がん化進めるDNA酵素を抑制
◇大津
滋賀医科大学はこのほど、京都府立医科大学とジーンケア研究所との共同研究により、細胞のがん化を進めるDNA損傷修復酵素を抑制する革新的ながん治療法(とくに頭頸部)を開発し、米国の科学雑誌「Cancer Research(キャンサー リサーチ)」で発表した。
がんの中でもとくに頭頸部(口から喉元)の現在の治療方法は抵抗性である上、外科手術などにより発声や呼吸、嚥下(えんか)などの機能障害、見た目の問題も大きく、患者の大きな苦痛、障害を伴っている。
今回の研究は、なるべく切除部分を小さくすることで、患者の機能障害を抑えようとするもので、がん細胞の増加原因となるDNA損傷分子の機能を抑制することで、がん細胞を細胞死させる。
正常な細胞であれば、何らかの原因(紫外線、放射線、化学療法)でDNAが傷つけられた場合、正常な細胞に修復できるかどうかチェックする機能が働き、修復できない損傷の場合はそのまま細胞死させ、生体の正常な状態を保っている。
しかし、がん細胞が増殖する場合は、このチェック機能が破綻し、常にDNAに損傷を残したまま増殖を繰り返し、がん化へ誘発している。この際、がん細胞(とくに頭頸部がん)は、DNA損傷修復分子を活性化させ、損傷DNAを一部修復させながら増殖を続けている。
この傾向に注目した共同研究グループは、DNA損傷修復分子の一つであるRecQDNAヘリカーゼをsiRNA(RNA干渉)技術で抑制し、DNA修復機能を破綻させ、細胞死を誘導した。
この研究はすでに、マウスやサルを使った実験で有効性、安全性が確認されている。同大学は今後、臨床への適用に向けて、京都府立医科大学と共同で進めていくとしている。





