内憂外患の滋賀食肉センター 第2弾
【全県】 近江牛の輸出促進のため、県は2011年に国の地域活性化交付金を活用して、(公益財団法人)滋賀食肉公社(近江八幡市、理事長=江島宏治副知事)からの「冷凍施設」設置申請に対し約3600万円の補助金を支出し、12年3月に冷凍施設が完成したが、現在まで9年間も使用されていないことが分かった。(石川政実)
見通し甘い公社、県の輸出戦略
米国、香港への施設認定申請取り下げ
県内の食肉流通拠点である滋賀食肉センターは、食肉公社が近江八幡市の県有地に整備したもので、07年4月から操業を開始した。
食肉センターの施設設置と管理・運営は食肉公社、同センターでと蓄解体を行うのは(株)滋賀食肉市場、内臓処理は滋賀県副生物協同組合がそれぞれ担っている。
食肉公社は11年、輸出対策のため冷凍施設(写真)を食肉センター内に整備することとし、県に対して補助金申請を行い、12年3月に完成。延べ床面積は約50平方メートル、枝肉40頭分の冷凍保管を見込んでいた。
ところが、冷凍施設は現在まで使用されない状態が続いており、ひび割れも発生しているという。
この事態を招いた要因について、関係者からは、食肉公社や県の輸出戦略の見通しの甘さと食肉センターの設備老朽化が指摘されている。
ちなみに食肉センターは現在、マカオ、タイ、シンガポール、フィリピン、ベトナム、ミャンマー、台湾の7か国・地域から輸出施設の認定を受け、近江牛を輸出している。
さらに食肉公社や県のかねてからの念願であった米国、香港への輸出に備えて整備したのが、今回の冷凍施設だった。
だが、米国や香港は輸出施設認定の基準が厳しく、現在の食肉センターの施設では認定許可が下りないため、食肉公社は14年度にこれらの国・地域への認定申請を取り下げた。
●脅威の京都食肉市場
逆に18年4月に稼働した京都食肉市場の新施設は,最新の設備を導入して、米国、EU、香港などから輸出施設認定の許可を得ており、滋賀食肉センターとの差が歴然となってきている。
県畜産課担当者は「県や食肉公社では、他の流通業者などに冷凍施設を貸し出せないか検討を続けたが、『大きな冷凍施設は割高になる』などの声があり、貸し出しは難しかった。今後、米国やEU、香港などへの輸出を目指す出荷者が京都食肉市場に流れることも予想される」と頭を抱える。
食肉公社の東郷寛彦専務理事は「補助金の適正使用のためにも冷凍施設の活用について県と協議をしているところだ。なお冷凍施設のひび割れについては使用しなかったからでなく、食肉センターの軟弱地盤の影響によるもの」と話していた。
県や食肉公社には今後、食肉センターの在り方をどうするのかがまさに問われているのだ。







