滋賀県議会議員 木沢 成人
先月の台風18号は湖国滋賀に「数十年に一度」と言われる豪雨をもたらし、県内各地に大きな被害を及ぼしました。そして新たな脅威として台風27号が、この稿の執筆時点(10月19日)で、また我が国に近づいております。
台風災害では、多くの農地が冠水し、農作物に多数の被害をもたらしましたが、その一方で、農地は多くの水を受け止め、住宅地等の浸水被害を防いでくれました。
この「治水・洪水防止機能」が農地の持つ「多面的機能」の一つであります。農地の「多面的機能」は他にも「地下水涵養機能」「土壌流出防止機能」「気温調整機能」「生態系維持機能」など様々ありますが、いずれも本来の「農産物生産機能」に付随して、我々の生活を豊かにしてくれます。農地にはそれほどの価値があるのです。
先の6月定例議会で、私は、滋賀県における農地の「治水・洪水防止機能」の金銭的評価について知事に質したところ、知事からは「国の試算に基づいて、県内の水田・畑の面積にあてはめると、年間約600億円の効果がある」との回答を得ました。本年の河川関係公共事業県予算が、国による補助事業併せて70億円程度であることを考えると、いかにその効果が大きいことが、お解り頂けると思います。
9月定例議会で継続審議となった「滋賀県流域治水の推進に関する条例案」では、この「治水・洪水防止機能」を発揮させるために、農家や農地所有者に「農地を保全する」義務が課されております。しかしながら、その受益を受ける、非農家や都市住民については、対価としての負担が求められるわけではありません。これは果たして公平でしょうか?
アスファルトに覆われた街に住まう県民が、レジャーや買い物に出かける休日、県内の農業地域の必ずどこかでは、農地を保全・維持する為に、地域住民が汗を流して田畑の草刈りをし、農業用水路の泥上げ作業を無償で行っている事にも、街の住民の方は理解を深めて頂きたいものです。
継続される事となった条例案の審議においては、この農地の「多面的機能」について、さらに議論を深めていきたいと思います。






