衆議院議員 武藤 貴也
この度台風18号の被害に遇われた方々に心からお見舞いを申し上げます。
私自身、現在、内閣府の災害対応担当者と協議を終え国交省、農水省、中小企業庁などとも協議をすべく、一刻も早い復興・復旧、今後の防災・減災に向け取り組んでいる。そしてこの機会に「治水政策」について考えてみたい。
近年の治水政策は、田中康夫元長野県知事の「脱ダム宣言」、嘉田知事の「流域治水」等、様々な混乱を見ているように思う。「脱ダム宣言」とはダム建設を利権の巣窟として槍玉に挙げ全て中止しようというものであり、「流域治水」とは水を川に閉じ込めるのではなく、洪水を前提とし流域全体で遊水地の活用、建物の嵩上を行い、ダムに頼らず洪水に耐えようとする政策である。
確かに、これら問題提起は治水政策を考える上で重要な点を含んでいる。しかしながら、そもそもこれらはダム建設と必ずしも相反するものではない。一つ目に、ダム建設と利権問題は、ダムではなくダム建設をめぐる「利権」そのものが悪であり、利権を無くす努力が必要なのである。2つ目に、ダム完成に時間を要しその間災害に対応できない点、またどんなに備えても治水能力を超えた「超過洪水」の可能性がある点、これらに関しても、ダムそのものを否定している訳ではない。これこそ「流域治水」という考え方を活用してダム完成まで洪水に耐えうる政策が必要である。環境問題や周辺住民との問題についても、あくまでも話し合いを重ね様々な角度からの検証を必要とするものである。
今、現実論として「脱ダム」や「流域治水」が不十分であることが証明されてきている。現に、台風18号による大戸川氾濫や瀬田川洗堰全閉は、嘉田知事により凍結された大戸川ダムがあれば緩和された可能性がある。皮肉にも田中元知事が落選したのは、06年に長野県を襲った集中豪雨で諏訪湖・天竜川流域で死者が出る災害が発生し、有権者の信頼を失ったことが原因の一つと言われている。
いずれにせよ私がここで結論として言いたいのは、治水は河川によって様々な事情があり、「脱ダム宣言」や「流域治水」のようにダムを否定し、治水政策を一括りにすることは困難だということである。
(後編につづく)






