市立大津市民病院を巡る課題
【大津】 大津市は今年度市議会9月定例会に、地方独立行政法人市立大津市民病院(同市本宮2)の運営費負担金として12億7200万円を新たに追加し、同負担金を補正前の11億2800万円から補正後は単年度上限の24億円とする補正予算案を提出し、可決された。同病院については市長選挙(来年1月12日告示、19日投開票)でも、どのように政策へ反映されるか関心が高まっている。(羽原仁志)
市が運営費負担金を上限まで追加
市民は「安心して病院を利用したい」
同病院は、救急外来「ERおおつ」を開設して24時間体制で専門的な治療を行っていることをはじめ、長年、地域医療の中核を担ってきた。近年、厳しい経営状況が続いたことから、経営改善と安定的・継続的に医療提供することを目的に2017年4月、市の直営から地方独立行政法人へ移行したが、収支改善とはならず、「短期借入金が上限の20億円に達するかもしれない」と市議会などから懸念されていた。
加えて今年、3~5月にかけ産婦人科の医師3人が退職したことに伴い、6月から分べんの取り扱いと助産師外来を休止した。さらに、同月には救急診療科の常勤医師と研修医あわせて6人が一斉に退職したことが報じられた。
一連の報道で市民らが不安視する中、市では同病院の改善に向けて市議会6月定例会に同負担金1億7600万円を追加する補正予算案を提出したが、同市会予算決算常任委員会で「この額では経営の安定を図れない」と予算の組み替えを求める動議が提出され、可決されたことにより改善策を再考することになった。その後、8月に開かれた有識者らが同病院の実績を評価する評価委員会の見解も踏まえ、9月定例会で同負担金を単年度上限額まで引き上げることとした。
市民らからは市の姿勢を批判する声も上がっている。10月22日、解放県民センター光荘(大津市におの浜4)で行われた市民団体らによる集会「大津市政の転換を目指す市民集会」(主催・いのちとくらしを守る大津市政をつくる会)では、「市は利潤だけで医療を判断しているようで、安心して利用できない」、「現場で頑張ってくれている医師のおかげで地域医療が保たれているが、無理が長続きするはずはない」、「一斉退職の経緯など、市から説明がない」といった意見が上がった。
同病院では、休止している産婦人科の分べん取り扱いと助産師外来は10月下旬現在、「再開のめどは立っていない」としている。なお、婦人科の外来・診療は通常通り行っている。また、救急外来については、他病院からの協力などにより「従来と同水準の医療を行える」としている。
地方独立行政法人として同病院の行政側窓口となっている市保健所は「万全の態勢で医療サービスを提供できるように努めている」と述べている。






