市民センター 忍び寄る行革の嵐
【大津】 任期満了に伴う大津市長選は来年1月12日告示、19日投開票で、すでに本番モードに突入している。大きな争点のひとつは市役所の市民センター(支所・公民館)の統廃合問題である。先の9月議会では市民センター再編の関連条例案をめぐって、市の方針が二転、三転した。それは3選出馬か、不出馬かで揺れた越直美市長(44)の心境を映し出していたのかもしれない。(石川政実)
市民に最も身近な行政機関として、市民センターは1学区ごとに市内全域36か所で設置されている。支所では、公共料金の取り扱い、出生届けや転入届、印鑑登録などが行える、まさに行政サービスの地域拠点である。平成29年、市は職員削減のため36支所を10支所に統廃合する「市民センター機能等のあり方」素案を公表したところ、各学区が猛反発。このため市は今年2月、素案を少し修正した実施案を公表した。
実施案は令和5年度まで「支所を残す」ものの、来年4月から25支所で窓口機能を大幅に縮小するとした。
また市が管理運営している公民館を、自治会など住民が主体の「まちづくり協議会」が運営するコミュニティセンター(コミセン)に移行させ、地域に丸投げする内容だ。
このような中、市は9月2日、36学区の公民館を来年4月から一斉に住民運営によるコミセンへ移行する条例案を9月市議会に提出した。しかし、このままでは議会の賛同が得られないと察した越市長は同月25日になって条例案の撤回を申し出た。
市が撤回した条例案では市内36か所にある公民館を「来年4月1日に一斉にコミセン化する」としていたが、10月1日に発表した新条例案では「移行期日を来年4月1日から令和6年4月1日の間」にするとし、3日に提出する予定だった。保守系2会派も賛成に回る段取りでいた。ところが、市が議会運営委で新条例案を説明した後の1日夕、市自治連合会長らが市長に「地域で説明する時間が必要であり、3日の提出を取りやめてほしい」と申し入れたという。
また、市は10月10日の市議会特別委員会で、支所機能を縮小も1年延期する方針を明らかにした。市長選をにらんだ越氏の争点隠しとの声も。
市民団体の“支所・公民館を守る大津市民の会”の池端耕治代表は「市民センターは『どこに住んでいても等しく市民サービスが受けられる』行政機関としての役割を果たしてきた。今回の実施案は、こうした市の役割や責任を放棄するもの」と訴える。
「私の住む山中比叡平学区は比叡山の中腹にあるが、実施案ではここの支所がなくなる。それは高齢者に『用事があるなら山から降りて来い』と言うのに等しい。行革を目指すなら北部クリーンセンター(伊香立)の地元に支払っている1億5千万円の迷惑料にもメスを入れるべきや。市自治連合会幹部には配慮するのに、弱い立場の住民らは切り捨てる市政を許せへん」とオンブズパーソンとして市と自治会問題を追及してきた加藤英子氏は憤っていた。同氏は9月23日、京都市内の病院で86歳の生涯を終えた…。






