梅栄堂「手作り感」に注目
◇東近江・竜王町
「手作り感が伝わってくるところに魅力がある」と語るのは、香づくりの老舗“梅栄堂(ばいえいどう)”の中田恭三朗営業本部長。竜王町鵜川にあるやまびこ作業所(寺田孝明施設長)の陶芸班が作る香皿と香立てが、同社の海外向けセット商品に採用された。国内市場から世界市場へと飛び出した“やまびこブランド”に注目が集まる。
梅栄堂は、香木輸入の中心地だった堺(現大阪府堺市)で、室町時代に薬種問屋を営み、明暦三年(一六五七年)から線香・香類専門の商いを始め、香づくり一筋に三百年以上歩んできた老舗。
やまびこ作業所が以前から取り引きしている京都の企業を介して、陶芸製品を知ったという。同作業所陶芸班四人は、十~十五年のキャリアを持つベテランばかり。毎年人気の高い縁起物など心を込めて一点一点作り上げる製品からは、独特のやわらかさと温かみがにじみ出る。
大量生産では表現できない「手作り感」。この点に着目した梅栄堂は、世界市場をターゲットに考案した海外向け商品に、陶芸班オリジナルの香皿と香立てを詰め込んだ。
同作業所に発注されたのは、黒のモダンな干支の香皿と小さくて愛らしい香立て一万個。納期に間に合わせるため、陶芸班メンバーは分業制で作り続け、一カ月で完成させた。
昨年夏、北米最大の日用品ギフト見本市“ニューヨーク・インターナショナル・ギフト・フェア”にセット商品が出品され、梅栄堂によると海外のバイヤーからも評判が良かったという。
不景気のあおりを受け、全国各地の共同作業所が取り引き企業探しに奔走する中、世界市場へとつながる一筋の道。
陶芸班担当の島田和典支援員は「香立ては工程がはっきりと分かりやすい作業。一万個もの発注を受けたことで、障がいの重い人たちの仕事の幅が広がり、達成感につながった。何よりも一般企業と同じ扱いで、商品価値そのものを認めてくれたことがうれしい」と語り、陶芸班のみならず同作業所で働くすべての人に自信と希望を与えた。
今後、梅栄堂は海外向けに開発したセット商品を定番商品として販売する予定で、同作業所陶芸班も受注に胸を膨らませながら、もくもくと独自性また品質向上を追究する。







