文化行政に一石投じる
◇全県
どの地方自治体も厳しい財政事情の中、ばっさりと事業費を削るのが文化施策である。まさに「文化」は氷河期といえる。これは、滋賀県とて無縁でない。県立芸術劇場びわ湖ホールなどもそのひとつだろう。
昨年三月にびわ湖ホールの館長を退任するまで滋賀県庁で三十年にわたり、県立の図書館、美術館、陶芸の森、びわ湖ホールなど文化行政にかかわってきた京都橘大学教授の上原恵美さんはこのほど、滋賀の文化行政の歩みを『次世代への贈りもの』(発売・サンライズ出版)として一冊の本にまとめた。
読んでみて驚かされるのは、県の文化行政に連綿と流れる“滋賀の志”の高さである。「文化不毛の地」とまで言われた滋賀県において、美術館、びわ湖ホールなどを、超一流の芸術性へと高めたのは、上原さんの心意気があったればこそ。だが、県財政がひっ迫する現状では、もはや「文化」も聖域ではなくなった。いかに「持続可能な文化行政」が可能かのヒントを与えてくれる一冊である。(石川政実)






