ハンマー投げ選手 森本さんが記念講演
◇東近江・竜王町
昨年トルコで開催された“第1回世界ろう者陸上競技選手権大会”で金メダルを獲得した筑波大学体育専門学群四回生・森本真敏さん(23)=竜王町山之上=が九日、竜王中学校の「人権集会」で記念講演を行い、どんな苦労が伴っても夢をあきらめない強い心を持つことの大切さを全校生徒四百十六人に伝えた。
講演テーマは、「私のメッセージ~ハンマー投げを通して~」。手話通訳者を通じて語り始めた森本さんは、県立聾話学校以外で同年代の人と野球を通して交流を深めた小・中学校時代を振り返り、「両親の『あきらめてはいけない』という励まし」が苦難を乗り越える支えとなったことを明かした。
志望校に落ちプロ野球選手になる夢を断念した高校時代に、人生の転機となるハンマー投げと出会い、県大会優勝やインターハイ出場など練習と実績を積み重ねる中で、聞こえる選手と同等に戦える自信を得た。
金メダルを獲得した世界ろう者陸上競技選手権大会の映像を紹介しながら、森本さんは「ろう者によるスポーツ大会は、まだまだ有名ではなく観客も少ない」と指摘。
さらに「今日は知ってほしいことがある」と切り出し、自らの先天性高音難聴について「電車の線路上に立ち、通過したときにやっと分かるような重い障害。耳からの情報が得られない世界は、ひとりぼっちのような感覚になる」と語った。
しかし、ハンマー投げの技術指導を依頼されたことで「僕にとってしゃべることは大変だけど、相手と声でも話していこう」と新たな一歩を踏み出すきっかけをつかみ、「話す相手と何か一つでも共通点があれば、しゃべる大変さを感じないことを知った」という。
「声での会話に比べて手話などによる会話はスピードが遅いけれど、聞こえないからといって話せないわけではない。聞こえない人は相手の表情すべてから気持ちを理解するので、顔と顔、目と目を合わせて話し、最後まで伝えたいという気持ちを持って接してほしい」と訴えた。
生徒たちは拍手を表す手話を習い、森本さんにお礼の気持ちを表現。講演後、三年生の西村亜弓さんと安田実加さん、菱田美嘉さんは「やさしそうな人だなと思った。途中で夢が途絶えたのに、ハンマー投げで優勝できるまで努力し、がんばっているのはすごい」、また西津里香さんは「試合に観客がいなくて、悲しいなと思った」と話していた。
今後、二十日に竜王小学校、二十一日に竜王西小学校でも、森本さんの記念講演が行われる。







