子どもの貧困 不十分な就労支援と雇用のミスマッチ
◇全県
国の調査では、「子どもの貧困率」は平成二十四年度時点で過去最悪の一六・三%(六人に一人)で、一人親家庭になると五四・六%にはねあがる。県内でも、生活困窮世帯の公立小中学生に学用品費や給食費などを援助する就学援助割合が、平成十七年度は九・五八%(一万二千百八十六人)だったのに対して、同二十四年度は一二・六九%(一万五千八百九十八人)に急増し続ける。県がプロバスケットの滋賀レイクス支援や国体会場の整備に巨額を投入しようとする一方で、子どもの貧困が深刻さを増している。(高山周治)
母子家庭の正社員就業率わずか39%
守山市設置・運営の「カンフォーラ第2の学校」には毎週月曜夕、学習環境が十分でない生活保護世帯などの生徒が集い、学習支援ボランティア「アトラス」の大学生や社会人から指導を受けている。
教室ではこのほか、談話室で生徒の話に耳を傾け、生徒の居場所づくりにも努める。
アトラスの日野貴博代表(25)は「経済的に厳しい家庭の子どもは、親が仕事で忙しいので、話を聞いてもらえず孤立しがち。高校へ進学できても、一人で悩みを抱え込み、家庭の事情で退学することが多い。この問題は、配偶者から母親へのDVの問題も絡み、学習支援だけでは解決できない」と話す。
このような中、県はようやく今年度から、各課の対策を総合的に実施することで、子どもの貧困対策に力を入れ始めた。関連事業の予算は、一人親家庭の親の就労支援など一億六百万円を計上した。
この中で県が向上を目指す母子家庭の母親の就業率は八九・三%(平成二十六年調査)で、このうち正社員は三九・七%にとどまり、一人親家庭の年間総収入は平均二百十六万円(同)にすぎない。
これを改善するため、雇用を開拓する企業訪問や資格取得に力を入れ、母子家庭の正社員の就業率を平成三十一年には四六%へ引き上げたいとするが、前途は暗い。
というのも、現状では県の人員体制が整っておらず、雇用にもミスマッチが起こっているからだ。
例えば、今年度一千百八十万円の運営費を計上する県母子家庭等・自立支援センター(近江八幡市)では、企業訪問を担当する就業支援員は三人で、常時二人の勤務体制の合間をぬって活動するため、人手不足となっている。これは県の財政支援が不十分なためだ。
さらに同センターにおける相談件数と就業者数は、平成二十四年度の六百六十六件・二百二十人から、同二十六年度には千七十三件・百七十三人と、相談件数が増えているのに就業者数は伸び悩む。
これについて、県から委託を受ける滋賀県母子福祉のぞみ会の山田栄蔵事務局長は「一人親家庭は育児の制約で休日・夜間勤務が難しいが、求人は非正規で休日出勤を求めるものが多く、雇用のミスマッチが起きている」と頭を抱える。
また、県内の市町では取り組みに温度差がある。ハローワークと連携して就業に結び付ける母子自立支援プログラム策定員を配置するのは、予算不足を理由に大津、彦根、近江八幡、野洲、湖南、東近江の六市にとどまる。
このような現状のなか、関係者からは「国体などスポーツ施設に投入する血税を貧困対策に回せば、どれだけの子どもたちが救われることか」と嘆きの声が聞こえる。




