社説

■平成29年1月19日(木) 第17708号

公立大学の無償化で格差是正

 フォード・モーター(米国)はメキシコで計画していた工場新設を取りやめて、米国ミシガン州の工場で電気自動車や自動運転車をつくると発表し、それにより新たに700人の米国内での雇用を創出するとした。
 トランプ米国次期大統領は国内での雇用創出を公約としており、フォード・モーターに対して「恥知らず」と強烈な批判をして高関税をかけるとした、鶴の一声でメキシコ工場建設はご破算となった。
 景気回復に新たな雇用創出は直接的な効果があり、新たな人材育成と共に金融政策によらず根底からの景気回復が望める。
 貧困・格差問題に対して親から子への貧困の連鎖を断ち、格差の固定化を防ぐには教育支援が重要だと公明党は指摘して、「大学の無償化について検討をはじめるべきだ」と党大会でも強調している。
 今月、米国ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は大学奨学金制度を始めると共に、全米で初めて中低所得世帯の学生を対象に(2017年度から世帯収入10万ドル以下の学生が対象)公立大学の授業料を無償化する計画を発表した。
 特に貧困の連鎖を断ち切るには有効な政策で日本でも早急に検討すべきであり、人権問題と同様に格差問題の解消に取り組むべきである。
 生まれてくる子供には親や育つ環境を選ぶことが出来ず、子供の未来は平等であり社会が子供の未来への可能性を育てるべきである。
 未知数の可能性を持っている子供たちが平等に育つ環境を作り出せることが先進国の証ではないだろうか。



■平成29年1月17日(火) 第17706号

生き残れるのはコンパクトシティーか

 総務省は2017年度から中心市街地に様々な施設を集約した「コンパクトシティー」の整備に取り組む市町村に財政支援を行い、中心市街地に公立施設を整備する費用の30%を国が補助をする計画で、期間は2021年度までの5年間で総額約100億円規模となる予定だ。
 東近江市は昨年末に内閣府に対して「東近江市中心市街地活性化基本計画」を提出しており、2016年度末には認可される見通しである。
 中心市街地に生活に必要な施設を集約することにより、移動が困難な高齢者などの住みやすい地域をつくると共に、行政コストを下げることが可能となる。
 行政コストの引き下げは地方自治体の喫緊の課題であり、コンパクトシティーを目指すと共に公共施設の集約あるいは民間への委託が急務だろう。
 例えば東近江市には6ヶ所の市立図書館があるが、東近江市と同じような規模である草津市(人口約13万2千人)には図書館が2ヶ所であり、集約すれば行政コストは下がる。
 6ヶ所の市立図書館が必要ならば、住民は応分の税負担を覚悟しなければならない。
 3年後には国からの地方交付税が大幅に削減されるために、現時点で行政のコスト削減をシミュレーションしておくべきであり、重複する公共施設の削減、議員定数・職員定数の削減、それぞれのコストの見直しなど、更に民間が出来ることは民間へ委譲すれば行政コスト削減と民間の雇用拡大につながる。
 明日へ繋がる思い切った政策が必要なときではないだろうか。



■平成29年1月12日(木) 第17702号

小池旋風で都議会に亀裂か

 日本新党を皮切りに新進党、自由党、保守党、保守クラブ、自由民主党と数多くの政党を渡り歩いた小池百合子氏だが、第20代東京都知事の椅子は座り心地がよさそうに思える。
 その反面、都議会やその周辺に激震が走っている。
 都知事選で「親族も含めて除名する」との脅しとも取れる通達にひるまず小池氏を応援した豊島区議5人と練馬区議2人の計7人に対して自民党東京都連は除名処分としたが、除名された豊島区議5人は新会派「都民ファーストの会豊島区議団」を結成した。
 都議会公明党は「都議会のあり方検討会」に「議員報酬を2割削減する公明党案」を提案する予定だったが、修正を巡って都議会自民党と対立し検討会を離脱して自民党との連立に終止符を打ち小池都知事が進める「東京大改革」に賛同する意向を表明して小池支援に回った。
 更に小池都知事と都政改革を進めていくとして、都議会自民党から3人が会派を離脱した。
 小池都知事の誕生で自公の連立関係に軋みが生じ始めているようだが、長年溜まった不満や不信が表面化したに過ぎず、国政において自民と日本維新の急接近も影響しているのではないだろうか。
 地方自治体は国からの交付金を得るために政権政党である自民党に媚びるが、東京都は財政調整基金や減債基金などの合計が約3兆円もあり、財政的に豊かな地方自治体であるから何ら媚びる必要は無いわけだ。
 小池旋風が都政改革のみならず、地方自治体の行財政改革に新風が吹くことに期待したい。



■平成29年1月10日(火) 第17700号

保育士の処遇改善で待機児童は解消する

 安倍政権の最重要課題の一つである「女性が輝く社会」を実現するために女性活躍担当大臣まで設置して力強く推し進めてきたが、女性が社会で活躍する第一歩の壁に「待機児童問題」がある。
 特に保育士不足が問題視されるが、本当に保育士が不足しているのか疑問がある。
 保育士は「保育所・児童養護施設などの児童福祉施設で、保護者に代わって子供の保育をする子育ての専門家」で厚労省の管轄であり、保育士試験に合格した国家資格保持者である。
 保育所等の児童福祉施設には公立と私立があり、公立の採用試験は数十倍という高倍率で、その原因は各施設の保育士に対する待遇に大きな差があり、給与では常勤保育士でボーナスを含めた月平均の給与は公立で約29万円、私立で約26万円と大きな差がある。
 更に、採用後も私立の場合は勤続年数が11年を越えると処遇改善が頭打ちになるとの報告もある。
 同じ国家資格を持ちながら採用される施設で待遇面が異なることに根本的な問題があり、補助金を受けるための条件の一つとして厚労省がモデル賃金制度をつくり給与格差を是正すれば、保育士が働きやすい環境を自ら選択でき保育士不足は解消され、待機児童問題は解決できるのではないだろうか。
 更に一部の社会福祉法人は補助金を目的外に流用している事件も明るみに出ており、補助金の徹底した管理も必要だろう。
 安倍政権の最重要課題とするならば、思い切った改革を考えねば何も解決しない。



■平成29年1月5日(木) 第17696号

薬購入時のレシートで減税だ

 本年1月から医療費控除制度の特例としてセルフメディケーション税制が施行された。
 対象となる医薬品は医療用医薬品から転用された82成分を含むOTC医薬品(要指導医薬品及び一般医薬品)で、現在1525品目ある。
 ガスター10、セルベール、新ルルAゴールド、大正胃腸薬S、パブロンS、ベンザブロックL、ロキソニンSなど日常消費者がよく使う医薬品が多く、パッケージに「セルフメディケーション・税控除対象」のマークがつけられている。
 確定申告が必要で対象となる人は「所得税、住民税を納めている」、「1年間に健康の維持増進及び疾病の予防の取組を行っている」、「1月から12月の1年間で対象の医薬品を扶養家族分を合算して1万2千円を越えて購入している」の三条件のすべてに該当する人で、確定申告すると所得税率に応じて減税金額が還付される。
 OTC医薬品の販売額を世帯数で割った単純計算だが1世帯当り約13万円のOTC医薬品を購入しており、ほとんどの家庭が対象となり対象医薬品を購入したらレシートに表記されている為にレシートを保管しておく必要がある。
 政府の医療費抑制策の一つだが、消費者にとってはありがたい減税策でレシートを残しておけば、従来の医療費控除制度とは同時に利用できないが、確定申告をして税を取り戻すことが出来る。
 消費増税、年金カットなど国民の生活が節約志向だけに、今年は薬のレシートを保管して税の還付を受け家計の足しにしたいものだ。



■平成29年1月3日(火) 第17694号

初夢は中核市誕生

 地方自治法の一部が改正されて平成27年4月からは中核市の条件である人口が30万人以上から20万人以上に緩和され、X年Y月Z日に東近江市(人口11万4千人)、日野町(2万2千人)、竜王町(1万3千人)、湖南市(5万5千人)が2市2町合併をして人口が20万人を越える中核市(仮称近江市)が誕生した。
 近江八幡市(人口8万1千人)は新しく誕生した中核市に2次合併の準備を進めており、合併後には28万5千人の大津市についで県下2番目の中核市となる。
 中核市が処理できる主な事務は、飲食店営業等の許可、旅館業・公衆浴場の経営許可、保育所・養護老人ホームの設置認可、介護サービス事業者の指定、一般廃棄物処理施設・産業廃棄物処理施設の設置許可、サービス付き高齢者向け住宅の登録など高齢化社会を迎えている時代の要求と共に市民生活の利便性向上に地域として対応でき、市議会議員や職員数を削減できるなど地方自治体の財政基盤強化につながることが期待できる。
 国から地方への交付金が年々削減されていく中で、市民の福利を低コストで維持していくためには、中核市が最終的に市町の形で、国内の市町はいずれ中核市以上に集約されるだろう。
 新庁舎は蒲生スマートIC付近に建設され、竜王、八日市、湖東三山スマートICをつかって各地に速やかに移動できるところだ。
 更に新幹線新駅が米原京都間の中間付近に計画されており、実現すれば県庁機能の一部移動も計画されている。
 今年の初夢は中核市の誕生だ。



■平成29年1月1日(日) 第17693号

年頭に誓う「主権在民」を守る

 米国次期大統領トランプ氏の登場により、民主党政権から共和党政権へと政権が交代することで、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)など日本が民主党政権とすり合わせてきた経済、貿易、安全保障などがことごとく見直されつつある。
 トランプ氏の大胆な規制緩和を期待して米国市場は活性化し、日本の市場もその影響を受けて活発化しているが、経済も安全保障も結局、米国頼みだった事が露呈した格好だ。
 世界各国でリーダーを選ぶ流れに「ポピュリズム」があり、リーダー達は「自国の経済を守ることが第一だ」と宣言する。
 日本では野党勢力が弱体化し、選挙戦に「野合」を組むなどの手段に頼っても安倍政権は安定し長期化している。しかし一方では、「ポピュリズム」に陥る危険性もはらんでいる。
 更に地方自治においても一部には「ポピュリズム」の流れがある。しかしわが国は日本国憲法の前文で国家の主権が国民にあると「主権在民」を宣言している。
 一部の政治家による偏った扇動により国民、県民、市民から主権在民の信念を削ぎ取られないように、如何なる状況でも警鐘を鳴らす責務を滋賀報知新聞は負っているとの思いを新たにする。
 滋賀報知新聞は湖国唯一の地方紙として民意を十分反映し、真の国家づくりが継続し続けるように検証していくことを誓う。
 一、我等は常に、真実と公正に生き、自由と正義を貫く。
 一、我等は常に、正しい世論を啓発喚起する。
 一、我等は常に、社会の善を助長し、悪を粉砕する。
 一、我等は常に、文化にさきがけ、郷土を愛する。
 一、我等は常に、主権在民の成果を力の限り希求する。
 以上、「滋賀報知信条」の五箇条を常に胸に携え地方を活性化するために、正義をもって真実を報道する事を滋賀報知新聞社と系列各社は全県民に全国民に誓う。
滋賀報知新聞社 報知写真新聞社 
滋賀市民新聞社 滋賀報知通信社 

■平成28年12月29日(木) 第17692号

「既得権益の解消」は国民の声だ

 本紙の記事や社説に対して市民の皆さんから数多くの投書や電話があります。
 その多くは国、県、市などの行政に対する不満や意見、国会議員、県議、市議など議員の政治姿勢や素行問題など、紙面には書き表せない投書もあり、行財政に関わる既得権益の解消を訴える投書が一番多く見受けられる。
 2004年の小泉内閣時代に「現役世代の平均的収入との対比で50%を維持する、百年安心だ」として年金改正を行ったが、100年も経たない今年に年金額が現役世代の賃金が下がれば年金額を減額する年金制度改革法を可決した。
 野党は「年金カット法だ」というが、果たして新法で年金受給者は安心できるのか、格差は是正されるのか不透明だ。
 国民が不安視する中、投書からは公務員の高い給与、退職金、年金の原資は国民の税金であり、「官尊民卑」、「役人天国」などの声が多く、社会保障の削減や消費増税の前に公務員の厚遇見直しに手をつけるべきだろう。
 投書の中には「中曽根内閣は国鉄を民営化した、小泉内閣は郵政の民営化をした、だから安倍内閣ではすべての既得権益をなくす行政改革をしてほしい」などの声もある。
 公務員給与は従業員数50人以上の企業を参考対象にして決めているが、従業員数10人未満の企業数は約80%を占めており、その従業員の税で公務員給与をまかなっているために納税者は納得できないだろう。
 何故全企業を対象としていないのか、都合のよい決め方だとしか思えず、これも既得権益ではないだろうか。



■平成28年12月27日(火) 第17690号

そんな研修医、医学生いらん

 千葉大学(千葉市稲毛区)は1949年に設立され在籍者は10772人、医学部を含む10学部と10学科の大学院と医学部付属病院などを有している。
 医学部がある国公立、私立大学80校の中で偏差値は11位でかなりな学力を持った学生が集まっていると思われるが、同付属病院の研修医と医学部5年生3人が飲み会で女性に乱暴して準強制わいせつの疑いで逮捕された。
 事件を起こした学生は当然退学処分、研修医は平成26年に国家試験に合格しているが医師免許停止処分をすべきである。
 6年間の学費総額は国公立の医学部で約350万円、私立大学で約3500万円と10倍の格差があり、国公立大学の医学部維持には多額の税金がつぎ込まれており、一人の医師を育てるためには国公立、私立を問わず様々な形で巨額な公費がつぎ込まれているのが現状だ。
 更に政府は1982年に「2007年頃に医師が過剰になる」として、医師数の抑制を閣議決定した為に、現在も医師不足が大きな問題となっており、病院の勤務医は過労死寸前の状態で、医療崩壊している状態である。
 患者が安心して医療を受けたいという国民の期待を背負っている医学生や研修医が罪を犯すとは信じがたい行為であり、そんな医師では安心して診察は受けられず不信感の塊だ。
 医学部の定員を何故増やさないのか、薬学部は新設されるが医学部は何故新設されないのか。
 患者が安心できる医師を選べる時代が来るのは何時のことやら。



■平成28年12月22日(木) 第17686号

ビール系飲料は苦味で減税だ

 政府・与党が税を見直すときに必ずと言っていいほどビール系飲料の酒税の見直しが検討される。
 酒税の税率はアルコール分が高いほど高くなっており、1リットル当たり清酒ならばアルコール分が22度未満では120円、焼酎ならば25度で250円、ビールは222円、果実酒は約70円と定められているが、ビールの酒税がアルコール分の割には高く設定されており、ビールも他のアルコール飲料と同じようにアルコール分を考慮して税率を定めるべきだろう。
 税率が高止まりのためにビールメーカーはビール味に近く税率の低い発泡酒や第3のビールなどを多額の開発費をかけて販売している。
 因みに350ミリリットル缶当りビールが77円、発泡酒は47円、第3のビールは28円とビールの税率は高くビール愛好家は多額納税者とも言える。
 ところが政府・与党は2026年に酒税を統一するためにビール類の税格差をなくしてビール類の酒税を一律1缶当り55円に統一すると発表した。
 統一されるとビールは22円の減税、第3のビールは倍の27円の増税となる。
 企業が長年かけて作り出した発泡酒や第3のビールの開発は無に帰すことになるが、酒税をアルコール分(度数)に応じて平等に定めていれば、企業は無駄な開発はしなかっただろう。
 近年、キリンと東京大学、学習院大学の共同研究チームがビールなどに含まれるホップの苦味にアルツハイマー病の予防効果があることを明らかにし、予防薬であるビールなどの酒税は減税すべきだろう。