中高年層 まだ冷めない「熱気」公共文化施設の上映に観客の波
◇湖南・甲賀
映画「おくりびと」のアカデミー賞外国語映画賞受賞に日本国中が沸き立ってから一カ月以上が経ち、各地の受賞を祝う凱旋(がいせん)上映も終盤を迎え、関係者の中では「さすがに全国的な熱気は冷めてきた」というのが一般的な見方だ。ところがどうして映画館のない地域では、中高年層を中心に静かな熱気がまだ続いている。【高山周治】
アカデミー賞受賞報道を受けてすぐ、湖南市の甲西文化ホールは、主に公共文化施設へ配給するNPO法人滋賀県映画センターへ上映を申し込んだ。上映日は一カ月以上後の四月十二日、前売券の発売日は三月七日と決まった。
通常、甲西文化ホールの催しチケットは当日券で出ることが多い。ましてや公共施設での上映は、観客動員数は当日でも五割切ることがざらだ。
にも関わらず、同作品に限っては前売券の販売を始めて約二週間で全席の六割が埋まった。このため急きょ、購入希望がさらに増えると見込み、上映回数を二回から三回に増やした。
「本格的な宣伝をする前から、前売券がこんなに売れるとは思わなかった。これだけの反響は、今までの記憶にはない」と担当者は驚く。
また、高島市も市立のガリバーホールで四日、高島市民会館で翌五日に上映会を実施する。ここでも前売券で八ー九割が売れ、当日券はあとわずかという状態だ。
この人気ぶりの要因についてNPO特定非営利活動法人滋賀県映画センターの林浩一郎理事長は「中高年に受ける作品というのが大きい。一見シリアスにみえるテーマ(死と生)を扱っているが、内容はユーモアにあふれて肩ひじ張らない。そして何よりも、身近な人の死をある程度経験している中高年層は、尊厳をもって死者を送るストーリーに、自分の体験と重ねて共感しているのでは」と指摘。
ただし、「受賞に関心があっても、遠くの映画館へ行くのは中高年層にとっておっくうだ。しかし、近くの公共文化施設で安価で観られる上映会ならば気軽に行ける。実際、先月二十一日に余呉町で開いた上映会は満員だった」と話す。
なお、同作品を見逃した人でも、次の県内の映画館、公共文化施設での追加上映で観ることができる。
▽高島市民会館(高島市今津町中沼)5日▽ガリバーホール(高島市勝野)4日▽ワーナーマイカルシネマズ近江八幡(近江八幡市鷹飼町)10日まで▽ワーナーマイカルシネマズ草津(草津市新浜町)10日まで▽滋賀会館シネマホール(大津市京町)12日まで▽大津アレックスシネマ(大津市浜町)17日まで▽水口アレックスシネマ(甲賀市水口町本綾野)5月9日ー21日▽ひこね燦ぱれす(彦根市小泉町)6月21日▽八日市文芸会館(東近江市青葉町)7月5日。






