社説

■平成29年10月19日(木) 第17940号

消費増税と三党合意

 安倍首相が臨時国会の冒頭で「国難突破解散」だと衆議院の解散に踏み切り、22日に有権者の審判が下る。
 更に「大義なき解散」と揶揄される中、安倍首相は2019年10月に予定する消費税率を10%引き上げに伴う増収分の使途を変更して、「全世代型社会保障」の財源として「子育て世代への投資」を行うとして、2012年の「三党合意」を反故にする為に国民の信を問うとした。
 「三党合意」は野田政権下で増え続ける社会保障費を借金(赤字国債)で賄う替わりに、消費増税で社会保障費を補う「社会保障と税の一体改革」に関する合意を民主・自民・公明の三党間で合意したもので、その合意を国会審議なくしていきなり国民に問う解散となった。
 「三党合意」の消費税率引き上げで増収となった税は、社会保障費と借金(国債)の返済に充てるために、返済が進めば政府会計において過去の債務の元利払い以外の支出と公債発行などを除いた収入と収支のバランスであるプライマリー・バランス(基礎的財政収支)が均衡化し、今以上に国の借金は増えず、将来に借金のツケを回している現在の財政状況が改善されて次世代の借金は軽減される。
 最後の増税原資といわれる消費税だけに、まずは1千兆円を越える国の借金を削減すべきであり、ゼロ金利時代だから利息の支払は財政を圧迫しないだろうが、金利が少しでも上昇すれば利息の支払が増加して財政圧迫は必死だろう。いずれにしても消費増税は議論を積み重ねたいものだ。

■平成29年10月17日(火) 第17939号

働きアリの法則、議員とアリは「違うだろー」

 東近江市議選の立候補予定者が尋ねてこられ、東近江市の課題などを話されたが、定数25人の内、数名は議会での一般質問に市民の声が反映されていない、過去に質問した問題を相変わらず同じ内容で質問を繰り返している、質問をしたが再質問の的が外れている、再質問が出来ず質問時間を持て余すなど議員活動が怠慢で「議員報酬泥棒」といわれる議員を見かけるが、その様な議員にはなるなと諭した。
 「数の中にある程度の働かない議員がいるのは仕方ない」と予定者は「働きアリの法則」を語った。
 働くアリと働かないアリの差は「腰の重さ」であり、アリに仕事が現れたときに腰の軽いアリが働き始めて、次の仕事が現れたときはその次に腰の軽いアリが働き始める。
 始めの腰が一番軽かったアリが疲れて仕事を休むと腰の重かったアリが代わりに働き始める。
 すべてのアリが同じレベルの腰の重さであれば仕事は短期間で終わるが、すべてのアリが疲労したときには仕事が滞ることになる。
 腰の重さによっては一生働かないアリも存在し、そのアリのことをフリーライダー(ただ乗り)やコミュニティをだまして寄生するチーターと呼んでいる。
 アリは「人間」に、アリのコロニーは社会や組織などの「人間のコミュニティ」に例えられる。
 「働きアリの法則」は理解できたが、議員に数名の仕事をしない「ただ乗り」や「寄生」がいる理屈だそうだが、議員とアリは「違うだろー」だ。


■平成29年10月12日(木) 第17934号

政治活動と選挙運動

 政府は臨時国会での冒頭解散を受けて臨時閣議で第48回衆院選の日程を「10月10日公示、22日投開票」と決定した。
 滋賀県では、10月15日に甲賀市、野洲市、湖南市、東近江市、米原市で市議選が告示されて22日に投開票されるために、地域によってはダブル選挙となる。
 選挙の公示や告示前までは「政党その他の政治団体等が政策の普及宣伝、党勢拡大を行うなど、特定の候補者の当選を得るための行為ではない」として後援会活動などの政治活動が認められているが、公示や告示後は選挙違反となる。
 公示や告示前でも「特定の選挙について、特定の候補者の当選を目的とする行為」である選挙運動は事前運動として選挙違反となる。
 ダブル選挙で注意したいことは15日に告示される5市の市議選の前に、既に衆院選が公示されているために10日以降は市議選が告示前でも政治活動は行えない。
 例えば、各選挙前には立候補予定者の後援会が後援会加入申込書などのリーフレットをポスティングしているが、それも10日以降は選挙違反となる。
 市議選の立候補を躊躇して出遅れた予定者にとっては、政治活動の期間が短くなり迷惑な衆院選となったに違いない。
 特に注意したいことは後援会入会案内のリーフレットには必ず入会申込書がなければ政治活動とみなされず選挙違反の可能性がある。
 インターネットを使った選挙運動が出来るようになった今、ビラやリーフレットの配布制限解除など公職選挙法の見直しが必要だろう。



■平成29年10月5日(木) 第17929号

衆院解散は天皇の国事行為

 9月28日、安倍晋三内閣総理大臣は臨時国会で所信表明を行わず冒頭で衆議院を解散した。
 第193回通常国会が6月18日会期を終了したが、森友・加計問題を追及していた野党は憲法第53条に基づき臨時国会の召集を要求し、内閣は召集を決定しなければならないが、憲法に召集期日の期限が明記されていないことを理由に、3ヶ月以上もほったらかしておきようやく臨時国会を召集したが、冒頭解散で野党の口封じをしたことになる。
 内閣総理大臣に衆院を解散する権限があるとされるが、憲法には明記されていない。
 憲法第69条に「内閣不信任議決が可決された場合、首相は内閣を総辞職させるか、衆議院を解散する」と明記されており、この場合は首相に解散権がある。
 憲法第7条に「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、国事に関する行為を行う」とあり、第3項に「衆議院を解散すること」とある。
 この7条を根拠として首相に解散権があるとしているが、天皇に助言と承認を与えるのが内閣であり、解散するのは天皇である。
 天皇は国民のために国事行為をするとあり、今回の解散は果たして国民のためだったのか疑問が残る。
 大儀なき解散といわれ、引き上げる消費税を「全世代・社会保障」の財源に流用することを解散要件の一つとしているが、国会では全く論議されておらず、国民には耳障りのいい言葉だが、平成24年の社会保障と税の一体改革に関する三党合意はどこに行ったやら。勝てば官軍なのだろうか。


■平成29年10月3日(火) 第17927号

議員定年と有権者の責任

 自由民主党総裁、同幹事長、法務相、財務相、国交相などの要職を歴任した谷垣禎一氏(72歳・京都5区)は事故療養中で早ければ秋の臨時国会からの復帰を期待されていたが、総選挙への出馬を見送った。
 時同じくして、民主党国会対策委員長、民主党副代表、総務相、文科相を歴任した衆院副議長の川端達夫氏(72歳、民進党、比例近畿ブロック)も出馬を見送り、両氏共に72歳。
 政治家にとって70歳は大きなハードルで後継者にバトンを渡すきっかけの年齢でもあり、今回の衆院選では全国各地で世代交代が見受けられるだろう。
 明日の日本、明日の地方を責任持って語るには、20年後、30年後の日本や地方に元気で活躍している姿を見せる者が語るべきであり、議員の定年といわれる年齢になれば、人物的魅力は輝きを増しても地域のリーダーとしてのパワーが若年時代よりも失われていることは事実だ。
 年齢の壁は厚く、政治力や議員としての人物的魅力の低下が物語っており有権者はそれを見抜いている。
 「役に立たない議員だ」といわれながらも議員バッチにしがみついてる姿はみっともなく「己の幸せ」だけを考えているといわれても過言ではない。
 一方、ばれないだろうと政務活動費の一部を私的に流用したり、違法行為を平然と行い全く罪の意識がない等とても議員と思えない行動を平然と行う議員は定年以前の問題だ。
 こんな議員に国政や地方自治を任すわけにはいかず、選んだ有権者にも責任がある。


■平成29年9月28日(木) 第17923号

自動運転支援システムに補助金を

 各自動車メーカーから様々な運転支援システムを搭載した新車が発表されて、自動運転が身近になってきた。
 自動運転の定義は6段階で、レベル0はドラーバーが常に加速・操舵・制動を行う、レベル1(運転支援)は加速・操舵・制動のいずれかを支援する、レベル2(部分自動運転)は運転環境によって加速・操舵・制動のうち同時に複数の操作をシステムが行うが、ドライバーは常にハンドルから手を離すことが出来ない、現在の車両に搭載されているシステムはこのレベルである、レベル3(条件付自動運転)はシステムが加速・操舵・制動を行いドライバーは運転から解放されるが緊急時にはドライバーの対応が必要で2018年にドイツのマーカーが販売する予定、レベル4(高度自動運転)は特定の状況下のみシステムが操作をすべて行う、レベル5(完全自動運転)は無人運転で日本は2025年を目標にしている。
 高齢化社会を迎えて高齢者による操作ミスによる事故が多発しているが、運転免許証の自主返納制度があり地方自治体もバスの利用券を支給するなどしている。
 しかし、公共交通機関が整備されていない地方では車は生活に欠かせない足となっており、運転者にシートベルト装着が義務付けられているように、高齢者が運転する車にはレベル2以上を義務付けるなどすれば事故も減少するだろう。
 但し高齢者の車両購入時には運転支援システム部分に対して、電気自動車と同じように補助金も必要だろう。


■平成29年9月26日(火) 第17921号

若き候補者に可能性を求めよ

 本年8月3日に第3次安倍改造内閣が誕生して、安倍首相は「仕事人内閣」と国民にアピールしたが、組閣後、2ヶ月もたたないうちに解散となれば改造内閣の実績は全くなく、とても仕事をやり遂げた内閣とは思えない。
 大義なき解散といわれる今回の解散は都議選で都議会自民党が惨敗し、都民ファーストの会が大躍進した為に都民ファーストが国政政党を立ち上げる前に解散総選挙があると各メディアは既に見越していたはずだ。
 更に首相は「森友、加計問題は国民に丁寧に説明する」と国民に約束していたが、臨時国会でこの問題を追及されて内閣支持率が下がると判断し、解散総選挙で問題説明を回避できると判断したともいえる。
 大義なき選挙における有権者の投票行動は支持できない候補者や政党を消去し、選択肢を失い残った候補者や政党に投票するような消極型の投票になり、現政権が有利になると見ての解散総選挙だろう。
 争点を失った選挙は党利党略の為に、単に賛成のボタンを押す議員を増やすだけにしか過ぎず、地元に根ざしていない「落下傘候補者」はその典型といえる。
 自民党は衆院比例区で「73歳定年制」、参院比例区で「70歳定年制」を謳っているが、男性の平均寿命が約81歳で平均余命が10年足らずの議員さんに、日本や地方の未来を託すには荷が重いだろう。
 大義なき選挙は国会議員選挙でも地方議員選挙でも若き候補者に、その可能性を求めても良いのではないだろうか。



■平成29年9月21日(木) 第17917号

挫折したフリーゲージトレインと滋賀県

 北陸新幹線の金沢から敦賀までの延伸工事が完了し開業するのは2022年度末と決定している。
 敦賀から新大阪まではフリーゲージトレイン(FGT・軌道可変電車)を使って在来線である湖西線を経由する計画もあったが、FGTの新型車両の走行試験(3万km)で車軸に傷が残ることが確認されて、新幹線の安全基準である60万kmに絶えられないと結論づけられた。
 FGTは約20年前から約500億円を投じて研究開発を進めており、2022年度末の開業予定である九州新幹線の長崎ルートに採用する予定であったがFGTの導入が困難となった。
 長崎ルートでは博多駅から武雄温泉駅までは在来線の特急で、武雄温泉駅から長崎まではフル規格の新幹線に乗り換える「リレー方式」で暫定開業する計画。
 FGTは1968年にスペインで実用化され、現在も高速電車やディーゼルカーにも取り入れられているが、FGT技術では日本が遅れているのだろう。
 更に、北陸新幹線の敦賀から新大阪までの延伸は2016年12月に政府与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチームの検討委員会において「小浜市、京都駅を経由して新大阪に至るルート」が、2017年3月に「京田辺市の松井山手駅を経由するルート」が正式決定した。
 米原ルートを推し進めてきた滋賀県の意向は全く無視されたようだが、過去に滋賀県が新幹線新駅をご破算にした経緯があり、滋賀県は新幹線とはほとんど縁がないようだ。


■平成29年9月19日(火) 第17915号

東近江市独自の奨学金制度を作れ

 「わが国の将来を担う意欲溢れる学生が経済的にも自立し、安心して勉学に励めるように」と国は奨学金事業を行ってきたが、平成16年以降、国、日本育英会などにおいてそれぞれ実施されていた日本人学生や外国人留学生などに対する各種支援を独立行政法人日本学生支援機構が実施している。
 国内の大学・短大・高専・専修学校・大学院で学ぶ人を対象とした奨学金には利息の付かない第一種と利息が付く第二種があるが、無利息は元金を返済すればいいが、第二種には年3%を上限として利息が付く。
 例えば毎月10万円を4年間借りると総額は480万円となり、利息3%で10年間の元利均等で返済すると支払利息の総額は約76万円にもなる。
 本年4月現在、東近江市の待機児童数は小椋市政の努力により昨年に比べて28人減少したが、未だ44人の待機児童がいる。
 関係者によると「官民の保育施設は充実しつつあるが、保育士が不足しており待機児童ゼロが難しい」と話すが、東近江市内にはびわこ学院大学・同短大があり条件を満たす単位をとれば、幼稚園教諭、保育士の免許が取得でき、幼保連携型「認定こども園」で活躍することが出来る。
 市内にある大学を活用する為にも幼稚園教諭、保育士の免許取得を目指す学生に、東近江市独自の奨学金制度を作り、奨学生は卒業後5年間程度、東近江市内で保育園やこども園で働くことを条件に、奨学金返済を免除すれば保育士不足などは解消できるのではないだろうか。


■平成29年9月14日(木) 第17911号

現状の公務員給与総額内での定年延長

 菅義偉官房長官は9月1日の記者会見で「少子高齢化社会が進行する中にあって、高齢者の就業促進は今後社会のあり方を考える上で極めて重要だ。高齢者の就業促進という観点から民間企業について継続雇用年齢等の引き上げを進めることなどを期待すると共に、公務員の定年の引き上げについて本年6月、政府内に検討のための関係省庁連絡会議を設置し、様々な課題も踏まえながら幅広い検討を行っていく」と語った。
 現実として国家公務員の天下りは様々な形で行われており、地方公務員も地方自治体から補助金を受けて事業を行っている外郭団体への天下りは平然と行われているのが現状だ。
 更にたちが悪いのは公務員の能力に応じての天下りではなく、地方自治体幹部である一部の職員の天下りの温床となっており、定年を迎えた一般公務員にはお声がかからず、幹部職員は年金受給まで収入がつながるが、一般職員にはその恩恵はない。
 一部の企業では従業員の定年延長の選択肢が平等にあるが、公務員にはそれがなく定年後の再雇用は不平等といえる。
 政府が目論む65歳までの定年引上げは年金受給までのブランクを解消することが出来るが、人件費の増大につながる。
 さらに民間企業と比べても高額といわれる公務員給与だけに、定年を引き上げるならば公務員給与の総額は現状維持が原則だろう。
 公務員給与総枠の中で現役公務員が定年引上げ公務員を支えることで、財政への圧迫はなく国民は納得するだろう。