彦根城世界遺産登録に水差す国体主会場!?
◇全県
平成三十二年開催の東京オリンピック・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の建設費が、当初予定の一千六百二十五億円から九百億円上回る二千五百二十億円に膨らむことになり、国や日本スポーツ振興センターの見通しの甘さに批判が相次いでいる。三十六年に県内で開催の二巡目国民体育大会の主会場になる県立彦根総合運動公園(彦根市)も新国立競技場と同じ問題を抱えそうだ。【石川政実】
彦根市の「高さ規制」ネックに
二巡目国体の開・閉会式と陸上競技を実施する主会場について、有識者でつくる県開催準備委員会の選定専門委員会は昨年五月、候補地の県立彦根総合運動場(彦根市)=県の整備費試算百八十二億円、県立希望が丘文化公園(野洲市、湖南市)=百七十八億円、びわこ文化公園都市(大津市、草津市)=二百二十三億円の中から、彦根総合運動場を選定した。
選定理由は、JR彦根駅などアクセスがよい点や、彦根城と連携した観光アピールができることだった。
しかし、湖南地域の各市長は「整備費も希望が丘より多くかかり、しかも軟弱地盤で、地震があれば液状化現象も懸念される。当初予定の百八十億円の整備費がさらに膨らむのは必至だ。どう考えても希望が丘しかないのに、これでは、はじめから彦根ありきだ」と不信感を募らせた。
彦根市の主会場は、軟弱地盤以外にも課題が表面化してきている。主会場の陸上競技場の屋根の高さである。
主会場には三万人の収容能力が求められ、一般的な施設規模は三十五メートル程度とされている。だが市には、風致地区の高さを十五メートル以下とする条例がある。
そこで県は先月四日、有識者でつくる同公園整備計画検討懇談会で、昨年度の国体開催地・長崎県が整備した陸上競技場の屋根の高さが一回り低い二十三メートルであったのを参考に、この高さまで下げたい意向を示した。
これに対し、委員からは「市の景観審議会が認めない可能性もある」との意見が出た。
県は「条例に合わせて十五メートル以下にすると、四十メートル近い照明塔が必要になり、景観が損なわれることもありうる」と説明した。
市民の一部からは「彦根城を世界遺産に登録してもらおうと市は取り組んできたが、競技場の高さで世界遺産がパーになれば、まさに水の泡だ。もともと世界遺産と国体主会場は相いれない。主会場を返上したらどうか」との極論も聞かれる。
昭和五十六年に「びわこ国体」を開催した武村正義元知事は「国体開催県が優勝するために多額を投じて施設を整備して選手強化を図り、開催後は熱が冷めるといった国体のあり方をここらで見直すべき」と指摘する。
国体の施設整備には四百~五百億円が見込まれる中、県はその約半分を占める主会場と、世界遺産登録とのジレンマに陥っている。





