社説

■平成29年2月21日(火) 第17736号

非常勤職員にもボーナスが

 国や地方自治体の歳出のうち支出することが制度的に義務付けられている経費のことを「義務的経費」といい、職員の給料や議員報酬などの人件費、生活保護法や児童福祉法などに基づき公的扶助制度として対象者に支給する扶助費、国や地方自治体の借入金を返済するために必要な経費である公債費の三つからなっている。
 税収などの一般財源に占める義務的経費の割合を「経常収支比率」といい、その割合が大きければ財政構造の硬直化が進んでおり自由になる予算が少なく、その数字が80%を越えると財政の弾力性が失われ、90%を越えると財政構造が硬直化しているといわれ、地方自治体の運営に独自性が失われていく恐れがある。
 一般家庭に例えると20万円の収入があってもローンの返済、光熱費、食費など必ず必要な支出が20万円とすれば全く自由になるお金がなくなるために、光熱費や食費などを切り詰めて自由なお金を生み出しているのが現状である。
 総務省は地方公務員の非常勤職員の待遇を改善するために法改正案を国会に提出し、正規と非正規の格差を是正する「同一労働同一賃金」を推し進め、その結果非常勤職員には制度上支給ができなかったボーナスも支給できるようになり、非常勤職員などには朗報だろう。
 しかし、義務的経費が膨らむために各地方自治体の経常収支比率は悪化することは必至であり、財政構造の硬直化を避けるために義務的経費の削減が求められ、その検討が必要なときではないだろうか。



■平成29年2月16日(木) 第17732号

スマート化で失うものは

 関西電力は各家庭などに設置されている電気メーターを「スマートメーター」に交換しているが、2016年度に顧客の半数である約650万台の交換を終え、22年度には約1300万台の交換を終えて全戸導入が完了するとしている。
 現在設置されている電気メーターは円盤が回転することにより電気使用量を計測する「機械式メーター」、決められた時間帯ごとに電気使用量を計測する「電子式メーター」があり、どちらも毎月検針員が目視検針で使用量の確認を行っている。
 「スマートメーター」は30分ごとの電気使用量を計測・記録し、遠隔検針を行うために通信機能を搭載しており毎月の検針員が不要となる。
 その利点としては夏場や冬場の電気使用量のピーク時に地域単位や建物単位で電力供給をコントロールすることにより大規模停電を防ぐことが出来る、通信機能で電力会社に通知することにより検針員が不要となり人件費削減となる。
 問題点としては関西電力管内の約2千6百人の検針員が職を失うために失業率が向上する、通信機能を使うために個人情報が漏洩する恐れがある、測定が正確すぎることによる問題も起こってくる。
 携帯電話に代表されるように様々な機器に情報処理能力や管理・制御能力を持たせることを「スマート化」というが、スマート化が進めるスマート革命で人は職を失うことにもなり、スマート革命が人類に何をもたらすのかをしっかりと見据えて、人間らしさは失いたくないものだ。



■平成29年2月14日(火) 第17730号

議員定数削減を論議せよ

 東近江市議会は1月29日の補欠選挙で欠員1人が補充されて定数25人となり、欠員時に比べて議員1人分の議員報酬などが増加した。
 県内各市の人口を市議会議員定数で割った数字は大津市(定数38人)9014人、草津市(定数24人)5482人、彦根市(定数24人)4704人、東近江市(定数25人)4607人などであり、それぞれの議員報酬は大津市56万3千円、草津市44万3千円、彦根市40万5千円、東近江市37万円などとなっている。
 東近江市議会議員の一部から議員報酬の引き上げを求める声があるが、報酬引き上げを求める前に市議会議員が充分な議員活動を行っているのか、市議会で市民が納得できる質問や再質問が出来ているのかなどを充分に検証する必要があり、職務を忠実に行っていない議員の報酬などは引き上げる必要は無く、税金泥棒といわれても仕方が無いだろう。
 東近江市議会の場合、人口規模が似通った草津市(人口13万1576人)の議員定数で人口を割った数字の5482人で、東近江市(人口11万5178人)を割れば約21人となり4議席の削減となり、草津市と同等の議員報酬44万3千円、副議長49万2千円、議長55万8千円は市民が納得する数字かもしれない。
 何ら身を切らずして報酬の引き上げなどを口にするなどはもってのほかで、東近江市議は本年10月31日に任期満了を迎えるために、今こそ議員定数削減を検討しても良いのではないだろうか。


■平成29年2月9日(木) 第17726号

監査委員は機能しているのか

 地方自治法に基づき都道府県と人口25万人以上の自治体には4人以上、その他の自治体には2人以上の「監査委員」をおく必要があり、そのうち1人もしくは2人は議員から選ぶと決められており、議員以外の任期は4年である。
 滋賀県の場合は4人で県議が1人と一般が3人、報酬は県議が月額11万円、一般は月額23万3千円、東近江市の場合は2人で市議が1人と一般が1人、報酬は市議が2万8千円、一般が8万円で、人選は知事や市長が議会の同意を得て選任している。
 監査基準を策定し公開を義務づけ、監査委員が自治体に是正を勧告できるようにして地方自治体の監視体制を強化するために、政府は今国会に地方自治法の改正案を提出するとしている。
 複数の監査委員は合議制ではなく、知事などと同様で委員一人の独任制であり監査委員会がなく、監査委員は「人格が高潔で地方公共団体の財務管理、事業の経営管理その他の行政運営に関し優れた見識を有する者」と地方自治法第196条に謳ってある。
 改正案では「議員の監査委員は名誉職化している」との批判があるために自治体の判断で「ゼロ」とすることや専門性を求められるために監査専門委員の任命を可能としている。
 年々情報が高度化して複雑化しているために監査委員には専門性が要求され、ほとんどの議員に専門性を求めることは難しいであろう。
 一般からの人選も何故か特定の銀行出身者が目に付くことにも疑問があり、監査の形骸化を感じる。



■平成29年2月7日(火) 第17724号

予算成立と赤字国債の自動発行

 先月31日に2016年度第3次補正予算が、参院本会議で可決、成立した。
 政府は16年度当初予算の税収を57.6兆円と見込んでいたが、税収が伸び悩み16年度3次補正で税収を55.9兆円と下方修正したために、赤字国債を1.7兆円追加発行することも決めた。
 赤字国債は国の財政の赤字を補填するために発行される「特例国債」であり、財政法第4条で「国の歳出は公債又は借入金以外の歳入を以って、その財源としなければならない」とあり、赤字国債の発行は禁止されている。
 但し、同条1項では公共事業などの財源については例外的に国債発行や借入金による調達を認めており「建設国債」とも呼ばれる。
 要は、一般家庭を例とすれば「光熱費や食費などの生活費が不足しても収入の範囲で賄い、不足分は生活を切り詰めなさい、無駄な支出に借金はしてはならない」ということで、一般家庭ならば借金生活は行っていないはずだ。
 政府は赤字国債を発行するために予算とあわせて赤字国債発行の特例法を毎回成立させてきたが、13〜15年度の3年間は当時与党であった民主党と野党であった自民、公明両党の3党合意に基づき予算成立と同時に赤字国債の発行を認める特別措置をとっており、その特例法を16年度から5年間延長しており自動的に赤字国債が発行できる。
 20年度までは財源不足に陥れば、国会で赤字国債発行の是非の論議をしなくても国は平気で借金できる状態だが、これでは財政規律は守れないだろう。



■平成29年2月2日(木) 第17720号

民進党公認候補が立候補を取りやめた

 1月29日に投開票された高島市長選は現職の福井正明氏が再選され、同市議選は定数を2議席削減した18議席を24人が争い、有権者には納得の行く選択が出来たのではないだろうか。
 同日、東近江市では市長選と市議補選が告示されたが立候補者がそれぞれ1人で午後5時に無投票当選が決まり、有権者には選択肢が無かった。
 特に市議補選では昨年の10月に早々と大福登氏が民進党の公認を得て名乗りを上げてマスコミに発表し、12月には無所属の西村純次氏が名乗りを上げて1議席を巡り激しい選挙戦が予想され、有権者に選択肢がある本来の選挙の姿が見えたが、29日の告示日直前に大福登氏が急遽立候補を取りやめた。
 民進党の公認で連合が推薦した候補者だけに取りやめの経緯は難解だが、1月22日に「とくなが久志・新春のつどい」で大福氏は壇上に上がり挨拶をしている、25日に東近江市選挙管理委員会で立候補予定者の届出書類の事前審査を終えている、25日夜に急に具合が悪くなり選挙対策打ち合わせの席で医者に行くように言われる、26日夜に第4区の役員会の報告を受けて田島一成民進党滋賀県連代表の判断で立候補を取りやめた経緯がある。
 早くから民進党公認の看板を掲げた立候補予定者が告示直前に取りやめるとは前代未聞の汚点であり、民進党公認は薄っぺらのメッキの様に思える。
 更に今回の補選には連合が28日に一斉行動をして全面的に支援をする予定だったが、取りやめにより民進党との亀裂は避けられないだろう。


■平成29年1月31日(火) 第17718号

滋賀学園野球部の皆さんに感謝

 1月中旬に日本を襲った寒波は東近江地域にも数十センチの積雪をもたらした。
 日曜日の夜間の降雪は休み明けの通勤、通学の足を奪い、各地で除雪車の出動を待ち望む声が聞かれたが、ごく一部の幹線や地域しか除雪されず、特に子供たちの通学路は全く除雪されなかった。
 除雪に関して東近江市の担当者に問えば、「国道、県道は県土木事務所が行い、市道は東近江市が行う。東近江市は市内38業者と委託契約しているが、国道や県道などの幹線道路を優先することや除雪費の関係で民間施設の除雪が優先されるのが現状、通学路は特に除雪していない」、「除雪委託費は前年度より約6%増やしている」との回答が返ってきた。
 過去には地元業者などが幹線道路も通学路も率先して除雪していた記憶があるが、今は地元業者とのコミュニケーションが無いように思われる。
 公共工事を「安けりゃ良い」の一声で市外業者への発注量が増えている状況だが、急な降雪などの緊急事態に協力してくれるのは地元業者ではないのか。
 防災、減災には地元業者の力が必要で、いざという時助けてくれる地元業者をもっと重く見るべきであろう。
 そんな中、滋賀学園の野球部が通学路の雪どけをして保護者に感謝されているという話を耳にした。
 行政に頼むばかりでなく出来る人が出来るだけの事をする、そうして助けられた人は感謝の気持ちを持つ。こうして世間はうまく回っていくのだろう。
 厳寒の中、心温まる話を届けて下さった読者のKさん、ありがとう。



■平成29年1月26日(木) 第17714号

農業の産業化

 都道府県には作物の品種改良や新しい農業技術を開発するための農業の研究機関として農業試験場(農試)が設置されており、その名称は都道府県によって異なり「農業総合センター」、「農業総合技術センター」、「農業技術振興センター」などと呼ばれている。
 農試の主な業務は「農作物の新しい品種を作ったり育てたりする」ことで、昭和27年に施行された「主要農作物種子法」に基づいて設置されている。
 同法でいう主要作物とは稲、大麦、はだか麦、小麦、大豆で、その優秀な種子の生産及び普及を促進することを目的としており、稲の品種改良が都道府県に義務付けられている。
 ところが農水省は都道府県が独占している稲の品種改良を民間に開放するために、65年間続いた「主要農作物種子法」の廃止法案を通常国会に出すとした。
 各都道府県が地元に相応しく普及すべき優良な品種として決定した「奨励品種」は、今までに444種が指定されており品種の開発は90%が都道府県、国が10%で民間は0%だったが、同法の廃止により品種開発が民間に開放されることになる。
 2018年から減反(米の生産調整)が廃止される為に、品種改良に民間の活用を目論んでいる。
 品種改良を都道府県へ義務付けた制度からの解放は規制緩和の一環であり、品種改良の公的補助を民間も受けることが出来るようになるために、農業を産業化する一歩とも取れる。
 減反政策の廃止など農業政策の大幅な見直しには農業の産業化で農業を守るべきであろう。


■平成29年1月24日(火) 第17712号

嘘つきは公職者になれない

 昨年12月22日に福岡県飯塚市の斉藤守史市長と田中秀哲副市長が平日の日中に庁舎を離れて「賭けマージャン」をしていたことが発覚し、飯塚市議会で陳謝したが謝罪会見で斉藤市長は「就任した10年ほど前から賭けマージャンを始めて賭け金は1日1万円ほどだった、賭けなかったらマージャンをする人がどれくらいになるだろうか」などと開き直り、「賭けマージャン」を容認するような発言をした。
 飯塚市では一気に市長辞任の声が大きくなり、1月11日に斉藤市長と田中副市長が辞職する意向を明らかにした。
 「賭けマージャン」をすることは「常習賭博罪」にあたり、賭博の常習者とは賭博を反復・累行する習癖のある者をいい、必ずしも職業的に賭博を行う者であることは要せず、習癖が認められる以上1回の行為でも常習賭博罪にあたる。
 首長や議員の胸には公職者の証であるバッジが付いており、公職者が市民を欺くような発言や嘘をつくなどはもってのほかで公職者の資格は無いといえる。
 憲法第15条に公務員の本質「すべての公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と謳ってある。
 過去に市民に隠れて「賭けマージャン」をした公職者や市民を欺く「嘘」をついた公職者からバッジを剥ぎ取るべきであり、その権利も憲法第15条に「国民固有の権利である」と明確に謳ってある。
 有権者は公職者をしっかりと見据えて、「賭けマージャン」をしたり「嘘」をつくことが平気な偽善者は公職者に選べない。


■平成29年1月19日(木) 第17708号

公立大学の無償化で格差是正

 フォード・モーター(米国)はメキシコで計画していた工場新設を取りやめて、米国ミシガン州の工場で電気自動車や自動運転車をつくると発表し、それにより新たに700人の米国内での雇用を創出するとした。
 トランプ米国次期大統領は国内での雇用創出を公約としており、フォード・モーターに対して「恥知らず」と強烈な批判をして高関税をかけるとした、鶴の一声でメキシコ工場建設はご破算となった。
 景気回復に新たな雇用創出は直接的な効果があり、新たな人材育成と共に金融政策によらず根底からの景気回復が望める。
 貧困・格差問題に対して親から子への貧困の連鎖を断ち、格差の固定化を防ぐには教育支援が重要だと公明党は指摘して、「大学の無償化について検討をはじめるべきだ」と党大会でも強調している。
 今月、米国ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は大学奨学金制度を始めると共に、全米で初めて中低所得世帯の学生を対象に(2017年度から世帯収入10万ドル以下の学生が対象)公立大学の授業料を無償化する計画を発表した。
 特に貧困の連鎖を断ち切るには有効な政策で日本でも早急に検討すべきであり、人権問題と同様に格差問題の解消に取り組むべきである。
 生まれてくる子供には親や育つ環境を選ぶことが出来ず、子供の未来は平等であり社会が子供の未来への可能性を育てるべきである。
 未知数の可能性を持っている子供たちが平等に育つ環境を作り出せることが先進国の証ではないだろうか。