改修終え一般公開 喫茶気分で美術鑑賞
◇東近江・五個荘
改修工事が行なわれていた近江商人の本宅・塚本源三郎邸(八年庵、五個荘川並町)が常時一般公開されることになり、開庵を祝うテープカットが行われた。
八年庵は、豪商塚本家を守り、晩年は女学校創始者として女子教育に情熱を注いだ塚本さと(一八四三―一九二八年)の二男・二代目塚本源三郎(一八六六―一九三九年)が明治十三年に古屋を購入して移築し、既存の土蔵を合わせた築二百年以上の邸宅で、塚本家の理念を表す「質素倹約と勤勉」そのものの落ち着いた佇まいと文人好みの簡素な山水庭が美しい。敷地面積は約六百二十坪、建物面積は約二百八十八坪。
また、文化人としても知られる源三郎は、書家の雅号・八年(やとせ)から同邸を「八年庵(はちねんあん)」と称し、同庵を訪れた野村文挙、山元春挙、山岡鉄舟らの作品をはじめ、塚本家と交流のあった勝海舟、福沢諭吉らの書簡、屏風、掛け軸などが保管されている。
しかし、その子孫らが遠方に居住しているため邸宅の維持が難しくなり、思い悩んだ末、家屋を砕いて更地にする話が浮上した。それ以前から、同邸の管理を任されていた三輪國男さん(五個荘川並町)が、「地域にとっても思い出深い屋敷であり、ぜひ残したい」と私財を投じて買い取ることにし、毎年九月二十三日に開催される「ぶらりまちかど美術館・博物館」の展示会場として一日公開を続けてきた。
改修工事は、一般公開を願う観光客らの要望に応えて、十年前から工務店を営む三輪さん自らが取り組んできたもので、完成を祝う開庵式に西澤久夫市長、寺村茂和市議会議長、居原田善嗣市観光協会事務局長、川瀬重雄県商工会連合会長、小杉武志文挙の会相談役らが出席し、地域住民らが見守るなかテープカットが行われた。
あいさつに立った三輪さんは「八年庵は、近江商人の中でも大きく社会を支えた人物の屋敷です。質素倹約、勤勉を旨とした塚本家の精神に感銘を受け、同邸を残していきたいと強く思いました。これからの社会を担うみなさまに、三方よしの近江商人の生き様を伝えるとともに、市の観光振興に役立ちたい」と話した。
同庵内には、初代源三郎・さと夫妻の合作「寿と宝珠」の掛け軸や香炉、勝海舟の書簡(本屋・奥座敷)をはじめ、野村文挙など五個荘ゆかりの画家作品を展示する喫茶コーナー(別棟)もあり、ゆったりとした雰囲気のなか美術鑑賞ができる。
開館時間は午前九時半~午後五時(入館は午後四時半まで)。休館日は月曜と祝日の翌日および年末年始。問い合わせは八年庵(TEL0748―48―2009)へ。







