県市長会が県の治水に大胆提言
県市長会(会長=冨士谷英正・近江八幡市長)は十二日、県に対し「県の治水政策の課題」について提言を行った。同提言は▽国が行っている丹生(長浜市)、大戸川(大津市)の両ダム建設事業検証の早期完了に向け、県は方針を明確に出すべき▽台風18号で瀬田川洗堰(あらいぜき)が全閉されたが、大戸川ダムは全閉解消の選択肢になる▽洗堰操作の見直しによる治水安全度の向上―など四点。県の「県流域治水条例案」の限界を見据えた提言であり、下流府県からも注目を集めそうだ。【石川政実】
もし丹生ダムが中止になった場合
下流府県市の利水撤退責任も
ダム検証で県が役割を
提言では、丹生ダム建設事業(注1)の遅れにより、高時川や姉川の河川整備など治水対策が大幅に遅延し、地元では不安を募らせている。
国はダム検証を行っているが、「検証の早期完了に向け、検証に至った経緯から、県が方針を示すべき」としている。
検証の結果、ダムの代替として河川改修案になった場合は「姉川・高時川の治水対策の主体が現行制度上は県となる。それに伴い県の財政負担が増加し、県内の他の河川整備を一層遅らせることが懸念される。利水から撤退する下流府県市の責任も明確にする必要がある」と指摘。
全閉解消に大戸川ダム
九月の台風18号の豪雨で、瀬田川洗堰が四十一年ぶりに全閉された。台風18号時の琵琶湖基準水位(注2)がマイナス三十センチだったのが、洗堰全閉操作の影響もあって、水位がプラス七十七センチと約一メートルまで上昇した。全閉の影響は数センチ(半日)の水位上昇とされているが、「仮に大戸川ダムがあればこれを抑制できたのでは」と大戸川ダムの有効性を示唆している。
また洗堰操作については、「九~十月の洪水期の水位が基準水位マイナス三十センチとなっているが、これは下流の水需要を前提に設定されたものだ。大戸川ダム、丹生ダムに関して下流府県からは、利水需要はないとの見解が出されており、今後、琵琶湖からの利水も含め再精査して、漁業などに配慮しながら琵琶湖水位を下げ、治水安全度を高める検討も必要」とした。
県市長会経済部会長の山仲善彰・野洲市長は「県の流域治水条例案は、琵琶湖から上流しか視野に入っていない。しかし治水は、琵琶湖の上下流を視野に、ダム問題も含めて考えなければならない」と話している。
(注1)丹生ダム=長浜市の高時川上流で昭和六十三年から建設に着手されたが、嘉田知事の登場などで現在は凍結し、国がダム検証を行っているところだ
(注2)琵琶湖基準水位=大阪湾平均干潮位基準で、プラス八十五・六一四メートルの高さが琵琶湖基準水(B・S・L・)=ゼロメートル= と定めている







