県の不作為に怒り
台風18号の影響で深刻な水害が発生した大津市の大戸川下流域で、嘉田由紀子知事らが事実上凍結した大戸川ダム(大津市田上牧町)が完成していた場合、浸水面積は九割減少していたことが国交省近畿地方整備局の同ダム工事事務所の試算で分かり、地元住民で構成する大戸川ダム対策協議会はダムの早期建設を求めて二十五日に知事に要請を行う予定だ。そこで、同協議会会長の元持吉治さん(62)に緊急インタビューした。(聴き手・高山周冶)
大戸川ダム対策協議会長の元持吉治さんに聞く
台風18号水害「初めて見る光景に恐怖」
大戸川ダム対策協議会など地元住民で構成する三団体は十九日、衆院一区選出の大岡敏孝衆院議員(自民)に対して、ダムの早期建設による抜本的治水対策を求める請願書を提出した。これに続いて二十五日には嘉田知事へ要望する。
同地域では、昭和二十八年に流域一帯で死傷者百七十七人以上を出すなど、洪水被害に度々見舞われてきた。 昭和五十三年にダムの実施計画の調査が着手され、大鳥居地区などの住民が苦渋の決断の末、移転した。しかし、平成二十年十一月の嘉田由紀子知事ら滋賀、京都、大阪、三重の四府県知事が凍結で合意したのを受け、国は二十一年三月に当面凍結すると発表した。
ところが、先の台風18号が直撃した九月十六日、大戸川沿岸を見回った。濁流の勢いで道路が崩壊し、田んぼは氾濫(はんらん)で冠水し湖のようになっていた。
元持さんは「民間バスの車庫付近は、社員が高台にバスを移動させた後、あっという間に冠水した。生まれて初めて見る光景に恐怖を覚えた」と振り返る。
被害は、同市と県大津土木事務所によると、同市石居の石居橋上流や堂一丁目などで護岸欠損十三か所、建物の浸水被害は床下・床上を合わせて六十一戸に上った。
大戸川ダム工事事務所が行った、同ダムがあった場合の被害予測では、浸水被害が発生した堂村橋付近では約一・四メートルの水位を低下させる効果があるため、浸水面積は今回の八十六ヘクタールより九割減の七ヘクタール、浸水戸数は約七割減の十七戸にとどまったと、被害推測している。
この被害予測を知った元持さんは「ダムさえあればこれだけの洪水にはならなかった。ある意味で嘉田由紀子知事らの責任だ。計画が策定されて四十年近く経つが、(計画が進まず)ずっと不安の中で生活している」と、国と県に翻弄(ほんろう)された悔しさをにじませた。








