中央政界特報

■平成30年6月28日(木) 第5365号

「政治特報」

 自民党総裁選まで2カ月ちょっと。にわかに緊迫度が増してきている。派閥によるパーティーがそのことを物語っている。

 「資金集め」「派閥の結束」
 この二つがパーティーの柱。
 派閥とは別に、個人のパーティーもあり、東京都内の主要ホテルでは連夜のように政界、財界の人、人、人が。
 今年に入ってからのパーティ―を見てみよう。
 3月14日、竹下亘総務会長の声が弾けた。
 額賀福志郎氏から派閥を引き継ぎ、四半世紀ぶりに「竹下派」(平成研究会)が復活。
 資金集めだけでなく、「竹下派」復活のパーティ―とあって、会場は興奮状態に盛り上がった。
 兄の竹下登元首相が立ち上げた派閥を弟が甦らせた。
 4月に入ってからは次々に。
 12日には紀尾井町のホテルニューオータニの宴会場「鶴の間」で麻生太郎副総理兼財務相が率いる「麻生派」のパーティ―が。
 安倍晋三首相もかけつけあいさつを。
 19日には岸田文雄政調会長が領袖の岸田派が。
 岸田氏は「私は、いざとなれば飛ぶ男」と総裁選出馬の意欲を。
 24日には紀尾井町のホテルニューオータニの宴会場「鶴の間」で二階俊博幹事長が会長をつとめる「二階派」が。
 安倍首相もかけつけ「大黒柱として党を支えてもらっている」と挨拶。
 5月には23日に安倍首相の出身母体である細田派が芝公園の東京プリンスホテルの宴会場「鳳凰の間」でパーティーを。
 30日には石破茂元幹事長の「石破派」がパーティーを開き「総裁選は無投票ではいけない」と立候補の意欲を前面に。
 6月11日には谷垣禎一元幹事長の「谷垣グループ」が。
 この日の午後、安倍首相はカナダ・シャルルボワで開かれたG7(主要7カ国首脳会議)から帰国、その足でパーティー会場のホテルニューオータニにかけつけている。
 パーティーで領袖が口にしているのは、
 麻生氏は「ど真ん中で安倍首相を支えていく」 二階氏は「1ミリたりとも安倍支持にかわりはない」
 竹下氏は「外交はいうことない」
 各派の勢力は細田派が94人、麻生派が59人、竹下派が55人、岸田派が47人、二階派が44人、石破派が20人、石原派が12人、谷垣グループが約20人。
 パーテイーのチケットは1枚2万円。

「人気獲得が急務」

 国民民主党が結党されたのは5月7日。やがて2カ月になる。
 その勢力は衆院議員39人、参院議員23人の計62人。
 立憲民主党よりちょうど10人少ない。
 希望の党からの玉木雄一郎氏、民進党からの大塚耕平氏の2人が共同代表という2頭立て。
 2018年分の政党交付金も55億7000万円余が配分される。
 これでまずは政党としての台所事情は確保。
 なのに、いまひとつ国民の間に人気がない。
 やがて結党から2カ月になろうかというのに、盛り上がってこない。
 そのことは、各世論調査で明らか。
 立憲民主党は10パーセント前後と、野党では群を抜く支持率なのに、国民民主党は目立った支持率は出てこない。
 世論調査によると、1パーセントにも届いていない調査も。
 大塚共同代表はこんなことを言っていた。
 「国民民主党は総画数33。画数からいうと完璧だそうだ」
 完璧な画数なのに支持率は伸びない。
 国民民主党は他の野党との違いを打ち出している。
 立憲民主党、共産党、自由党、社民党が「対決姿勢」なのに対し「批判だけではなく解決策」のスタンス。
 これは玉木共同代表が言明している。
 「批判よりも解決でいく」
 5月30日の党首討論でも玉木共同代表は森友・加計問題には触れずだった。
 来年夏には参院選がある。
 国民民主党としてはまず「人気」をどう高めていくか。

「目標、新規就業30万人増」

 参院副議長公邸と道路をはさんでそびえている東京・赤坂の都道府県会館。
 各県の東京事務所が高層ビルの中に収まっている。
 永田町に、霞ヶ関に陳情のために上京してくる各県知事の顔がひんぱんに見られる。
 東京事務所の受け付けのカウンターに、きまったように置かれているのが「地方移住」「Uターン」を勧めるパンフレット。
 世界でも類をみない高齢化社会に突き進んでいる日本。まさに「人生100年時代」だ。
 その一方で、地方の人口は急激に少くなっていっている。
 東京圏に集中する人の流れをいかに、全国に流れるようにするか。
 6月6日、政府は地方の新規就業者を今後6年間で30万人増やす目標を取りまとめた。
 東京集中に歯止めをかけるには、やはり仕事。
 就業する仕事がなくては「地方移住」も「Uターン」も現実には進まない。
 新規就業者を30万人増やすため、政府が柱としているのが交付金。
 移住推進施策に積極的に取り組んでいる自治体に交付金でバックアップを。
 地方に移住し、就業、起業する場合は、転居費用の支援。
 留学を終了した外国人の地方企業への就労に在留資格変更手続きの簡素化なども。
 安倍晋三首相は正月の伊勢神宮参拝のおりの年頭記者会見でこう言い切っていた。
 「今年の干支は戌(いぬ)。感覚を研ぎ澄ましてやっていく」
 30万人増は、閣議決定後、具体的に推し進める方針に。

「票固め」

 9月の自民党総裁選。3選を目指す安倍晋三首相の意気込みは強い。
 「執念といってもいいのではないか」(永田町筋)とまで言われている。
 そのすさまじいまでの意欲がまざまざだったのは6月11日。
 安倍首相は6月6日夕方に羽田を政府専用機で飛び立ちアメリカに。
 現地時間の7日、ホワイトハウスでトランプ大統領との日米首脳会談。
 8日にはカナダに渡り、シャルルボワでのG7(主要先進7カ国首脳会議)に。
 現地時間朝、ケベックシティー・ジャン・ルサージ国際空港を離陸。バンクーバー国際空港で給油したのち、11日午後4時過ぎに羽田空港に。
 羽田空港から渋谷区・富ヶ谷の自宅にもどったのではない。
 皇居での帰国の記帳をすませるや、永田町の自民党本部ビルに。
 ここでトランプ大統領と電話会談。
 そのあと向かったのが東京・紀尾井町のホテルニューオータニ。
 同ホテルの宴会場「鶴の間」で開かれている自民党谷垣禎一前幹事長の「谷垣グループ」のパーティーに出席。あいさつをしている。
 アメリカ、カナダをまわり太平洋を飛んで戻った足でパーティーに。
 自民党各派は今年になってからつぎつぎに資金集めのパーティ―を開いている。
 そのうち安倍首相が顔を出したのは麻生派、二階派、そして谷垣グループのパーティ―。
 谷垣グループは「派閥」ではなく「グループ」だが、その勢力は20人余。
 3選を目指す安倍首相は、万全の票固めに入っている。

「地方固め」

 自民党の総裁選の投票仕組みが前回、2012年の選挙のときとは違う。
 3選を目指す安倍晋三首相は細田派、麻生派、二階派の票で190票超を固めている。
 12年の選挙のときは、これで圧勝だった。
 だが、今回は違う。地方の党員、党友票が勝敗を左右してくる。
 1回目の投票では地方票は国会議員票と同数で、得票によって候補者に。
 決選投票では都道府県単位での47票が国会議員票に積み上げられる。
 12年の決戦投票では国会議員のみによる投票だった。
 今回の決選投票は国会議員票に地方票47票を合計した票で争われる。
 過半数を制したほうが総裁の椅子に。
 地方票の重みが増した決選投票だ。
 安倍首相が細田派、麻生派、二階派で200票余を確保したとしても、過半数には届かない。
 勝敗を大きく左右してくるのが地方票。
 そこで力が入っている石破茂元幹事長。
 地方票には確かな自信を持っている。
 2012年の総裁選でも地方票では安倍首相に勝っていた。
 決選投票で敗れたのは、このときの決戦投票は国会議員だけによってのものだった。
 石破氏は55票の竹下派、12票の石原派に秋波を送っており、自身の派閥「水月会」の20人と地方票で総裁の椅子を狙っている。
 地方創生相時代には全国をまわっており、これも自信につながっている。
 安倍首相の政治姿勢を激しく徹底して批判してきている。
 これで地方票を吸い上げる戦略。なにがなんでも地方票だ。

「そろりと動きだした」

 旧民進党代表だった前原誠司氏が動きだした。
 そろりと、再始動だ。
 前原氏の趣味はSLの写真撮影。世にいわれる「撮り鉄」だ。
 これには小学校時代からはまり込んでいる。
 愛妻の愛里さんとの新婚旅行も「北の大地を爆走するSL」に魅せられて北海道に。
 趣味を重視したのか、新婚旅行はついでだったのか。
 いずれにしてもSL撮影にのめり込んでいる。
 写真展を開いたこともあり、SL関係の雑誌にエッセーも。
 そこで口にしているのが「決定的なチャンスは一瞬しかない」
 政治家としての決定的なチャンスは2度。
 1度目は05年、民主党の代表選で菅直人氏を2票差という僅差で退け代表の座をものにしたとき。
 この時43歳。米国ケネディ大統領が誕生したのは43歳。
 このことから「日本のケネディ」とも。
 2度目の決定的なチャンスは昨年、小池百合子東京都知事と「希望の党」を立ち上げたとき。
 「政権政党を目指す」と。
 だが、2度の決定的チャンスとも、対応のまずさから暗転している。
 メール騒動によって代表を辞任。
 「希望の党」は衆院選で惨敗し、霧散。その名はなくなってしまっている。
 前原氏自身は国民民主党には入らずに無所属に。
 それがここにきて動きだしている。 
 「勉強会」の名で勉強会を4月から月1回開いており、狙いは「野党結集」。
 3度目の決定的チャンスにピントを。

「小池都知事はいま」

 6月15日、総務省の会合に小池百合子東京都知事の姿が見られた。
 自治体の将来の在り方についての会合。
 ここで小池知事が主張したのは法人税の一部を大都市から地方に配分する制度改正について。
 小池知事は「是正はすんでいる」と。
 久しぶりの小池節だ。
 5月16日には自民党本部に顔を見せているが、このときは二階俊博幹事長、竹下亘総務会長との面会だった。
 永田町でこんな事が言われている。
 「小池知事はいまどうしている」
 それぐらい、話題にあがらなくなっている。
 昨年の今頃、小池知事はテレビに出ない日はなかった
 ワイドショー番組では小池知事の顔がアップになり、それこそ「小池スマイル」と「小池節」の毎日だった。
 都知事選、都議会選と快進撃を続け、衆院選挙に「希望の党」で参戦。
 「一気に初の女性首相の座まで駆け上がっていくのではないか」とまでいわれたものだ。
 だが、自らの発言で暗転。
 いらい、小池知事はテレビからほとんどスルー状態に。
 まさに「なにをしている」といった感じ。
 それが、いまなんとも不本意な問題でテレビに取り上げられている。
 エジプト・カイロ大学の「首席卒業」疑惑で。
 71年4月に関西学院大学に入学したが、9月に中退。
 カイロ大学に入学したのは72年10月。
 卒業のときは振袖でピラミッドの頂上に。
 東京五輪まであと2年。都知事として忙しくなるときだが。