河川改修よりダムが必要!?
◇全県
嘉田由紀子滋賀県知事など関西の四府県知事が建設に反対して計画が凍結されている淀川水系の「大戸川ダム」(大津市)をめぐり、地元住民の間では、進まない県の河川改修や国のダム検証に、いらだちが募っている。【石川政実】
台風18号による大戸川流域の浸水被害に関し、国土交通省大戸川ダム工事事務所はダムがあった場合、約六百七十万立方メートル(京セラドーム大阪の約六倍分)の雨を貯水でき、下流への流量も低減されるとし、大戸川の水があふれる「越水」で起きた浸水面積は約八十六ヘクタールから七ヘクタール(九割減)、浸水戸数は六十戸から十七戸(七割減)になったと試算した。
これに対し、嘉田知事は浸水被害が大きかった石居橋周辺について「(支川の)古川の逆流で被害が集中したが、ダムができても逆流が起こるのに、試算にはこれの浸水被害が入っていない」とかみついた。
大戸川事務所では「試算は大戸川そのものの越水についてのものであり、支流は含まない前提の資料」と反論している。
嘉田知事は、百年に一度の豪雨よりも、まずは十年に一度の豪雨に備えて河川改修を行った方が現実的との方針を打ち出した。
このため県では、大戸川の河川整備計画をこの春に策定。同川の黒津地点の流量を毎秒五百五十立方メートルに改修して、アップするとしている。
しかし今回の台風18号では、大戸川ダム事務所(ホームページ)によると、黒津地点は降雨で毎秒七百四十立方平方メートルになっており、県の河川改修(毎秒五百五十立方メートル)では、対処できずに越水する。つまり台風18号クラスがやってきたら、県の河川改修では浸水被害が防げないだけに、ダムの重要性が高まってきているのだ。
ダムに詳しい自民党県議は「ダム事務所は、ダムが整備されていたら、浸水面積九割減、浸水戸数七割減と言っているが、被害の完全解消にはなっていない。今回の台風18号でダムができた場合、貯水容量の三分の一(六百七十万立方メートル)しか使用していないと言っている。それでは残った空き容量(図参照)を利用して、ダムの最大放流量を大幅に減らせば浸水被害はさらに減らせる」と指摘。
ダム凍結後の平成二十三年一月に、国が関係自治体らと第一回のダム検証を行なっただけで、それ以降、国は一度も開いていない。
地元住民は「検証中に再度、洪水が来たらどうするのか。県も国も、もっとスピード感を持って早期の河川改修やダム検証を実施すべきだ」と憤っていた。







