県遺族会はホッと安堵の表情 東近江市の既存施設推薦が焦点に
◇全県
嘉田由紀子知事は先の九月定例県議会一般質問において「東近江市が既存施設の推薦を決定すれば、平和祈念施設整備基金を活用して、同施設の早期整備を行う」と答弁したことで、市や県遺族会の関係者は、ほっと安堵の表情を浮かべている。いよいよ焦点は、同市がいつ既存施設を推薦するのかに移ってきた。【石川政実】
先月二十八日に開かれた九月定例県議会一般質問で、木沢成人県議(無所属)が「厳しい財政下にあって、平和祈念館の早期実現をどのように進めていくのか」と県の方針をただした。
これに対し、嘉田知事は「東近江市内の既存施設を活用して整備を進めるため、現在、同市に候補となる既存施設の推薦をお願いしている。同市は、市内の複数の公共施設の中から、比較検討をされており、今後は関係機関や地元との調整を図りながら候補施設の決定がなされることになっている。この決定を受け、平和祈念施設整備基金を有効に活用して早期に整備を進めたい」との答弁を行い、市や県遺族会の不安が払拭(ふっしょく)された格好だ。
県は厳しい財源不足が見込まれるため、来年度の予算編成に向けて、「東海道新幹線新駅課題対応基金」(約四十億円)など特定目的基金を廃止し、一般財源化する方針を打ち出しただけに、平和祈念施設整備基金(約五億円)も一般財源化されるのではと関係者の間で不安が広がっていた。
県民の戦争体験を風化させず、次世代を担う子どもを始め、広く県民の戦争の悲惨さと平和の尊さを学び、平和を願う心を育む場として、県では平和祈念館(仮称)の整備を計画してきた。平成五年度から資料収集に着手し、二十年度末現在で戦争当時の資料が二万三千九百五点、体験者の証言が一千二百十二人になっており、大津市内の厚生会館内で仮保管されている。
また今年度の県予算では既存施設活用調査費として四百万円を計上。これは同市に二~三の既存施設から一つを推薦してもらい、既存施設を活用した施設整備プランを作成しようとするものだ。しかし肝心の市が既存施設の推薦を決めかねている状況だ。
市企画課は「六、七月に施設を推薦する方針だったが、正直、決めかねている。最悪でも今年度内、出来れば年内に解決をつけたい」と苦しい弁明。
一方、県遺族会の松井尚之会長は「嘉田知事が平和祈念館の基金を活用して整備することを明言されたことは高く評価したい。遺族会としては、市に早く既存施設を決定してもらい、早期に施設整備に着手して、県民から集めた収集資料が日の目を見るよう願っている」と話している。市の一日も早い推薦決定が待たれるところだ。






