国政転出で大岡氏と激突も
【大津】 大津市は先月25日、市内36学区ごとにある市民センター(公民館、支所)のうち、来年4月から一斉に公民館を住民運営のコミュニティセンター(コミセン)へ移行させる条例案を撤回した。市はコミセンへの移行を各地域に合わせた期日に変更する新条例案を16日までに再提出としていた。同条例案に否定的だった保守系会派の湖誠会と新和会は「拙速な条例案を撤回させたのは勝利だ。これで新条例案は可決される」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。ところが2日、越直美市長(44)は「市自治連合会長の要請で新条例の今議会中の提出を見送る」方針に変えた。そこで当初の条例案撤回時点にさかのぼって、ドタバタ劇に隠された謎に迫る。(石川政実)
来年1月の大津市長選に向け、自民党大津市連協は先月21日に会合を開き、湖誠会と新和会から立候補の要請を受け出馬することを決めた自民の佐藤健司県議(46)を正式に了承した。一方、会社員の田中修氏(55)も無所属で立候補する意向。
中堅の市職員は「佐藤氏を担ぐ湖誠会と新和会が、なぜ越直美氏(44)の新条例案提出を許し可決しようとするのか。市長選の争点は支所や公民館の廃統合問題だけに、越氏に塩を送るようなもの」と不満顔だった。
先月、湖誠会と新和会で論議されたのは越氏不出馬の怪情報の真偽だった。怪情報は参院選直後、湖誠会の幹部市議とその後援会長(元市議)、越氏、嘉田由紀子参院議員が懇親会をした折、嘉田氏は「越さんが市長選に出ないなら、国政を目指すべき」と述べたとする内容である。
新和会では「仮に市はコミセン条例案が可決されることで、越氏の花道にしたいなら、越氏が出馬しないという担保を示すべき」との意見が相次いだ。
嘉田氏は本紙に「そんなことは言ってない」とキッパリ否定。元市議も「それは僕が軽口でしゃべったこと。越氏は『国政に興味がない』と言っていた」と打ち消した。ちなみに越氏は先月の定例会見で「(立候補するかどうか)まだ決めていない。遅くとも年内には決めたい」としている。
●狭まる越氏包囲網
国民民主県連の重鎮、川端達夫元衆院副議長は条例案撤回前に「保守系市議の方には、もし条例案が否決されれば、越氏の性格から意地でも3選出馬すると見られるが、それでもいいのかと言いたい」とけん制していた。
片や立憲民主県連幹部は「党内には越氏の引退を求める声が多い。たとえ川端氏が越氏を推しても同調は容易でない。国民民主、共産、社民、連合にも呼びかけ、別の候補を模索したい」と近く幹事会と選対会議を開く。
“反越氏”の共産党も先月、市民団体と「いのちとくらしを守る大津市政をつくる会」をスタートさせた。
元市職員幹部は「越氏が出馬断念する可能性も少し出てきた。この場合、越氏の後継者として庁内なら玉井義文副市長(61)、外部なら前回出馬のプロデューサー・川本勇氏(60)や河井昭成県議(46)らが有力。その場合、越氏は国政に転出し、野党統一候補として滋賀1区で自民の大岡敏孝衆院議員(47)と激突する」と予想する。






