されており、任期は三年。同じく放送法第三十一条で「委員は、公共の福祉に関し公正な判断をすることができ、広い経験と知識を有する者のうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する」とされています。さらに服務に関する準則で「経営委員会委員は、日本放送協会の名誉や信用を損なうような行為をしてはならない」と明記されています。ですから、経営委員の使命は重く、公共放送の使命と社会的責任を深く自覚し高い倫理観を持って職務を適切に執行することが求められているのです。
しかし、経営委員の百田尚樹さんは「南京大虐殺はなかった」等と発言したほか、東京都知事選挙の応援演説で対立候補を「人間のくず」と非難しました。同じく経営委員の長谷川三千子さんは、少子化対策として女性が家庭で育児に専念し、男性が外で働くのが合理的という内容のコラムを新聞に発表し議論を呼んだほか、朝日新聞東京本社で一九九三年に拳銃自殺した右翼活動家を礼賛する追悼文を公表していました。このお二人はいずれも「二〇一二年安倍晋三総理大臣を求める民間人有志の会」の発起人であり、安倍総理と極めて近い方々。国会で同意人事を審議する際、私たち民主党は公共放送の中立性が脅かされる懸念があると考えて、このお二人について反対しましたが、自民党をはじめとする賛成多数で国会同意が成立してしまいました。しかし当時の懸念が、今や現実のものに…。
NHKの会長、経営委員会委員の問題は、国際問題にも発展しつつあります。実際に米国は、公共放送に大きな影響を与える立場にある会長や経営委員の極端に右傾化した態度や発言、報道の自由への侵害を、強く懸念しているとも伝えられています。前述したように経営委員は国会の同意人事です。安倍総理の任命責任も問われます。公共放送の危機。公共放送のあり方に象徴される日本の信頼を取り戻すために、国会論戦を通じて、会長の退任と経営委員としてふさわしくない委員の交代を求めていきます。






