社説

■平成30年7月19日(木) 第18171号

1票の格差是正論争はいつまで続くのか

 参院選挙制度改革の自民党案では1票の格差を是正するために、議員1人当たりの有権者が最多の埼玉県選挙区の定数を2増して8人として3年ごとの改選数は4人、比例代表の定数を96人から4増して100人として3年ごとの改選数は50人として最大格差は3倍未満となる。
 更に、比例代表では現行の非拘束名簿方式の一部に拘束名簿方式を導入して、拘束名簿への記載者を当選圏内に優遇する「特定枠」を設けるとしている。
 わかり易く言えば拘束名簿の上位の候補者は記載された時点で戦わずして当選確実となるわけで、今回不評であった2県の合区選挙区から1人を特定枠に記載すれば、合区選挙区では選挙区から1人、比例代表から1人の計2人の当選が見込めるわけだ。
 この秘策ともいえる参院選挙制度改革は現職若しくは現職であった議員を当選しやすくする制度で、議員を忖度(そんたく)するような改革でアンケート調査によると約70%以上の反対があり、民意を反映していない。
 この自民党案に対して公明党は現在の定数を変えずに、比例代表と選挙区を廃止し、全国を11の選挙区(1選挙区の定数は8人から40人)に分ける「大選挙区制」を提案していた。
 大選挙区制は1票の格差もなくなり、死票も少なく有権者の意思を反映しやすいメリットもあるが、議員と有権者の距離が遠くなり選挙費用も多額になるなどのデメリットもある。
 選挙の度に「1票の格差是正」を求められる現行の選挙制度は、根本から見直す必要がある。


■平成30年7月17日(火) 第18169号

近江ガチャコンの出番ですよ

 大阪府北部地震の影響で近畿一円の交通機関が運休し、数多くの利用者が通勤や通学の足を奪われ、JRの在来線は全線で復旧までに丸一日を要した。
 駅間に緊急停止した列車に乗客が閉じ込められたり、運行再開が遅れて帰宅困難者が続出した問題で、国交省は6月29日に三大都市圏の鉄道事業者を集めて会議を開き、冒頭で石井啓一国交相は「検証して改善策を検討することは重要だ」と事業者に苦言を呈した。
 7月上旬、梅雨前線に向かって湿った空気が流れ込み、西日本から中部地方に大雨が襲った。
 その被害は刻々と大きくなり7月6日頃には歴史的大雨となり、一部地域には大雨特別警報が発令されるなど異常な気象が続いた。
 土砂崩れなどの影響でまたもや近畿地方の各地でJR在来線は運休や一部間引き運転するなど出勤困難者や帰宅困難者を生み、先の地震での国交相の檄がむなしく思えると共に自然災害の恐ろしさを目の当たりにした。
 JR近江八幡駅で旅行者がみどりの窓口で「電車は動いているの、米原で新幹線に乗りたい」と問いかけると担当者からは「本日は運休しています、新幹線は動いています」との一言で「ご迷惑をおかけします」の一言もなかった。
 見るに見かねた市民が「近江鉄道が動いていますから米原に行けますよ」とアドバイス、本来ならば交通事業者の仕事だろう。
 旅行者は「近江鉄道?」と言いながら近江鉄道へ。
 「運賃が高い、本数が少ない不便だ」と言われるが、今回は近江ガチャコンの出番です。



■平成30年7月12日(木) 第18165号

喫煙者へのつけ

 東京都は国に先駆けて「受動喫煙防止条例」を成立させたが、同条例に類似した受動喫煙被害を防ぐ「健康増進法改正案」が衆院本会議で可決され、会期延長をした今国会で成立する見込みだが、東京都と国では大きな違いがある。
 飲食店の場合、東京都は「従業員を雇っている場合は原則禁煙」、国は「客席面積や資本金の条件を満たせば既存店は喫煙が可能」と国は規制が緩すぎる。
 保育所・幼稚園・小中学校の場合、東京都は「敷地内禁煙で屋外の喫煙場所設置も不可」、国は「敷地内禁煙だが屋外の喫煙場所設置可」と大きく異なる。
 受動喫煙の健康被害を減少させる第一歩だが、喫煙者の減少へ弾みがつき国や地方の税収を潤してきた「たばこ税」は減少するだろう。
 タバコには国たばこ税、地方たばこ税、たばこ特別税、消費税と4種類の税金がかけられており、税負担率は63・1%でビールの47・1%よりも高く、タバコ税は年間約2兆円を上回る財源となっている。
 特に「たばこ特別税」は、旧国鉄の負債に関連していることを再認識したい。
 国鉄民営化が行われた昭和62年に旧国鉄は約25兆5千億円に上る巨額な長期債務があり、国鉄精算事業団が旧国鉄用地やJR株式の売却で精算を始めたが、利払いの為の借金を繰り返したために債務が約28兆円に膨れ上がり、平成10年からたばこ特別税として3・7%課税して、旧国鉄の債務の一部を直接的な利害関係がない喫煙者が返済しており、何かにつけて喫煙者にツケが回っている。


■平成30年7月10日(火) 第18163号

議員提案条例

 「市内で生産された野菜が市内の小売店に並んでいない」などに対応する為に、1年前から市長と市内の4JAなどの間で充分協議した結果、東近江市は農家の安定収入と市民への地場農産物の安定供給を図ることを目的として、県内初となる地域商社「株式会社東近江あぐりステーション」を4月に設立させた。
 しかし、一部の量販店には地元の野菜が並べられているものの、他府県から流入する商品には価格面で太刀打ち出来ないのが実情である。
 滋賀県の名物にまで成長した「近江ちゃんぽん」に使われるキャベツは、県内店舗の全てに東近江市産が使われる契約を地域商社が結ぶなどの実績も上がってきている。
 地域商社は資本金1000万円で全額を東近江市が出資しており、地方自治法施行令で市が2分の1以上を出資している為に市長の調査権が及んでいる。
 同地域商社は本年7月頃に民間からの増資を募り、資本金を2500万円に増やす予定だが現行の施行令では市長の調査権が及ばなくなる為に、6月議会で「市が4分の1以上を出資している法人」についても市長の調査権が及ぶように議員提案条例として可決制定した。
 地方自治法で予算を除いて「議員は議会の議決すべき事件につき議案を提出することが出来る」と定められており、議員定数の12分の1以上の議員の賛成があれば提案できる。
 議会は行政からの提案を審議するのみならず、市民目線で議員自ら条例提案し制定すべきで、市木議長時代に議員の役割に一石を投じたようだ。


■平成30年7月5日(木) 第18159号

「首相が『いいね』」の虚偽がまかり通るのか

 加計学園問題で愛媛県が国会に提出した文書に、「加計学園関係者との打ち合せ会等について」の報告書がある。
 文書には加計学園からの報告等として「理事長が首相と面談(15分程度)。理事長から、獣医師養成系大学空白地帯の四国の今治市に設置予定の獣医学部では、国際水準の獣医学教育を目指すことなどを説明。首相からは『そういう新しい獣医大学の考えはいいね。』とのコメントあり。」と明記されているが、首相は良い計画だと率直に認めてはいるが、決して大学設置に協力するなどとは言っていない。
 なぜか加計学園側はこの文書が国会に提出されたら、同学園の渡辺良人事務局長などが「加計理事長と首相の面会は架空だった」と、愛媛県知事が公務で不在にも関わらずあたふたと県庁を訪れ、誤解されるような笑顔と態度で謝罪したが、愛媛県民の血税で3年間約31億円の補助を受けるならば、謝罪記者会見を開き県知事に頭を下げるべきだ。
 更に、6月に加計理事長の会見が大阪北部地震の翌日のドサクサに突如として開かれたが、加計氏は「3年も前なので記憶も記録もない。担当者が勝手にやったことだ」として、約25分間で会見を一方的に打ち切った。
 各種団体や企業などが国の補助金を受ける場合その申請を行うが、申請文書に「首相が『いいね』と言った」と虚偽を書いて忖度を受けつじつまが合わなくなれば取り消せばいいのか。
 これでは虚偽だらけの公文書や私文書が公然とまかり通ることになる。



■平成30年7月3日(火) 第18157号

ポスター掲示板撤去の法的根拠

 滋賀県議会補欠選挙東近江市・日野町・愛荘町選挙区では、先月15日の告示日に立候補者が1人の為に同日の17時以降に選挙管理委員会が無投票の告示を行った。
 同選挙区では各地に知事選と県議補選の選挙ポスター掲示板が設置されていたが、掲示板の設置請負業者と無投票の場合は24日までに撤去する契約を結んでいる為に、県議補選の無投票が告示された後に次々と撤去されていた。
 その撤去の法的根拠を東近江市選挙管理委員会に尋ねたら、「公職選挙法第144条の3項に『特別の事情があるときは、掲示場(掲示板)は設けないことができる』とあり、それが根拠です」との回答であった。
 同項には「天災その他避けることのできない事故その他特別の事情」とあり、無投票が告示されたから撤去できるとは理解し難い。
 県選挙管理委員会に法的根拠を尋ねると「公職選挙法第100条の4項に『候補者が1人であるとき若しくは1人となったときは、投票は行わない』とあり選挙運動がなくなったから撤去できる」との回答。
 確かに告示日の17時をもって候補者が1人となり、無投票を告示したならばその時点で有権者は投票する必要がなくなると共に選挙運動が出来なくなり、選挙運動のひとつであるポスターを貼る掲示板は必要なくなるわけだ。
 複雑な公選法だが、東近江市の担当部局は、県選管との見解に齟齬(そご)ないように、行政の基本である法を正しく解釈してこそ市民の信頼が得られるのではないだろうか。


■平成30年6月28日(木) 第18153号

福島第2原発も廃炉へ

 2011年3月11日、東北地方太平洋沖地震が発生し福島第1、第2原発を津波が襲い、第1原発は1〜3号機が運転中、4〜6号機は定期点検中、第2原発は4基全てが運転中だった。
 第1原発は全電源喪失して1〜3号機とも炉心溶融という大事故につながり、第2原発も非常用電源を失ったが1回線だけが生き残った外部電源で冷却ポンプを稼動させ、運よく中央制御室は停電を免れていた。
 東京電力は第1原発の全ての廃炉を2014年1月までに決定して廃炉作業中であるが、福島県民の多くからは第2原発の廃炉を求める声が上がっており、6月14日に福島第2原発の全4基の廃炉を検討していることをようやく発表した。
 第2原発の4基ともに電気出力は110万kWの大型原発で、地元ではない関東への電気供給源であった。
 東京電力が10基、他の電力が8基、合わせて18基が20〜40年かけて廃炉する為に膨大な放射性廃棄物が発生することは必至だが、放射性廃棄物の最終処分場は未だに決まっていない。
 更に高速増殖炉「もんじゅ」も廃炉する為に、核燃料サイクルの実現性の見込みはなく、使用済み核燃料の最終処分場も決まっていない。
 原子力発電は1955年に原子力基本法が成立して原子力の平和利用が始まったが、原子力を日本のエネルギー政策に取り入れたのは政府であり、先の見えない最終処分地対策は政府が取り組むべき案件であり、エネルギー政策のツケは当然政府が負うべきだろう。


■平成30年6月26日(火) 第18151号

新幹線の車内改札(検札)

 9日午後9時45分頃、東海道新幹線の車内で男が乗客を襲って死傷させる事件が起こった。
 事件があった車両は東京発新大阪行きの最終のぞみ新幹線で、容疑者が持っていた乗車券は東京から名古屋までの自由席特急券で指定席には乗車できないが、なぜか12号車の指定席車両に乗車していた。
 以前は乗車して休息を取り始めたところに「お疲れのところ失礼します。只今より切符を拝見いたします」と車内改札があったが、JR東海では2016年3月26日から自由席を除くグリーン席と指定席で車内改札を廃止したので、のぞみ新幹線は新横浜を出発すると名古屋までの1時間15分は止まらず、自由席特急券でも混雑した指定席車両に乗車してもわかりにくい。
 新幹線の指定席利用状況は車掌の持つ端末機に表示されている為に、指定席を勝手に利用すれば車掌から指定席券の確認を問われる場合もあるが、車内改札しなくても車掌には充分把握できているはずだ。
 この上で、乗車券を確認する車内改札制度があれば、指定席に不審者が座ることが未然に防げたかもしれない。
 JR東日本では2003年1月から車内改札は廃止、JR九州では車内改札を実施していなかったなどJRによっても様々だが、のぞみ新幹線などは1時間を越える長時間の密室状態となり、乗客の安心安全を守るには乗務員の充分な対応が必要ではないだろうか。
 空席のはずの座席に乗客がいる場合に、なぜ車内改札が出来なかったのか疑問が残る。


■平成30年6月21日(木) 第18147号

働き方改革で少子高齢化が乗り切れるのか

 政府・与党が最重要法案と位置づけていた「働き方改革関連法案」が、衆院本会議で可決された。
 この法案の背景には安倍首相が唱える「一億総活躍社会を実現するための改革」で、少子高齢化が進む中、50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会を目指すもの。
 しかし、50年後には生産人口が現在の約8千万人から約5千万人と大きく減少し、労働力不足で生産性が低下し国力も低下するために、社会保障制度の負担増に対応する改革ともとれる。
 この改革で「長時間労働の制約」、「非正規と正社員の格差是正」などを実現すると目論むが、先を見通せない問題点もある。
 現行法では、長時間労働は労使協定を結び協定書に特別条項を加えれば、無制限に労働時間を延長することが出来るが、改革により1カ月100時間に制限され、過労死などの防止につながるが、その反面、裁量労働制の対象業務が拡大される。
 裁量労働制が適用できる業務は、労働者の実際の労働時間とは関係なく、あらかじめ定めた時間働いたものとする。このために長時間労働の温床となっているが、改革でその業種が拡大することに懸念がある。
 政府は2004年、年金制度を維持する為に保険料や税などの負担増を国民に求め、「百年安心年金」と謳ったが、数年で百年安心は破綻した経緯があり、働き方改革よりもまずは行財政改革を行い、行政をスリムにすべきではないだろうか。



■平成30年6月19日(火) 第18145号

民意を真摯に受け止めよ

 米山隆一前新潟県知事が突然辞任して行われた新潟知事選挙は、10日に投開票されて自民・公明両党が支持する前海上保安庁次長の花角英世氏(60)が当選した。
 新潟県知事選の主な争点は柏崎刈羽原発の再稼動を目指すことの是非だが、前回は再稼動反対の米山前知事が当選し、その意を受け継いだ立憲・国民民主・共産・自由・社民の5党が推薦する元県議の池田千賀子氏(57)が敗れ、柏崎刈羽原発の再稼動へ弾みがつくだろう。
 近江八幡市長選挙が4月15日に投開票されて新人の小西理氏(59)が現職に大差をつけて当選を果たした。
 市長選の争点は約90億円の市役所新庁舎整備の是非だったが、新庁舎は既に着工していたにもかかわらず、「中止」を掲げて計画の白紙撤回を訴えた小西氏が当選し、新市長は直ちに「中止」の手続きに入った。
 投票結果を振り返ると小西氏21047票、現職11647票と大差がついており、民意は新庁舎整備「中止」にあるといえるが、中止に伴う損害賠償、新たな計画の策定、市長野党が大半を占める市議会との議会対策など難題が多い。
 8日、新庁舎建設中止に伴う損害賠償金などを検証する第三者委員会の設置条例案が臨時市議会で賛成12、反対10で可決され賠償などの手続きが前進するが、市議会は新庁舎建設賛成派が多数を占めていただけに意外性もあった。
 建設賛成であった市議会の第1会派や第2会派の一部議員が、市長選の結果を民意と真摯に受け止めた結果だろう。