本紙が近畿と東日本の23都府県にアンケート調査
◇全県
高濃度のセシウムを含む稲わらが肉牛に与えられた問題をきっかけに、全国の自治体で肉牛の放射性物質検査が実施されているが、消費者からは豚や鶏の安全性についての不安の声も上がっている。そこで滋賀報知新聞社は、豚と鶏の検査体制を問うアンケート調査(十九日現在)を、近畿二府四県のほか、厚労省が検査要請した東日本の十七都県に行ったところ、自治体によって検査体制にばらつきがあることが浮き彫りになった。=表参照=【高山周治】
日本消費者連盟 「豚、鶏も調査するのが基本」
国・自治体に充実求める要望書
■ 行政 ■
本紙のアンケート調査によると近畿二府四県では、豚・鶏の検査を実施する自治体はなかった。
肉牛の検査については滋賀県畜産課は「県内で汚染稲わらの流通はなく、東北から受け入れた若い牛も把握しており、十分長く飼育していると放射性物質は排出されて問題ないが、ブランドの安全性を確保するため実施している」とした。
しかし、豚と鶏になると、「飼料のほとんどは輸入ものであり、加えて保管はタンクで密閉されているので調査の必要はない」といい、「ノーマーク」だ。
一方、東日本の十七都県の豚と鶏の検査体制は、「定期的に実施」が豚七県・鶏六県の半数以下にとどまり、「緊急検査をこれまで一~二回実施」は豚四県・鶏四県だった。「実施していない」は豚六都県・鶏七都県で、理由は「餌に問題がない」「大型処理場がない(東京)」など。
定期検査の頻度は月一~二回で、個体数が多いため、肉牛のような全頭、全戸でなく、対象から一定数を抜き取る抽出としている。
なかには新潟県のように県産だけでなく、農畜産物の出荷規制のあった県や隣接する十三都県の流通品も対象に入れ、二重のチェック体制を敷く自治体もある。
このように自治体によって実施体制にばらつきがあるのは、計画策定そのものは、自治体に任され、一律のものになっていないからだ。
■ 流通業界 ■
これに対して流通業界では、豚肉と鶏肉については商品の調達先を切り替えたり、産地表示を明確化するのがコスト的に精一杯で、行政の信用が前提だ。
このなかで九州を中心に展開するグリーンコープ共同体(本部・福岡市)は福島原発の事故を受け、食品全般を対象にした検査を、放射性物質の汚染が心配される産地を優先的に行っている。
九州産品についても使用頻度の多い食材(野菜、米、牛乳、卵、茶など)は対象に入れ、これまで二百七品目を検査し、結果を公表してきた。
同社の豚肉と鶏肉は九州産なので検査はまだ実施していないが、十月に検査機器を購入して体制強化したのに伴い、対象品目に加える。
白木豊彦常務は「暫定値以下だから安心してくださいというのではなく、きちんと調査して、結果を公表することが消費者の安心につながる」と予防原則に立つ。
■ 消費者団体 ■
同じく「豚、鶏もしっかり調査し、安全の根拠を示すことが基本」とするのはNPO日本消費者連盟の山浦康明・共同代表。「飼料は輸入ものだから安全というが、飼料をそのまま使わず、残さを混ぜて与えている畜産農家もある。また、環境の影響を考えて水なども調べるなど、現場を把握しないといけない。餌の問題一辺倒で判断するのは今後危険性が残る」と指摘する。
このほか、「国に対しては自治体の検査体制をバックアップできるよう予算措置を求め、自治体へも検査の充実を求める要望書を至急提出したい」と前向きだ。







