国立滋賀病院 VS 湖東記念病院
1次と2次の医療業務を分担
滋賀報知新聞(ニュース)平成13年1月3日(水)第12516号
動き始めた竜王リゾート
=年間入場者数340万人のビックプロジェクト=
西武鉄道(堤義明会長、東京都)が進める竜王リゾート開発事業(竜王町薬師)は、今年から本格的な環境アセスメント調査に入る。
県環境影響評価審査会(会長・宗宮功京都大教授、二十人)は、同社が昨秋に提出した計画について検討を加え、今月中にも国松善次知事に答申する。これを受けて同社は、平成十五年度末までに大気や河川、生物などにわたる環境アセス調査を終了し、十六年六月に着工、十九年一月の完成を目指す。
いよいよ実現に向けて動き始めた事業と、経済効果に期待する地元に迫った。
同事業は、名神高速・竜王インターをはさむ南北約二百五十ヘクタールの同社所有地に大規模な娯楽施設を建設するもの。計画書に
(竜王インター周辺)
残る南側の二期計画については、「今後の経済動向、集客状況を見ながら拡張していきたい」(西武不動産)と、今のところ具体化していない。
今後の展開で注目されるのは、リゾート進出の影響を調べる環境アセスメント。調査の結果によっては、計画の一部見直しもあり得るからだ。そんな中で昨秋、県環境影響評価審査会が開かれ、同社の環境アセス方針について検討された。
「ゴルフ場の農薬が河川に流入すると生態系に影響が出る」「湿地については十分な調査を行なうこと」。委員からはゴルフ場や自然環境への指摘が相次いだ。
これについて西武不動産滋賀事業所の伊吹藤継所長は本紙の取材に対して、ゴルフ場の農薬は「県の指針で掲げる最も低毒なものを使用し、排水は調整池などに溜め、散水用に循環利用し、さらに浄化施設の設置も検討する」と流出を抑えるとした。
希少植物が生息する大谷湿地については「計画地から外して保全の方向で進めたい」とし、希少な猛きん類、オオタカ(環境庁レッドデータブックの危急種)が目撃されていることに関しは「アセス委託業者が目撃したとしているので、慎重に調査を進めたい」と説明している。
一方、予定地である竜王町は、「当面は環境アセスを見守るしかないが、地域発展を前提に誘致したものなので、町としては雇用の確保を重視したい」と誘致を支援してきた立場から、計画の推移を注視している。
同社が示した第一期計画には、雇用の安定を望む同町の意向で、高い集客が望まれるアミューズメントパークが二期計画から前倒しされた。景気の先行きが不透明な中、アミューズメント建設が水の泡となれば、リゾート構想自体が骨抜きになりかねない。
一期計画で見込まれる入場者数は年間約三百四十万人で、現在同町を訪れる年間観光客約七十万人(希望が丘文化公園含む)の五倍近くに匹敵する。急増する昼間人口の流入に備えて、今後は周辺の交通網や下水道整備などもクローズアップされそうだ。
行政側だけでなく竜王町商工会も、経済活性化に向けたホームランを狙う。商工会は平成八年、リゾートの観光客を町内の観光スポットへ呼び込もうと、商業拠点の整備構想を打ち出した。
それよると、交通量の増加が見込まれる竜王インター付近に、町内観光の玄関口と位置付けたメーン商業施設を設け、さらに国宝・重文を多く抱える苗村神社(綾戸)前にもレクレーション拠点施設を建設しようとするもの。施設には、▽飲食・販売・屋内休憩▽特産品開発▽インターネット情報サービス―を備える。
これについて同町商工会は、「現段階ではあくまで構想に過ぎないが、リゾートが完成してから動くのでは遅い。指を加えて眺めるだけでなく、商工会もアクションの姿勢を示さないとダメ。観光客向けの関連ビジネスをどんどん狙っていきたい。観光客がリゾート施設に一極集中するのではなく、町内へも循環してもらわないと地元は潤わない」と、西武鉄道と行政、商工会との連携を訴えている
義経を「道の駅」にいかせ
竜王町鏡・国道8号線沿いに建設
住民パワーでソフト充実
=かつての宿場が観光拠点/平成15年完成予定=
平安時代末期の承安四年(一一七四年)三月三日、奥州の藤原氏を頼って京を出た十六歳の牛若丸(後の源義経)が宿泊し、元服したことで知られる宿場町・鏡宿(竜王町鏡)。
天下の街道・中山道の宿場町として知られる鏡の里で、竜王町と住民が一体となった「道の駅」建設計画が進められている。
計画が進められている建設予定地は、国道八号線沿いの竜王レース株式会社前の約一・一ヘクタール。昨年、五億四千万円で買収し、現在は地域振興施設や駐車場などの配置、造成についての実施設計を発注している。
この構想を陰ながら支えているのは、地域の歴史文化を地道に掘り起こしてきた地元の住民グループ「鏡の里保存会」(林正治会長、会員四十三人)だ。町史編さんに関わった小西實さんが、伝承文化をまちづくりに役立てていこうと呼びかけ、昭和六十二年三月に発足した。
付近には義経元服の地とされる鏡神社のほか、古代に鉄や陶器の製法を伝えた新羅王子・天日槍(あめのひぼこ)伝説、渡来人の息吹が感じられる古墳や陶器の窯跡、和歌で詠まれた鏡山など、固有の歴史遺産が多く残る。
同会は、これらの史跡を紹介するマップづくりを進めるとともに、全国の義経ゆかりの史跡を巡ったり、鏡山で昔行なわれていた雨ごい踊りを再現するなど、草の根活動を続けてきた。
昨年十一月には「道の駅」計画へ提言する準備委員会が、地区の役員や元区長、町議会議員などが参加してつくられた。「道の駅」を特産品の販売だけの施設にするのでなく、文化情報を集めた観光拠点として、同町に提案することにしている。
アドバイザー的役割を担う小西さんは、「地域の歴史文化の扉は住民自身で開くことも必要。人が住み続けている限り、そこには必ず歴史・文化はあるはずで、放っておけば滅んでしまう。まちづくりも同じことです」と、住民参加のまちづくりを重視する。
平安時代に頂点を迎えた鏡宿は、江戸時代に入って東の武佐宿(近江八幡市)、西の守山宿(守山市)に挟まれて衰退する。今では国道8号線が通るだけで、往時を偲ばせる面影はほとんどない。住民、行政で進める「道の駅」が完成するのは平成十五年。再び脚光を浴びる日が待ち遠しい。
地域医療の充実へ
国立滋賀病院 VS 湖東記念病院
(湖東・広域)
国立滋賀病院
比良病院と統合したことで、ベッド数は二百五十床(一般二百床、結核五十床)となった。診療科目も十八診療科(これまで十二科目)に増え、医師三十八人と看護婦百十六人が治療に当たる。
旧八日市病院の施設を活用しながら、新設する病棟(循環器病五十床、うちICU二床・CCU二床を含む)には機能訓練室も設け、診療科増設や救急部門(二十四時間体制)の強化で、外来診療を充実させた。
これまでの内科・消化器科・循環器科・小児科・外科・整形外科・脳神経外科・眼科・耳鼻いんこう科・放射線科・麻酔科に加え、神経内科・呼吸器科・呼吸器外科・心臓血管外科・泌尿器科・リハビリテーション科・歯科(入院患者対応)を新設し、計十八科目の診療を行い、県下に誇る病院として再スタートを切った。
旧国立八日市病院(八日市市五智町)は、国立療養所比良病院を統合し、昨年十二月一日から新たに「国立滋賀病院」(日野良俊院長)としてスタートした。地域医療を充実させるだけでなく、特に循環器病と呼吸器疾患(結核を含む)の専門的な医療、臨床研究、教育研修、情報発信の機能を備えた病院に整備された。
また、エイズに関する専門医療を行い、県下の拠点病院に位置付けるとともに、ガン医療にも力を注ぐ。一方、医療法人社団・昂会(相馬俊臣理事長)は昨年十月十日、愛知郡湖東町今在家に「湖東記念病院」(村上知行院長)を開院した。同郡内の救急体制と老人医療の充実ほか、循環器専門医療を開設の三本柱に掲げている。
湖東記念病院
病院という公器を楯に、湖東町から土地(約一万六千平方メートル)の無償提供を受け、建設資金の三分の一弱を県の貸付金(五億円)で賄うなど、難産の末に生まれた湖東記念病院は、高齢化が進む地域医療と、急患二十四時間体制、県下でも少ない循環器専門医療を中心に、華々しいスタートを切った。
ベッド数百八床(うちICU六床)を抱え、内科・循環器内科・外科・脳神経外科・眼科・耳鼻いんこう科の八診療科目に、医師二十二人、看護婦三十八人が治療を担当する。
救急医療機関のない愛知郡内にとって、急病患者(四割りが高齢者)は、これまで近隣市町に頼ってきた。高齢化率も二一%強(県平均一五%)という中で、系列の日野記念病院と連携を図りながら、地域医療の中核を目指す。
CATV網を活用した病診連携
=近江八幡市民病院と蒲生郡医師会=
(湖東・近江八幡市)
大きな病院とまちの開業医が医療行為の範囲を分担してスムーズな地域医療体制を築く病診連携への取り組みが全国各地で進められているが、近江八幡市では、市内に張り巡らせたCATVの光ファイバーケーブルを活用して病診連携を築く検討が始まった。
昨年八月、市民病院、蒲生郡医師会、市、CATVの四者で「マルチメディアを利用した地域医療推進のための研究会」を発足し、協議を進めている。病診連携とは何なのか、CATV網でどんな可能性が広がるのか、課題も含めて現在までの経過を紹介する。
厚生省が方針を打ち出している病診連携とは、開業医が一次医療を受け持ち、入院を要する二次医療や高度な医療措置を病院で引き受けるというもので、患者の病状に合わせた医療分担化が目的。
この目的を推進するためベッド数二百床以上の大きな病院は、入院と外来の患者の構成比率を一・五倍までに抑え、一次医療で対応できる外来患者の多くを開業医に振り分ける。また、平均入院日数を現在二十一日から十四日に短縮し、退院後のケアーは開業医で請け負う体制を整えることをめざしている。
すでに県内の公立病院では、患者の構成比率の達成を根ざし、外来患者数を削減する新たな初診料の徴収が始まっているところもある。
病診連携をスムーズに進めていくため、同研究会では、開業医と市民病院との間で患者の診察データをより早く、確実に、そして患者に新たな負担を掛けることなくその場で送受できるCATVの光ファイバーケーブル網に着目。電話回線よりも大量の情報伝送が可能で、処理スピードも格段に早い光ファイバー網は、CTやMRIなど最先端医療機器の画像データもスムーズに送受信できる特徴がある。
開業医と市民病院とが患者の診療データーを共有し、お互いが利用出来るようになれば、診察現場で適切な判断と素早い措置が行える上、患者の検査が重複する不合理なことも避けられ、病診連携の体制の確立に有効な通信システムとなる。
しかし、同システムが稼働すると開業医には、外来患者数の増加や病院への紹介数が増えるメリットがある一方で、病院側には開業医への患者を戻す紹介数は増えるが、その他のメリットが生まれてこないばかりか、受け入れ患者の減少で病院経営を圧迫する事態も招きかねない。
また、退院後も診療を受ける患者が設備の整った病院を離れて、紹介を受けた開業医に戻ってもらえるか、どうか、患者意識を変えていく課題も大きい。
研究会では、このシステムがつまづくことなく運用していくためには、誰が見ても分かる日本語カルテのマニュアルづくりや患者、家族への開示などの解決も課題としており、審議を深めている。
CATV網を活用した病診連携システムは、平成十七年四月に予定されている新市民病院のオープンから運用開始する計画で、病院側では、病院改築計画の中で開業医と病院医師とを結ぶ窓口「地域医療連携室」の設置を決めている。
市民に信頼されるホームドクター制度の充実や無医地区に医師を派遣することへの取り組みにも期待が寄せられている。





