三人の国会議員
万葉集で有名な額田王と大海人皇子(天武天皇)の相聞歌の舞台にもなった蒲生野、近江商人を生んだ進取の気性の風土、織田信長が天下統一を目指して築城した安土城など豊かな歴史と文化を育んできた東近江(近江八幡市、東近江市、日野町、竜王町)は、大津・湖南地域に次いで県内第二位の製造品出荷額を誇る地域でもある。そこで、三人の国会議員の皆さんに、同地域の将来ビジョンについて提言してもらった。
“国際バカロレア認定校”創設へ
参議院議員 林 久美子
東近江地域は滋賀県の中でも歴史、文化の豊かな地域であり、私を育んでくれた故郷です。合併を経て、能登川から永源寺という琵琶湖のほとりから木地師の郷までが東近江地域において一体となり、その豊かさは深みを増していると思います。
しかし豊かな東近江地域といえども、近年、少子高齢化という現実、さらには都会に企業が集中していく世の中の流れには抗えず、活力を再び取り戻すために甚大な努力をしなければならない時代を迎えています。
そんな東近江地域の将来に向けて、私は「国際バカロレア認定校」の創設を提案したいと思います。つまり教育を核とした地域発展を目指すということです。
人が集うためには、学校が重要だと考えます。企業誘致においても、家族で移り住んでいただくためには学校は重要なファクターになるはずです。今さら申し上げるまでもなく、世界は小さくなりました。人・モノ・カネは瞬時に世界を駆け巡ります。
そこで、この東近江地域から、世界で活躍する人材を送り出すのです。
国際バカロレア認定校とは、インターナショナルスクールの卒業生に国際的に認められる大学入学資格を与え、大学進学へのルートを確保するとともに、学生の柔軟な知性の育成と国際理解教育の促進に資することを目的として1968年に発足した国際バカロレア機構が認定している学校のことで、現在145カ国3,566校が認定されており(2013年5月現在)、近年、全世界で急激に増加しています。
こうした学校で学ぶことが出来れば、子どもたちはハーバードやケンブリッジといった世界の一流校にも入学しやすくなり、子どもたちの人脈は全世界に拡がり、世界で活躍する知性を身につけ、世界をリードする人材が東近江から育っていくことになります。子どもに特色ある最善の教育を受けさせたいと、学校を中心として人が集えば、必然的にその他の社会インフラは発展していくことになります。
また外資系企業がなかなか日本に定着しない理由のひとつに、家族で赴任して帰国した場合に、日本の教育制度では子どもが母国の学校の入学資格を得にくいという問題点があると指摘されています。
しかしバカロレア認定校があれば、母国の学校に入学できるルートが確保されることになり、外資系企業も安心して東近江に定着することができるのです。大きな企業が定着すれば、地域の中小零細企業にも仕事が行き渡り、雇用が生まれ、税収も増加し、行政サービスの質の向上にもつながります。
シンガポールが金融や教育、医療で豊かさを生み出しているように、東近江も世界に扉を大きく開き、教育を核とした地域づくりをしていくべきです。それが結果的に、人口の増加、産業集積率のアップ、豊かさの創出につながっていくのではないでしょうか。
2014年も我が故郷、東近江地域の将来のために、全力で頑張ります。本年もご指導ご鞭撻を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
「環境こだわり米」で攻めの農業に
衆議院議員 岩永 裕貴
石槫トンネルに続き、湖東三山スマートIC、蒲生スマートICがようやく開通しました。
これらは東近江地域の新しい玄関口として、産業・経済・観光・防災など多面的利活用を考える上で、大変大きな可能性を秘めています。このチャンスを活かし、エネルギッシュに、新しい発想で町づくりに挑戦しなければなりません。今まで、滋賀県では南北に予算が集中し、真ん中は少ない傾向にありましたが、これからは、新しい交通インフラを起爆剤に東近江地域を盛り上げ、引いては滋賀県全体の発展に繋げます。
また、道路と併せて鉄道の活用も重要です。特に、近江鉄道をはじめとする民間ローカル鉄道は、地域の方々の生活の足であり、出来る限りの支援が必要です。「びわこ京阪奈構想」についても、信楽高原鉄道の早期復旧がまず何より重要ですが、東近江地域と京阪神をつなぐ重要な交通アクセスですので、新幹線新駅と同様に未来に夢のあるプランとして、ぜひ検討すべきです。
今、日本は、TPP参加など競争力重視の自由経済を目指し、自由貿易圏拡大に舵を切っていますが、それにより農業が壊滅的打撃を受ける事があってはなりません。経済のグローバル化の流れの中、自由貿易圏の拡大は日本にとって「生きる道」である一方、農業は国の基です。この二つのテーマーを両立させるのが政治です。
先の臨時国会では、農地中間管理機構法案が通りました。農地を集約し、生産を効率化し、価格競争力を高めるものですが、TPP参加や米の生産調整の廃止など、農政の大転換において、実際に大きな影響を受ける農家の皆さんを蔑(ないがし)ろにした農政を進めてはなりません。とにかく現場、現場の皆さんの声が大切です。
農業は単に食料自給で語られるものではなく、緑のダム・地域の自然や風土・文化等、多面的機能や日本人の息づかいの場として評価されるものであり、TPPにより壊滅する事はありません。今、経団連とJAが農産物輸出拡大や生産性向上などへ連携をとる動きがありますが、これはまさに打って出る新しい農業の始まりです。
この東近江地域は「環境こだわり農業」のメッカであり、こだわり米をはじめ野菜や果実は、今、全国から注目される地域です。「打って出る農業」を、この東近江から始めましょう。
地域医療においては、一時期の医師数の激減も、徐々に改善されましたが、やはり産科医を中心とした医師・看護師の確保は、依然大きな課題です。急激な高齢化の現状も踏まえ、幅広い初期診療が行える家庭医を育成し、在宅医療や在宅看取りの充実を図ることが必要です。そして、治療から介護まで医療・福祉が切れ目なく連携し、病気になっても、年をとっても、安心して暮らせる町づくりを目指します。
先の臨時国会で交通政策基本法案が通り、交通に関する基本理念等が定められました。これらの将来ビジョンにおいて、新しい交通インフラを最大限活用し、東近江地域の各市町が、それぞれの歴史文化や特性を理解し、観光・産業・経済・医療・防災など全ての分野において広域で連携した町づくりをすることが必要です。
歴史文化の香り高く勤勉実直な人々、自然災害が比較的少なく古来より日本の発展に大きく関わって来たこの東近江地域の将来を、皆さんと共に創って参ります。
災害に強いまちづくりを
衆議院議員 武藤 貴也
国会議員は「国全体の利益(国益)」を考えることが最も大切であるが、それと同様に「地域代表的な性格」も有している。今回はその地域代表的な観点から、この東近江地域の将来ビジョンについて私なりの見解を示してみたい。
昨年、滋賀県においては台風18号という大規模な災害に見舞われた。従来、滋賀県とりわけこの東近江地域は災害に強い地域であると言われてきたのであるが、必ずしもそうではないことが証明されてしまった。全国的に見ても、東日本大震災や南海トラフ地震、伊豆大島の台風被害等、これからの地域発展には「災害に強い」まちづくりの観点が必要不可欠となる。ただ、「防災的視点」だけの政策ではなく、同時に「経済的視点」をも満たす発展ビジョンこそがこれからの東近江には求められている。
そういった中で、私は国会議員という立場からも「道路・交通インフラの整備」が最優先課題であると考えている。多くの方々がその必要性を論じられているように、「国道1号線・8号線の整備」、「蒲生・湖東三山スマートIC周辺整備」、石榑トンネルにつながる「国道421号線整備」、また兼ねてより私自身もその必要性を論じてきた「名神名阪連絡道路」、またリニア新幹線や北陸新幹線開通に伴う東近江地域での「新幹線新駅」の構想等、交通インフラの充実は健全な地域発展には欠かす事が出来ない。円滑な物流環境がなければ企業の発展に貢献できず、また観光客誘致にあたって交通網の充実は必要不可欠である。
また、こうした交通インフラの充実は経済的価値とともに「防災的価値」が非常に高い。例えば、昨年の台風18号では県内主要道路の多くで冠水・土砂流入または道路陥没等により、一定期間交通機関が麻痺する事態が発生した。救援物資の輸送や災害救助支援といった災害時の支援体制を構築する場合、交通インフラが生命線となる。
また、近い将来発生すると言われる南海トラフ地震についても、もしも発生した場合、東近江地域は中部圏に近いこともあり、救助応援や支援物資の輸送、さらに避難者の受入れと医療支援といった、近畿圏と中部圏における広域的な防災的価値が求められることとなる。まさに東近江地域は、近畿圏ならびに中部圏において、経済的・防災的に中核都市になりうる可能性に満ちている。
国会議員としての私の役割は、一地方のみの視点だけではなく、近畿圏・中部圏といった広域的視点、また日本全体の視野で国民全体の利益となる政策を取捨選択するということであると考えている。
国道といった他府県にまたがる交通インフラ充実については、とりわけ国会議員が積極的に行動を起こしていかなればならない。昨年の台風18号の災害指定や信楽高原鉄道復旧についても、現地視察の他に支援要望についても県や関係省庁に足繁く通わせて頂いた。「災害に強い日本」づくりは始まったばかりである。私自身まだまだ微力ではあるが、東近江地域ならびに滋賀、日本全体の為、これからも愚直に取り組んでいきたい。









