ヴォーリズと周辺の知られざる歴史を紹介
【全県】 ウィリアム・メレル・ヴォーリズのパートナーとして近江兄弟社創設にも関わった吉田悦蔵の孫にあたる守山市の吉田与志也さんが、実家で保管されていた膨大な資料を整理し、これまで大まかにしか語られてこなかったヴォーリズと周辺の人々の軌跡を年代別にまとめ上げた書籍「信仰と建築の冒険―ヴォーリズと共鳴者たちの軌跡―」(サンライズ出版)をこのほど出版した。
筆者の吉田さんは、ヴォーリズ建築として最初期の「吉田邸」(近江八幡市池田町、県指定有形文化財・一部国登録有形文化財)で生まれ育った。2010年に家の保存を受け継いだのを機に、祖父が残した当時の手帳や手紙といった膨大な資料の確認をはじめた。その過程で、ヴォーリズだけでなく、彼のビジョンに共鳴して働いた協働者、手を差し伸べた協力者らの知られざるエピソードを多数発見し、「これをもっと世に知ってもらいたい」と出版を決めた。
同書は、まず第1章で来日するまでのヴォーリズと吉田悦蔵の紹介を行い、第2章から第17章で、1905年の1回目の来日から20年まで、年ごとに起こったエピソードをつぶさに取り上げながら建築事務所と家庭薬販売の事業基盤をつくり、60人を超す伝道団体を結成していく様子を描く。続く第18章で21年~39年まで成長を続けた関連団体についてまとめ、最後の19章で開戦前夜から戦後の復興について触れている。
内容はヴォーリズの伝記としてだけでなく、近江八幡、大津、彦根、能登川、長浜などに生まれたバイブルクラスのことや、鉄道員のための鉄道YMCAのこと、近江八幡にやってきた廣岡浅子、香川豊彦、新島八重、徳川頼定侯爵のこと、記録に残る初のハロウィンは近江八幡市の少女会「弥生会」で行われたことなど、多彩な逸話も205点の貴重な写真とともに紹介している。
出版にあたり、県庁で記者会見を行った吉田さんは「キリスト教関係者や建築ファン、近代史に興味のある人にワクワクしてもらえる内容になっている。多くの人に手に取ってもらえれば」と期待を述べている。
同書は455ページ、ハードカバー。定価2800円(税別)で全国書店で販売中。書籍に関する問い合わせはサンライズ出版(TEL0749―22―0627)へ。






