シリーズ4作目は守護神北湖と比良の山々表現
◇東近江・五個荘
五個荘地区に工房を構える人形師・東之湖さん(37、本名=布施和信)がこのほど、東近江特産の近江上布を使った創作人形『清湖雛』(せいこびな)の新作二体を市に寄贈した。今回で計二十体となった。二月一日から始まる同地区の「商家に伝わるひな人形めぐり」に合わせ、一足早く近江商人屋敷中江準五郎邸で展示している。
清湖雛は、リピーターが生まれるほど話題を集めた女雛「聖水の舞」(平成十六年、近江商人博物館の企画展に出品)をきっかけに、東之湖さんがシリーズ化した創作雛で、対となる男雛の完成とともに名称を公募し、同年に「清湖雛」として市に寄贈した。以降、滋賀県の自然をモチーフにした六人官女、十人囃子(ばやし)が寄贈され、今回でシリーズ四作目となる。
中江準五郎邸で行われた寄贈式では、観光協会職員と地域住民らが見守るなか、内裏雛を警護する二体の随身(ずいしん)が披露された。人形の大きさは高さ五十センチ程度で、青を基調にした若者と緑の衣が深みを示す年輩の随身が登場、それぞれ、湖北の湖と湖西の山々をイメージしており、次回作を含めて東西南北を司る守護神を表現したいという。
いずれも、近江上布が持つ艶感や清涼感が活かされ、優美な衣装と優しい面立ちは多くの人々を引き付ける。
東之湖さんは「滋賀にはすばらしい自然や文化、伝統技術があふれている。これを誇りに思い、どんどん滋賀を愛して欲しい」と話し、先人たちが温めてきた匠の技を継承しながら、次代の新しい息吹を吹き込む。
東之湖さんは、父・征寿さんの仕事に感銘を受けて人形師の道に進み、本場京都で厳しい修行を続けたのち、父を師に研鑽を積んできた。十年目の二十八歳の時、業界の人形展示会で全国人形通産大臣賞を受賞。経営の責任と接客から広がる視野を学ぶため、国道8号沿いに「人形の布施五個荘店」を設立し、三十歳で独立。全国の百貨店を中心に作品会を開くほか、近江の麻布を使った創作活動も展開しており、滋賀が生んだ伝統工芸のすばらしさを伝えている。







