きっかけは各種団体とのフォーラム 飯田社長「ぜひ、やろう」
【東近江など】 東近江市で今秋、「一大事」として記憶に残るのが、近江鉄道の全線無料1日乗り放題「全線無料デイ」(10月16日)。普段は閑散とした駅やホームが、この日は首都圏のラッシュアワー並みにごった返し、駅周辺は来訪者でにぎわった。利用拡大へのきっかけとなったのか、年の瀬を迎え、あらためて考えてみた。
「素直にうれしかった」。同社広報の担当者は、盛況ぶりをこう振り返り、「乗ったことのない人にまず乗車してもらうきっかけづくりや、沿線地域を盛り上げる目的が一定果たせた」と話した。
当初、アイデアが飛び出したのは、今年1月、沿線の活性化に取り組む各種団体とのフォーラムでの席上。後日、担当部長から相談を受けた飯田則昭社長は、「ぜひ、やろう」とゴーサインを出したという。
これを受けて同社は秋恒例の感謝祭(彦根市)と、各種団体の沿線イベントを同時開催する方針を各団体に打診し、賛同を得ることができ、プロジェクトをスタートさせた。
まず着手したのは、スムーズな乗降を行う運行体制。先行事例のデータをもとに、同社の定期外の1日平均乗客約3100人の3倍に当たる約1万人をはじいた。
そして当日。利用者数は予想を上回る約3万8000人。通常運行に加え、臨時列車は計20本運行させた。
また、沿線15カ所であった各種団体のイベントも大勢の来訪者でにぎわい、来年も同様の乗り放題イベントを望む声が聞かれた。
一方で、課題もあった。駅周辺では路上駐車や八日市駅などの主要駅では構外に入場待ちの長蛇の列などが見られた。
これに対して同社は「整理して今後に生かす」とし、利用状況がどう変化したか把握するウェブアンケートを今月中旬に実施。今後の予定は具体的には決まっていないが、「様々な意見を聞いて検討したい」としている。
いずれにせよ、同鉄道は2024年度からは「上下分離方式」(注)の運行形態への移行が決まっており、利用増を図る方策が求められる。県と沿線市町と連携しながら、鉄道を含む公共交通と一体となった魅力ある地域づくり、利用しやすい仕組みづくりが欠かせない。(高山周治)
※ 「上下分離方式」=列車運行は鉄道会社、線路や駅舎などの施設の維持管理は自治体が受け持つ。







