引接寺 万燈供養に参拝2000人
◇東近江・愛東
二十二日夜に営まれた東近江市上山町の引接寺(いんじょうじ、岸道久住職)の「万燈供養」には約二千人が訪れ、石仏石塔に眠る無縁仏の霊を慰めた。
同寺(百済寺山門脇)隣接地の「来迎浄土」では、無縁仏六千体の石仏石塔にローソクの火が灯され、幽玄の世界を醸し出す明かりが、参拝者を平和な世界へと誘い込んだ。
百済寺周辺に散在していた石仏や石塔を集めて供養する「来迎浄土」は、敬虔(けいけん)な趣を示し、毎年八月に奉修される万燈供養は多くの参拝者らで賑わう。
引接寺は、天台宗の古刹で、百済寺の末寺にあたる。織田信長の焼き打ちで起源をたどることはできないが、元禄年間に百済寺を再興した亮算上人の弟子亮誉上人が中興開山したと伝えられる。
寺周辺に散乱していた石仏石塔は、名も無き人々の手によって代々、大切に供養され続けられてきたが、信長による兵火で、一瞬のうちに破壊され、四百年以上も放置されていた。
中には石垣の一部や土止め、ひどいものでは漬け物石に使用されていた石仏もあった。この惨状を見かねた第三十六世に当たる岸住職が「来迎浄土」の建立を思い立ち、十年をかけて寺周辺に散乱する石仏石塔を一つずつ集め、昭和六十一年十月に落慶法要を営んだ。
二十三回目を迎えた万燈供養では、三層の大石塔前に護摩壇が設けられ、参拝者の願いが書かれた護摩木を次々と山伏姿の修行僧らが投げ込み、家内安全や無病息災など祈願した。
その後、地元の小学生らが石仏石塔にローソクの明かりを灯すと、闇に包まれた来迎浄土は一斉に照らし出され、参拝者らは石仏石塔の前で手を合わせながらお参りし、先祖の霊を慰めていた。
岸住職は、万燈供養について「続けられるのは地域住民や協力者のお陰」と感謝し、その上で「無縁仏を供養するのは勿論、子供たちの情操を育む場としても活用していきたい」と話している。







