社説

■平成30年6月19日(火) 第18145号

民意を真摯に受け止めよ

 米山隆一前新潟県知事が突然辞任して行われた新潟知事選挙は、10日に投開票されて自民・公明両党が支持する前海上保安庁次長の花角英世氏(60)が当選した。
 新潟県知事選の主な争点は柏崎刈羽原発の再稼動を目指すことの是非だが、前回は再稼動反対の米山前知事が当選し、その意を受け継いだ立憲・国民民主・共産・自由・社民の5党が推薦する元県議の池田千賀子氏(57)が敗れ、柏崎刈羽原発の再稼動へ弾みがつくだろう。
 近江八幡市長選挙が4月15日に投開票されて新人の小西理氏(59)が現職に大差をつけて当選を果たした。
 市長選の争点は約90億円の市役所新庁舎整備の是非だったが、新庁舎は既に着工していたにもかかわらず、「中止」を掲げて計画の白紙撤回を訴えた小西氏が当選し、新市長は直ちに「中止」の手続きに入った。
 投票結果を振り返ると小西氏21047票、現職11647票と大差がついており、民意は新庁舎整備「中止」にあるといえるが、中止に伴う損害賠償、新たな計画の策定、市長野党が大半を占める市議会との議会対策など難題が多い。
 8日、新庁舎建設中止に伴う損害賠償金などを検証する第三者委員会の設置条例案が臨時市議会で賛成12、反対10で可決され賠償などの手続きが前進するが、市議会は新庁舎建設賛成派が多数を占めていただけに意外性もあった。
 建設賛成であった市議会の第1会派や第2会派の一部議員が、市長選の結果を民意と真摯に受け止めた結果だろう。



■平成30年6月14日(木) 第18141号

選挙制度を再考せよ

 自民党は改憲時に参院選の合区を解消するとしていたが、来年の参院選までには困難だとして、議員定数を「6」増やす公選法改正を今国会で成立させるとした。
 一票の格差を是正する為に、人口の少ない県の選挙区を合区して「違憲状態」を解消としたが、合区が導入された「鳥取・島根」、「徳島・高知」の有権者からは「地元から参院議員を選出できない」など不満が噴出しており、単に数あわせでの解消では根本的には解決されておらず、今後も同様な状態が起こりえる場当たり的な法改正に過ぎない。
 更に合区対象県の候補者を有利にする為に参院選比例区の定数を「4」増やし、順位によって当選者が決まる「拘束名簿式」を適用するなどして選挙区間の格差を3倍以内にすると目論むが、これで「違憲状態」が解消されるか疑問で、会期末を迎えた終盤国会は「森・加計問題」に加えて「公選法改正」と波乱含みだろう。
 連立政権を組む公明党は都道府県単位ではなく、全国を11ブロックに分ける大選挙区制を唱え、中小規模の政党の議席増が期待できるとする為に政党間での調整は難航するだろう。
 衆院選の1人区では数多くの死票が生まれ、当選議員数と得票数が大きく乖離しており、衆院選も過去のように中選挙区制を復活すれば政権交代のハードルは高くなるが、死票も少なく一票の格差も是正されるだろう。
 政権を維持する為の選挙制度ではなく、公平に民意が充分に反映できる選挙制度を再考すべきである。


■平成30年6月12日(火) 第18139号

関西電力の電気料金値下げ

 福井県にある関電大飯原子力発電所4号機が5月9日に再稼動し、これで関電の稼動する原発は大飯3号機(来春定期点検で停止予定)、高浜3号機(8月3日から定期点検で停止予定)、高浜4号機(5月18日から定期点検、8月中旬再稼動予定)と原子力規制委員会の新規制基準に合格した原発4基体制となり、関電は5月28日付で経産大臣に電気特定供給約款等の変更届出を行った。
 今回の値下げは、昨年8月の高浜発電所3・4号の運転開始による値下げに続くもので、大飯発電所3・4号機の運転で、最近高騰を続けている石油を燃料とする火力発電が不要となり、発電コストが下がると共に、関電の経営効率化の成果などにより値下げに踏み切った。
 その届出によると平均5・36%値下げするが、経産大臣の許可までに約1ヶ月かかる為に、夏の電力需要が増加する時期を見越して7月の値下げを目指して早期に届出を行った。
 一方、家庭向けの電力小売り自由化後に、約20%の家庭が電力の購入先や購入プランを変更したが、現実に安くなった家庭はその内の30〜40%に過ぎない。
 各電力会社の競争で更なる利用者の負担軽減の余地が期待される。
 関電の原子力発電所の施設利用率が48・8%と向上し、化石燃料を使った発電が減少し二酸化炭素排出量が削減されるメリットもあるが、40年といわれる原子炉の寿命をしっかりと見据えて、企業や家庭に負担を求めない再生可能エネルギーの開発も必要ではないだろうか。



■平成30年6月7日(木) 第18135号

権力者のごり押しや恫喝は排斥すべきだ

 1月22日に召集された第196回通常国会は今月20日に会期末を迎える。
 約5ヶ月の長きにわたった国会だったが今の日本に必要な法案が真剣に論議されただろうか。
 様々な委員会が開催されたが、ほとんどの時間が森友学園への国有地の払い下げ問題、安倍首相の友人である加計氏が優先的に獣医学部を開設出来た問題、自衛隊海外派遣部隊がイラクや南スーダンで日報を取りまとめていたにも関わらず国民に対して日報の存在を隠蔽した問題に対する質疑に多くの時間を費やし、安倍首相をはじめ担当大臣は答弁に追われたが、日を追うごとにその真実が明らかになり当初の答弁と大きな食い違いが生じて、多くの国民は「やっぱりそうだったのか」と内心思ったに違いない。
 いずれの問題も選挙で多数の議席を得ることにより強大な権力を持った政権のおごりの一言に尽きる。
 政治の世界では目に見えない強力な力が様々なところで見受けられ、常識では考えられない結果を生む場合もあるが、結局、それは力によるごり押しで恫喝とも取れ、将来に様々なしこりを残すことは必至であり、一度押した横車は押し続けなければならず止まれば様々なしっぺ返しがあるだろう。
 日本大学アメフト部の試合における相手チームの有力な選手つぶしも強力な権力者の指示から起こった事件であり、権力者は世間からしっぺ返しを受けるだろう。
 権力に負けずに正義を貫くべきで、権力者の横暴はいつかは己にしっぺ返しがある。


■平成30年6月5日(火) 第18133号

選挙で市区町を分割してはならない

 6月24日執行予定の県知事選及び県議補選の立候補予定者説明会が、知事選は5月18日、県議補選は28日に開かれた。
 知事選には現職と新人の2陣営が、県議補選は大津市選挙区では新人の3陣営、東近江市日野町愛荘町選挙区では新人の1陣営が説明を受けた。
 1陣営の同選挙区では周防清二氏(東近江市議会議員辞職を6月1日市議会が承認)が県議補選に向けて準備中であるが、同選挙区では自民党県連へ2名の立候補予定者が公認申請したが、県連では最後まで一本化の調整がつかず説明会への出席は一陣営となったようだ。
 同選挙区の東近江市は、衆院議員の選挙区が第4選挙区(小寺裕雄衆院議員)と第2選挙区(上野賢一郎衆院議員)で市を分割しており、一本化が難航したと思われる。
 自民党は改憲時のテーマの一つとして、前回の参院選で人口の少ない隣接する都道府県を合わせて「合区」としたが、一人の議員が県域をまたがって住民の声を集約することが困難であり有権者からも非難が多かった。このため、県域をまたがる合区を解消するとし、衆院選でも市区町が複数の選挙区に分割される状況を是正するとしている。
 特に東近江市は衆院選と県議選の選挙区が異なり市域が分割されるが、次回の衆院選では全国で105ヶ所ある市区町の分割は解消される。
 東近江市は東近江市議会議員、東近江市から選出された県会議員、東近江市を含む第4選挙区で選出された衆院議員となり、連携した街づくりのタッグを組むことが出来るだろう。


■平成30年5月31日(木) 第18129号

認可保育所、幼稚園、認定こども園が全て無償化

 平成元年から3%の消費税が導入されて30年で税率は3倍以上になり国民にとっては常に増税感は拭えない。
 政府は消費税のメリットを、▽税収が安定する、▽広く課税できる、▽労働意欲を阻害しない▽などと説明するが、所得額に関係なく課税され低所得層の重税感は大きい。
 当初、2015年11月に10%に引き上げる予定を先送りして、2017年4月としたが、更に2019年10月に再延長した。
 消費増税は民主党政権下の2012年6月に「社会保障・税一体改革に関する三党実務者間会合合意文書」を誠実に実行することを確認した「三党確認書」に基づき消費増税が決定しているが、最大の目的は増え続ける社会保障費に充当して増え続ける借金を減らすことであり、国民の理解も一部受け入れられていた。
 しかし、総選挙に勝利して国民の理解が得られたとして政府は2%の消費増税分の使用目的の一部を、2020年度から全面実施する幼児教育・保育の無償化、幼稚園での預かり保育も無償化する財源に使うとしている。
 「人づくり革命」として3〜5歳の認可保育所、幼稚園、認定こども園は全て無償化、0〜2歳は住民税非課税世帯に限って無償化とするわけだが、その制度を維持し続ける為には財源である消費税の確保が必要で、いつかは無償化を理由に更なる消費増税も考えられ、結局、政策の付けは国民に回ってくるが、民間感覚からかけ離れた税の使い方の無駄をなくす、財政改革を優先すべきではないだろうか。


■平成30年5月29日(火) 第18127号

高齢者に「タクシー定期券」を

 東近江市は1市6町の合併で最終的に誕生したが、合併時に市の幹部らは「名古屋市より大きい市が誕生した」と胸を張った。
 確かに、名古屋市は326・4平方キロ、東近江市は388・37平方キロと面積は大きいが、人口は約231万人と約11万6千人で面積だけが大きく、街づくりに重要な上下水道、道路、交通網などのライフラインやインフラ整備は面積に比例して費用がかさんで自治体の重荷になるのは必至である。
 市は、広大な土地に点在する集落を結ぶコミュニティバス計画を策定して、交通弱者をはじめ多くの市民に利用してもらい街のにぎわいを創出しようと計画を推し進めているが、平成27年度の収支は「ちょこっとバス」が約1億4百万円の欠損、「ちょこっとタクシー」が約2千3百万円の欠損で、赤字体質は改善の目処が立っていない。
 年々高齢化が進み、運転免許証の返納者も増加していく時代背景では、交通弱者救済の為にも必要な措置だが、更なる工夫も試みたい。
 JTBが定額で何回でも乗れる「タクシー定期券」を高齢者向けにサービスを始めるが、事前予約で自宅から病院などの指定場所へと地域の新しい交通機関を目指す。
 道路運送法の定めによりタクシー運賃は規制されているが、JTBは旅行業法上の「募集型企画旅行」と位置づけて規制をクリアしている。
 東近江市観光協会も地域限定旅行業の資格を生かして、行政とタイアップして商品化しても面白いだろう。


■平成30年5月24日(木) 第18123号

柳瀬さん、あんたは誰の味方や

 日曜日の午後7時から放映されている、TBSテレビのクイズ番組「東大王」は高い視聴率の人気番組である。
 東大最強の知識王やIQ165の天才などの現役東大生とクイズ王や有名大学のクイズ研究会などとのクイズバトルだが、東大生の記憶力や知識量には毎回驚かされる。
 ところで、10日の衆参両院の予算委員会は「加計学園」の獣医学部新設に関して、柳瀬唯夫元首相秘書官を参考人招致した。この中で柳瀬氏は2015年に3回、首相官邸で加計学園関係者と面会したことを今になって認め、同年4月の面会については「愛媛県や今治市の職員もいたかもしれないが、記憶の限りではない」と語り、対する中村時広愛媛県知事は「県の職員は子どもの使いじゃない」と柳瀬氏と交わした日付が明記された柳瀬氏の名刺まで公開した。
 柳瀬氏は1961年生まれで57歳、1984年東大法学部を卒業し通商産業省に入省した上級公務員で、57歳の若さで「記憶がない」などとまだ記憶力が低下してはいないだろうし、大切なことの記憶がなくなる様では中央官庁の要職は務められない。
 首相秘書官は正式には内閣総理大臣秘書官で国家公務員の役職の一つであり、総理大臣の命により政府各部局や与党等の調整に当たる役職で、必ず総理大臣の命によるものであるが、いかに総理大臣の命であっても公務員であるからには国民の公僕であることが大原則であり、総理大臣の擁護も良いが国民の擁護を忘れてもらっては困る。
 公務員は職業、議員は役に立たねば落選をお忘れなく。


■平成30年5月22日(火) 第18121号

「ももクロ」の経済効果

 アイドルグループ「ももクロ」の野外コンサートが先月21日と22日の2日間、東近江市布引運動公園で開催された。
 全国各地から延べ約3万3千人が東近江市を訪れたが、事故などなく無事に催しは終わり市民や来訪者から様々な声を聞いた。
 数万人規模のイベントへの交通アクセスに不安があったが、JR近江八幡駅から80台のシャトルバスの運行、車での来場者へ会場近隣の民間施設が提供した「軒先駐車場」などで大きな混乱は見受けられなかったが、終演後のシャトルバスの待ち時間が長かったこと、「軒先駐車場」の駐車代金が1日当り3千円〜最高1万2千円とまちまちで、足元を見たような高額な駐車料金に対しては非難轟々の声がSNSで拡散し、近江商人の心得である「三方良し」は何処にいったのだろうか。
 イベント開催の為に東近江市や近隣市町の宿泊施設は何処も満室、会場近くのコンビニは幾ら補充しても商品が完売、「ももクロ」がお参りした太郎坊宮で購入したお守りは約5000個も売れて、半年間の売上を2日間で達成したようだが、市内の飲食関係には経済効果がなかったようだ。
 来訪者からは、「会場まで歩いて40分以上かかる所を無料で送ってもらって感激した」、「東近江市民の皆さんに親切にしていただき、また東近江市に来たい」、「東近江市への御礼の気持ちでふるさと納税しておきます」など、好評だった。
 今回のイベントへの参加者には熟年層も数多く見受けられ、ごみもなく「ももクロ」ファンの品格のよさが目立っていたとも言える。



■平成30年5月17日(木) 第18117号

基礎的財政収支(PB)の黒字化はいつだ

 「基礎的財政収支(PB)」の黒字化目標を2020年から5年先送りすることが検討されている。
 PB(プライマリーバランス)とは財政の健全度を示す指数で、国の場合は税収などの歳入から国債の返済費用や国債に対する利払い費用を除いた歳出を差し引いて計算するが、歳出より歳入が多い場合は黒字、歳出が歳入より大きい場合は赤字となり、借金をして歳出を賄うことになる。国のPBは1992年度から赤字が続いており一度も黒字化しておらず、2017年度には公債など(借金)の残高は約1080兆円にまで膨らんでいる。
 2019年10月に消費税率を10%に引き上げる予定だが、消費税1%につき約2兆円の税収が見込める。安倍首相はこの消費増税分の使途を変更して2兆円規模の子育てなどの新たな政策を実施する為に、PBの赤字は現在と大差なく財政収支は改善されないだろう。
 消費増税、年金支給開始年齢の先送り、支給金額の削減、社会保険料の負担増など国民に多くの負担増を求め、年々増加し続ける国債という未来からの借金で子育てなどの様々な政策を行うが、未来からの借金は一体誰が返済するのか。
 国債や借入金、政府短期証券を合わせた国の借金を人口概算値である1億2672万人で単純に計算すると、国民一人当たり約852万円の借金を抱えていることになる。
 超低金利の現在は利払いが少ないが、金利が上がれば利払いが財政への大きな負担となることは必至であり、財政黒字化の先送りは国家財政破綻の危機も含んでいる。