昭和17年の肉筆日誌よみがえる 合同演習、射撃訓練、師弟の交流…
◇大津市
大津市螢谷の筈見時男さん(84)は、県立八幡商業学校(現・県立八幡商業高校)の在籍当時にしたためていた、臨場感あふれる漫画入りの日誌を製本し「昭和十七年、戦時学生の日誌」(税別二千四百円)としてサンライズ出版(彦根市)から発刊した。戦中の学生生活を知る貴重な一冊だ。
県立八幡商業学校では当時、教育の一環として日誌を義務づけていた。筈見さんも入学時から卒業までつづっていたが、転居などの理由で五年生時(当時十六歳)の昭和十七年六月二日から十一月二十二日までの約六か月間分のみ自宅で保管していた。
まずページをめくって目に飛び込むのは、「のらくろ」の田河水泡顔負けの色鮮やかな漫画の挿絵。この工夫は筈見さん独自の発想で、職員室で人だかりができるほど注目されていたという。
日誌からは、二日間にわたる他校との合同演習、射撃訓練など戦時を色濃く反映した行事のほか、教師と生徒の交わり、学業への奮闘など、ありのままにつづられ、加えて躍動感あふれる漫画からも、等身大の当時の学生像がうかがえる。
通学で乗降していた近江八幡駅では、ホームに入る汽車に多くの白衣の傷病兵が乗っているのを見て、筈見さんら学生は「直ちに尊敬と感謝の敬礼を為し」、ホームに居合わせた利用客、沿線の田んぼの農夫らも仕事の手を止め、「心から頭を下げた」と時代の雰囲気が伝わってくる。
筈見さんは「戦前を知る人の多くは亡くなってしまい、記憶が風化しつつある。当時を知らない人には、戦前・戦後の先人の努力・苦労の上に現代の繁栄があることを知ってほしい」と話している。







