管理栄養士集団 おいしく楽しく発信中
「患者さんを放っておけない」。そんな思いに駆られて、自分たちにできることは何かを模索している管理栄養士たちがいる。その名も、滋賀・奈良県の管理栄養士八人でつくる“びわこ腎臓病食研究会”(中村恵代表)だ。
全身の器官が働き続けられるよう▽老廃物や毒素の排泄▽水・電解質・酸アルカリの調節▽ホルモンの分泌と調節―の役割を担う腎臓。機能低下で人工透析を受けている国内患者数は三十万人を突破、糖尿病に続く第二の国民病とも言われている。
発症や重症化の抑止で重要なのは、腎臓に負担をかけない減塩・低たんぱく質の“食事”。この点を五十年近く患者に説き続ける腎臓内科医・出浦照國氏(昭和大学客員教授)の講演を聞き、中村代表が衝撃と感動を覚えたのが同研究会の始まり。
腎臓病患者にとって、食事療法は生命線である一方、栄養管理の難しさにストレスを抱えやすい。そこで、中村代表は仲間に声を掛け、一昨年七月から始めた“調理実習主体の講習会”(奇数月開催)で「調理しだいで簡単においしく、楽しく食べられる腎臓病食」があることを発信している。
透析導入を遅らせようと、兵庫県加古川市から通う工藤年生さん(69)は「仕事人間だったが、支えてくれる妻に楽をさせてあげたくて料理を覚えた。情報を知ることが自分のためになり、納得して実践もできる」と笑みをこぼし、妻・夢美さん(66)も「小旅行気分で楽しんで来ている。夫のように食事療法で誰もが自分の体を守っていけることに気づいてほしい」と話す。
昨年九月一日には“市民講座in滋賀”を初開催。患者や家族、管理栄養士ら約百七十人が、「自分の体の状態と病気の現実を受け入れることが正しい治療の第一歩。食事療法は一〇〇%患者が自分でやる治療」だとムチを入れつつ、腎臓病の食事療法の仕組みを力説する出浦医師の患者愛あふれる講演に聞き入った。
市民講座を機に、調理実習講習会への参加者も増加。中村代表は「多くの方が求めていたことを改めて知り、うれしさと責務を感じた。『一人じゃなかった』との感想も多く、患者さん同士の横のつながりや、スタッフも含めて同じ目線で学び合い取り組む中で生まれるものを大切に育み、共に前を向き歩んでいきたい」と語り、病への失望を希望に変える管理栄養士集団を目指す。










