800戸水没想定の長浜市虎姫地域
県議会で継続審議となっている「県流域治水条例」案について、県はこのほど、住宅などに対して建築規制をかける「浸水危険区域」に見込まれる長浜市虎姫地域で説明会を行った。県側は担当部局の職員のほか、嘉田由紀子知事が出席して理解を求めたが、参加した住民からは「河川改修からまず手をつけるべき」などと、条例案制定を急ぐ県に対して激しく反発する声が相次いだ。【高山周治】
住民「なぜ事前説明なかった?」と不信感
嘉田知事「ボタンのかけ違い」を陳謝
同条例案は、二百年に一度の大雨に備えて、三メートル以上の浸水深が想定される「浸水危険区域」において、住宅などを増改築、新築する場合、かさ上げをするか、近くに避難場所の確保を義務づける。県内の対象家屋は約千戸で、虎姫地域には約八百戸が集中する。
説明会には住民約百三十人が参加し、「昨年二月県議会で可決された基本方針で、『条例の制定に当たって県民への説明を十分行う』とあるのに、それをせず九月県議会で制定したのは議会軽視だ」「県民の命と財産を守ると言いながら、なぜ前もって関係住民への説明がなかったのか」などと、不信を募らせた。
これに対して嘉田知事は、気候温暖化で水害の危険性が高まっているのを受けて、「早く対策をとらないといけない所もある。ボタンの掛け違いについては謝りたい」と陳謝した。
また、虎姫地域で八百戸もの水没家屋が見込まれるのは、国営の丹生ダム事業(長浜市)が定まらないのを理由に、県が天井川の高時川、姉川の河川整備計画を策定してこなかったことが原因の一つとなっている。また、嘉田知事はダムの凍結・見直しを掲げて当選し、これが契機になってダム計画が棚上げとなっていった経緯もある。
このため住民からは「知事はダムをやめて、河川改修を間違いなくやると言っていたのに、約束を放置して、条例を出してくるのは知事の人柄を疑う。県民をだまして改修すると言っても信用できない」「川底の堆積土砂の浚渫(しゅんせつ)を十年以上、県へ要望してきたが、土砂処分地を自治会で確保しないと実施できないとして、まともな対応がされてこなかった」などと厳しい批判が上がり、「まず条例の前に河川改修をすべきだ」と、約束の履行を迫った。
これに嘉田知事は「ダムは国が検証中だ。改修については堤防強化、浚渫すべき個所はするし、河川整備計画も出す。(川の中と外の)多重防護で最悪の事態を防ぎたい」と弁明しつつも、自説を主張するばかりだった。







