東近江市立病院の現状と課題
◇東近江・蒲生
行政と医療人だけでなく、市民も当事者意識を持って課題解決に知恵を絞らなければ、現代の地域医療は完全に崩壊してしまう―。強い危機感を抱く東近江市は十八~二十日の三日間、蒲生と能登川の二会場で「住民説明会~東近江市立病院の現状と課題~」を計四回開き、持続可能な医療体制の再構築に向けた第一歩を市民とともに踏み出した。
「能登川・蒲生の両市立病院とも医療経費の見直し、削減を図るなど内部努力を続けているが、常勤医の減少により収益が大きく落ち込み、黒字化は難しい」。東近江市地域医療政策課の森島章次長は、常勤医確保の難しさから、整形外科・小児科・産科の入院患者や高齢人口拡大により必要性が高まる救急患者の受け入れ体制が整えられない内情を明かした。
厳しい環境下で、西澤久夫市長は「市長選での約束を果たすべく、市民みなさんに情報公開しながら、地域医療の危機的状況を乗り越える妙案を見い出していくことが、私に課せられた仕事だ」と決意をにじませた。
市民の命に直結する地域医療を守るため、開業医との連携や急性・回復・維持期を支える医療体系の構築、中核病院の確立、疾患別の機能分担など、医療資源の有効活用を進めていく方針も掲げた。
特に開業医が少ない蒲生地区の住民は「経営収支より医療体制の強化を」と病院存続を望み、「市予算の無駄使いや支出の引き締めを徹底し、医療体制の充実に配分するなどバランスのとれた執行をしてほしい」との声もあがった。
「病院が赤字だからやめるということは、絶対に考えない」と断言した西澤市長は、資金投入で課題が解決できるような単純な状況にないことを説明した上で「行財政改革を進め、医療や子どもの教育環境整備に予算を重点配分し、強みを生かす病院経営を図っていきたい」と力を込める。
激務に耐えながら診療を続ける常勤医たちの実情を知り、参加者からは「医師にとってやりがいのある環境づくり」を求める意見も。
市病院事業管理者で能登川病院長の中條忍さんは「地元のみなさんの信頼が厚く、現場の医師たちも両病院に愛着を持っている。限られた医師たちが意欲を持って効率的に働ける環境を整えることが、地域医療の最大の課題」と指摘し、「症例数が多く、研修医が集まってくる少し規模の大きな中核病院も必要ではないか。また、地域が医師を受け入れることも重要であり、まちをあげて医師の支援をお願いしたい」と協力を呼び掛けた。
住民説明会の参加総数は七百五十六人。寄せられた市民の意見(三百八十件)は、今月二十七日に第一回会合を開く「東近江市地域医療体制検討会」に反映される。






