法人化で横のつながりを強化 地域医療が抱える課題に光
【東近江】 医師や看護師の不足、少子高齢化に伴う医療体制の変化など、地域医療はさまざまな課題に直面している。そんな日々変動する地域医療の体制強化に取り組もうと、東近江圏域の医療機関などが連携した地域医療連携推進法人「東近江メディカルケアネットワーク」が発足して2年が経つ。地域でのがん診療機能の強化や、学校法人と連携した人材育成などが積極的に推進され、持続可能な医療体制の構築が一歩ずつ進んできている。(古澤和也)
この法人は、参加する3市町(東近江市、日野町、竜王町)と東近江医師会、医療法人、学校法人や個人開業医など11団体が連携し、地域で良質かつ効率的な医療提供体制を目指すため創設された。
2015年の医療法改正によりできた法人制度を活用したもので、各医療機関の垣根を越え、機能分担や業務の連携、共同研修による情報共有、医薬材料などの共同交渉購入、病床機能の転換など、効率化を目指す病院や地域住民にとって大きなメリットが期待される。
各市町でも法人化が進み、24年1月1日現在、全国で36法人が認定され、22年に発足した東近江メディカルケアネットワーク(代表理事・小椋正清東近江市長)は県内3例目。行政主導での設立は県下初となる。
同法人が有する東近江保健医療圏(東近江市、近江八幡市、日野町、竜王町)では、人口規模から新たな総合病院の整備が難しく、医療スタッフの確保も困難なことから、専門的な診療科目を持つ医療機関が連携することで地域で創る総合病院を構想に掲げている。その一つに期待されるのが、がん検診など予防医療の充実だ。
東近江医療圏域では、急性心筋梗塞や脳卒中などの高度急性期・急性期機能の完結率が85パーセントを超え、他地域と比べ同等以上の設備や人的配置を有しているが、一方で、急性期機能でがんの完結率が51パーセントと極端に低い傾向があった。
このことから21年、医療法人社団昴会が指定管理を受ける市立蒲生医療センター(東近江市桜川西町)にがん診療棟を増設。PET―CTやリニアックなどを活用した放射線治療を新たに開始した。26年度から同センターでは、がんの治療に必要な手術療法や化学療法に加え、病床を19床から35床へ増床を予定するなど、課題であった病床の融通も法人の参画病院と連携して実現。がん診療の機能強化が着実に進んでいる。
また、同法人の特徴として藍野大学、滋賀学園の2つの学校法人が参加しているのが全国的にも珍しい。
人材育成を目的としたもので、圏域内にある滋賀学園高等学校(同市建部北町)では今年4月から5年一貫教育課程で看護師を養成する看護科・看護専攻科を開設した。
理学療法士や作業療法士を養成する藍野大学のびわこリハビリテーション専門職大学(同市北坂町)でも、この4月から言語聴覚士を養成する学科が八日市駅前の八日市キャンパス(同市八日市東浜町)の新設とともに設置され、今後は医療機関と連携した研修や実習なども予定。就労のサポートも法人で行うなど、東近江圏域の持続可能な医療体制の実現を目指している。
そのほかにも、高齢化に伴う在宅医療や介護の連携の充実などにもてこを入れ、法人の取り組みを活発化させるためにも、新たな団体の加入が今後の課題に挙がる。
法人の事務局を兼ねる東近江市健康医療部地域医療政策課の角忠範課長は「連携することで地域全体で総合病院として機能する仕組みにしたい。医療現場に特化した連携だけではなく、将来の人材育成に関する活動も可能となった。今後は法人のメリットを生かして参画する団体を増やしていきたい」と話す。








