中央政界特報

■平成30年7月5日(木) 第5366号

「政治特報」

 「セミの鳴くころ」。安倍晋三首相が総裁選出馬表明の時期について言及している。ここにきて攻めの性格が随所に。

 出馬決断の時期について触れたのはテレビでの生出演で。
 「セミの声がにぎやかになってきたころ」
 東京近辺でセミが鳴きだすのはいつごろか。
 やはり梅雨が明けてからに。
 関東はいま梅雨の盛り。雨がシトシト。
 国会は32日間の会期延長に。
 これからして、安倍首相の口から「3選を目指す」が出てくるのは7月20日過ぎということになりそう。
 「出馬に意欲というより、3選に強気でいる」(永田町筋)
 それを表すように、動きが活発になってきた。
 6月5日夜には東京・有楽町のフランス料理店「アピシウス」で竹下亘総務会長と会食。
 6月18日には東京・赤坂の日本料理店「古母里」で岸田文雄政調会長と会食。それも2時間半以上も。
 竹下氏、岸田氏との会食は、いずれも安倍首相のほうから呼びかけてのもの。
 6月20日夜には東京・銀座で麻生太郎副総理兼財務相、二階俊博幹事長とステーキを食べている。
 一時期、安倍首相はピリピリしていた。
 それが、ここにきて余裕の表情に。
 「来年夏の参院選の前哨戦」と見られていた6月10日の新潟県知事選で勝利。
 これで強気を復活させたところへきて、各世論調査では安倍内閣、そして自民党の支持率は上昇軌道に回帰。
 「首相にふさわしい人」の調査でも、石破茂元幹事長を逆転している。
 永田町にはひとつのジンクスがある。
 それは「首相の外遊中に政局が動く」。
 過去をみても、首相の外遊中に歴史が動いていた。
 だが、このジンクスもクリアしている。
 6月6日から11日まで米国、カナダ(トランプ大統領との首脳会談、G7首脳会議)をまわってきたが、自民党内にはまったくざわめきは起こらずじまいだった。
 安倍首相は「攻め」の性格。
 それはゴルフにハッキリと。
 ショートよりもオーバーのゴルフ。
 ちまちま攻めるよりも、思い切って叩く。ちなみにベストスコアは79。

「ロスタイムに注意」

 国会は32日間の延長に入っている。
 延長国会に入る前、6月21日の派閥会合で麻生太郎副総理兼財務相は声を高くし、派閥所属議員に言い渡している。
 21日は木曜日。毎週木曜日は自民党各派が昼食を取りながら、国会内で会合を開くことが多い。
 延長国会に入るということで、各派閥ともいつもとは違う緊張感が。
 そんな派閥会合の中で、やはり永田町に話題を提供した麻生派。
 麻生氏が所属議員に注意したのは、サッカーワールドカップ、日本対コロンビア戦のロスタイムを例えに、
 「国会延長のロスタイムの間に、下手な失点をしないように」
 永田町では麻生発言に「ロスタイムの失点の不安は麻生氏本人では」の声が。
 3日後の24日、麻生氏の口から出たのは、
 「新聞を読まない人は自民党だ」
 昨年10月の衆院選で自民党への得票率が高かったのは30代前半までの若い層。これをそのまま口に出してきたものだが。
 延長国会での焦点はカジノを含む統合型リゾート施設(IR)整備法案と労働法制の大改革となる働き方法案の成立。
 この法案成立に野党の中には「両法案を廃案にもっていく」。
 安倍晋三首相に真っ向から勝負を。
 立憲民主党枝野幸男代表は加計学園問題追及を改めて明らかにしている。
 政府、与党としては「ロスタイムの失点は許されない」厳しい状況にある。
 延長国会閉幕まで失点なしでいけるか。延長国会閉幕までまだ時間はある。

「伸び悩み」

 各世論調査が出揃っている。
 その結果は安倍晋三内閣の支持率がアップだ。
 一時は40パーセントを割り込んでしまい「政権維持に赤ランプ点滅」とまで言われていたが、再び40パーセント超えになっている世論調査も。
 政党別の支持率でも自民党は上昇気流に。
 ひきかえ伸び悩んでいるのが野党第一党の立憲民主党。
 野党の中では際立って高い数字だが、それでも10パーセント前後。
 昨年10月、衆院選挙直後にはそれこそ「イケイケドンドン」の勢いだったが、そのあとに勢いがない。
 希望の党と民進党が統合しても、立憲民主党の野党第一党の座は揺るいでいない。
 国民民主党に行かず、立憲民主党に新たに10人が加わっている。
 勢力は衆院56人、参院16人の72人にまで拡大。
 たが、支持率は厳しい。というよりも寂しい。
 「国会では安倍首相を追及しているが、それが支持率につながっていない」(永田町筋)
 6月10日の新潟県知事選でも勝利することができなかった。
 立憲、国民、自由、社民の野党5党で結束しても自民、公明の与党に及ばなかった。
 枝野幸男代表は安倍首相を攻めたてているが、かわされてしまっている。
 国民民主党との足並みに乱れも。
 このまま来年夏の参院選を迎えれば厳しい戦いになってしまう。
 連合は中央執行委員会で参院選の基本方針を「立憲、国民と政策協定を目指す」としている。
 どう支持率をアップさせられるか。

「大阪夏の陣」

 今年の夏は大阪が暑い。大阪が主戦場になっている。
 自民党総裁選を決める戦いの場に。
 すでに大阪の市中、さらには城外でノロシが上がり、トキの声が上がっている。
 真正面から対峙する安倍晋三首相と石破茂元幹事長。
 6月2日、安倍首相の姿は滋賀県大津市に現われた。
 琵琶湖に面した大津市で開かれた自民党滋賀県連の定期大会。
 首相が地方組織の県連の大会に出席はまずない。まさに異例のこと。
 それも、服装にこっていた。
 安倍首相の首にまかれていたのは赤のネクタイ。
 彦根藩主井伊家の「赤備え」を意識してのもので、これは安倍首相自身が言っている。
 大津市は大阪市中から離れているが、大阪夏の陣の戦略の一つ。
 城外の守りも固めている。
 今年の総裁選から地方票が重視される。
 「大阪で取りこぼしはゆるされない」が安倍首相陣営。
 安倍首相は日本維新とのつながりは強いが、大阪自民は距離を置いている。一部議員は石破氏を支援の動きまで。 
 安倍首相は4月13日に大阪に入っており、6月16日の大阪府連の政治塾にはビデオメッセージを。
 石破氏は2月5日に大阪でセミナーを開き、5月11日にも大阪入りしている。
 6月16日の府連の政治塾には講師として出席していた。
 「大阪を制する」ことが天下を制する。
 大阪夏の陣のほら貝は鳴っている。

「ねじれ」

 自民党竹下派がねじれている。
 額賀福志郎氏から派閥をバトンタッチされた竹下亘総務会長が『竹下派』を旗揚げ。
 四半世紀ぶりの「竹下派」の復活だ。
 竹下登元首相の実弟の竹下亘氏。
 勢力55人の竹下派の領袖として、まず臨むのが9月の自民党総裁選。
 額賀派時代は額賀氏が「安倍首相支持」を打ちだしていた。
 だが、竹下氏は額賀氏の「安倍首相支持」を白紙にもどしている。
 安倍首相の外交力は認めながら、目を他の有力候補にも向けている。
 岸田文雄政調会長に対しては「考え方が同じだ」と。
 55人の勢力は自民党派閥では細田派、麻生派についで3番目。
 総裁選の行方のカギを握る勢力だ。
 その竹下派に「ねじれ」が。
 派内が一つにかたまっていない。
 竹下派から閣僚の席に坐っている茂木敏充経済再生相は安倍首相寄りのスタンスをとっている。
 竹下登元首相時代の「竹下派」はそれこそ「一致団結箱弁当」といわれるほどの鉄の結束を誇ったものだった。
 6月13日、竹下派に所属する山口泰明氏の政治資金集めパーティーが東京都内のホテルで開かれた。
 パーティ―で出席者にどよめきが。
 菅義偉官房長官が姿をみせた。
 菅官房長官は安倍首相の右腕。安倍首相が最も頼りにしている側近だ。
 総裁選まで2カ月余。竹下氏はどう結論を出すか。
 6月5日に竹下氏は安倍首相と会食しているが。

「成人18歳」

 国会は6月20日に通常国会の幕を閉じ、32日間の会期延長に入っている。
 会期中に成立した法案の中で注目されるのは成人年齢に関する改正法。そして審議中のものでは受動喫煙をめぐる改正案。
 5月16日、小池百合子東京都知事は自民党本部に竹下亘総務会長を訪ねている。
 このときの感想は、
 「総務会長の部屋で目に入ったのは、いままで見たこともないほどの大きな灰皿ね」
 小池都知事は自民党総務会長時代、「禁煙」の声を高くし灰皿を撤去していた。
 それが、これまでに見たこともない大きな灰皿が。
 改正案は飲食店は原則屋内禁煙にするが、例外的に客席面積100平方メートル以下で、個人経営か中小企業の既存店は「喫煙」「分煙」を表示すれば喫煙を認めるというもの。加熱式たばこも規制対象外に。
 これに日本維新の会と希望の党は対案を出してきている。
 成立した法案の「成人年齢に関する改正法」。
 これは成人年齢を20歳から18歳に引き下げる歴史的改正法案。
 法律が施行されるのは2022年4月1日から。
 上川陽子法相も「歴史的」であるとの認識を。
 「国民の間にしっかり理解されるように取り組んでいきたい」
 法改正によって18歳でもローンを組むことができる。
 10年有効のパスポートの取得が可能に。
 だが、女性が結婚できる年齢は16歳から18歳に。飲酒、喫煙、公営ギャンブルは20歳未満禁止を維持。

「危機的状況」

 社民党は政党として生き残ることができるか。
 来年夏の参院選の結果に政党の運命がかかっている。
 「頑張らないと歴史ある政党が消滅してしまう」
(永田町筋)
 公選法にはこう定められている。
 「国会議員5人以上」もしくは「直近の衆院選と参院選で、全国の政党得票率が2%以上」を満たすことが政党要件。
 社民党はこの政党要件を切る恐れが。
 衆参両院議員は4人しかいない。
 来年の参院選で当選者を増やすか、得票率をアップさせないと政党としては終わってしまう。
 前身の社会党時代は、自民党と二大政党を張り合っていた。
 所属議員も最盛期には200人を超えていた。
 書記局員も多く、それこそ熱気に溢れていた。 
 国会議事堂に近い三宅坂の党本部の社会文化会館は地上7階、地下1階、延べ床面積6600平方メートルあり、680人余を収容できる大ホールもあった。
 それがいまは転々として東京都中央区新川の貸ビルに賃借入居。
 議員数も選挙のたびに議席を減らしていくばかり。
 土井たか子氏が委員長時代「おたかさんブーム」を巻き起こし、その後「女性の党」をアピールしたが続かなかった。
 昨年の衆院選挙では小選挙区に19人、比例区に2人を擁立したものの、2議席確保がやっとだった。
 参院選ではもう議席を減らすことはできない。
 最後の切り札は吉田忠智前党首。
 復活を目指す吉田氏の人気で全国の票の上積み狙いを。