協議文書なければ第2の加計学園?
◇県
県が県庁隣接の県有地で計画している医療福祉拠点整備事業(大津市)は、予定地にある教育会館の9月末の立ち退き交渉が難航しており、教育会館側が法的措置に踏み切ることも予想されるため、抜本的な見直しに迫られる可能性も出てきた。そうなればリハビリ専門職の人材養成を行うサテライト大学など高等教育機関の誘致(県有地の売却か賃貸方式)に影響が出るのは必至だ。(石川政実)
●医師会悲願のセンター
医療福祉拠点整備事業は2020年度の運用開始を目指して、14年秋に検討会議が設置され、14年度末(15年3月)に県内の医師会、歯科医師会、薬剤師会などの医療福祉関連団体を集約した「医療福祉センター機能」を設置することが決まった。
このときの予定地は県の施設の県庁別館、第二別館、旧体育文化会館(武徳殿)の三棟で、解体された場合の敷地面積は計5500平方メートルだった。
病院を経営している生田邦夫県議は本紙取材に「14年7月の知事選直前に三日月大造氏(現知事)と当時の県医師会幹部とで、医療福祉センターを県庁周辺に作る話ができたと医師会関係者から聞いた」と語る。
ところが事態は15年度に入ってから急変する。県健康福祉政策課によれば、14年度末に策定した高齢社会に対応するリハビリテーション推進計画も参考に15年度初めから内部協議を行い、同年11月定例県議会で三日月知事は新たにリハビリ専門職を養成する「大学などの高等教育機関」を設置すると公表した。このリハビリ養成学校の目安は、4年制で1学年の定員が150人(4学年で600人)を予定していた。認可基準の生徒1人当たり10平方メートルに基づけば、定員600人だと敷地面積が6000平方メートル必要になる。そこでリハビリ養成学校の設置に必要な面積を確保するため、県は隣接する教育会館の退去を求めることになった。
ちなみに教育会館の敷地(1700平方メートル)は県有地だが、建物は会館の所有である。教員らが自主財源で独自運営する県教職員組合や校長会などの11団体・喫茶店などの店舗が入居している。
県は15年11月、教育会館側に今年3月末で立ち退くよう通告。しかし、合意に達しなかったため、9月末まで立ち退きを延長した。
県は土地の返還にあたって、地方自治法に基づき、借り手に公有地から退去を求める際、補償しなくてもよい「行政財産」とみなし、教育会館の建物を自己負担で解体(解体費用5000万円以上)した上で、土地を返すよう求めている。
一方の教育会館側は、用地貸与の歴史から、立ち退きに当たって補償を受ける権利がある「普通財産」であり、加えて8年に耐震工事をしたばかりで県の立ち退き通告には応じられないと主張し、現在も平行線。
立ち退きの期限が迫る中、教育会館側では「法的手段(訴訟等も含む)に踏み切るかどうか近く決定したい」と話している。
●誘致は経営会議で決定
また教育会館側がリハビリの高等教育機関の設置(誘致)の方針がいつ決まったのか県に確認したところ、県は「決定したのは15年10月の県政経営会議(内閣の閣僚会議のようなもの)だった」と回答。本紙も健康福祉政策課にその間の内部協議等の文書を聞いたところ、「調べてみる」との返事のみだった。
県は今年2月、事業者ヒヤリングも参考にして、リハビリ高等教育機関の定員を1学年150人→140人(理学療法士40人、作業療法士80人、言語聴覚士20人)に減らし、4年制で計600人→560人に変更した。
●1学年100人が妥当か
知事与党のチームしが所属の山本正県議は本紙取材に対し「全国の私立大学の平均は、1学年の定員が理学療法士40人、作業療法士40人、言語聴覚士20人の計100人程度。滋賀県もこの程度の定員が妥当であり、そうなると武徳殿など3棟の敷地で十分で、教育会館の敷地は必要がないはず」と指摘する。
●事業者の名も
自民県議の一部には「大学を運営しているA事業者らの名も取りざたされている。教育会館が立ち退けば公募プロポーザルで事業者を決定するとしているが、すでにサテライト大学を目指す事業者ありきで決まっているのではないか。もし設置方針決定についての内部協議文書がないなら、第2の加計学園問題に発展する」との声が出ている。








