中央政界特報

■平成30年6月14日(木) 第5363号

「政治特報」

 連続在任で歴代3位になった安倍晋三首相。9月の自民党総裁選での3選に意欲をみせ、さらなる記録更新を目指しているが。

 連続在任日数で安倍首相が小泉純一郎元首相の1980日を抜いたのは5月29日。
 第一次政権をあわせての在任日数では1年前に小泉元首相を上まわっていたが、連続でも超えた。
 これは憲政史上3番目の長さになる。
 1位は2798日の佐藤栄作首相、2位は2616日の吉田茂首相。
 9月の自民党総裁選で3選となれば、安倍首相の記録はもっと伸びる。
 東京五輪の行われる2020年8月には1位に。
 大叔父の佐藤首相を抜いてしまうことに。
 ちなみに在任日数が最短だったのは東久邇稔彦首相で54日。
 世界で長期政権といえばドイツのメルケル首相で今年でサミット(主要7カ国首脳会議)出席は13回目に。
 一時期、日本の首相は短期政権が続いた。
 小泉純一郎元首相のあと森喜朗氏、安倍氏、福田康夫氏、麻生太郎氏、鳩山由紀夫氏、菅直人氏、野田佳彦氏とつづいたが、1年前後で降板。
 各国から「回転ドアのよう」と揶揄されていた。
 安倍首相は大叔父を抜くことができるか。
 それには総裁選で勝利しなくてはならない。
 安倍首相の意欲は強いが、「ポスト安倍」の動きが激しくなってきているのは事実。
 5月30日、石破茂元幹事長は、自分の派閥「水月会」のパーティ―で声をさらに高くしていた。
 「決断しないといけない時がある」と。
 自民党内の派閥の動きも激しさを増してきている。
 各派が入り混じっての会合を開いている。
 12年の総裁選は安倍氏、石破氏、石原伸晃氏、町村信孝氏、林芳正氏の5人が出馬し、決選投票で安倍氏が108票の国会議員票を獲得して勝利。15年の総裁選は無投票で安倍氏の2選が決まっている。
 いま世論調査はどうなっているか。
 世論調査によっては石破氏が安倍首相を上まわっているものもあるが、自民党支持層に限っては安倍首相が上。石破氏の支持率は低い。
 「長いということだけではない。何をなしてきているかをみるべき」(菅義偉官房長官)
 「これだけの外交は人にはできない」(二階俊博幹事長)
 内閣、そして党のトップの見方だ。

「かりゆし」

 6月1日、安倍晋三首相は沖縄の「かりゆし」姿で閣議に臨んだ。
 白い、長そでのかりゆし。
 前日の5月31日、この日の2番目の面会者として富川盛武沖縄県副知事とミス沖縄の末吉古都子さんが首相官邸に。
 手に「かりゆし」を持って。
 安倍首相は菅義偉官房長官、福井照沖縄・北方担当相同席の中で受け取っている。
 それをさっそく着用ということに。
 永田町、そして霞ヶ関は5月1日から「クールビズ」に入っているが、まだ5月中はネクタイは外してもスーツは着られていた。
 6月1日からは本格的なクールビズだ。
 永田町の国会議員も、霞ヶ関の官僚もスーツなしのノーネクタイが多くなってきた。クールビズを提唱したのは小泉内閣での小池百合子環境大臣。
 「かりゆし」をまっさきに着用したのは小泉純一郎首相。
 このときの「かりゆし」は贈られたものではなく、自らパンフレットから4着を選んで購入している。
 小池氏の提唱で始まったクールビズだが、それ以前にも夏の装いにスタイルを変えた首相がいる。
 オイルショック直後の79年、大平正芳首相は「省エネルック」として半袖スーツを。
 94年には羽田孜首相がやはり袖を切ったスーツを愛用したが、日本全国に広まるまでにはいかなかった。
 大平首相、羽田首相だけのもので、議員の間でも見向きもされなかった。
 「かりゆし」を身につけた安倍首相。
 永田町にも本格的な夏がやってきた。

「草の根大使」

 日本外交の総本山、外務省。
 世界は激しく動いている。6月12日には歴史上初の米朝首脳会談が。
 霞ヶ関の中央に位置する外務省も緊張の毎日だ。
 河野太郎外相は大臣室の椅子をあたためる間もなく、世界を飛び回っている。
 6月8、9日にはマレーシアとシンガポールに。
 世界との窓口になっている外務省では、多方面の活動が行われており、民間人を日本の顔として起用することも多い。
 今年も外国に駐在員を置く企業のために、「ゴルゴ13」にセキュリティの教えを要請している。
 テロ、紛争などから身を守る方法など、ゴルゴ13のデューク東郷からアドバイスを。
 親善、支援活動も。そのひとつが発展途上国で実施している「草の根・人間の安全保障無償資金協力」。
 今年で30周年になる。節目の年ということで、さらに力を注力だ。
 5月30日、お笑いコンビ「ペナルティ」に重要な仕事を委嘱している。
 それは「草の根大使」だ。
 「草の根大使」は支援している途上国を訪問してもらい、交流を深めることが期待されている。
 現地の子どもたちとサッカーなどを。
 ペナルティはまさに適任。
 ヒデ(中川秀樹)とワッキー(脇田寧人)はともに船橋市立高時代はサッカー部に。ヒデは専修大学法学部を卒業したときサッカー選手としてJリーグの横浜フリューゲルス入りが内定していたほど。ポジションはディフェンダー。
 ワッキーは専修大中退後、世界中を放浪している。

「抜かれて4位に」

 小泉純一郎元首相が安倍晋三首相に抜かれてしまった。
 連続在任記録で、安倍首相に抜き去られたのは5月29日。
 小泉元首相が政権の座に就いていたのは1980日。
 この間、小泉元首相は「郵政民営化」をやってのけている。
 このとき口にしていたのが「自民党をぶっ壊す」だ。
 実際、抵抗勢力を自民党から追い出し、選挙には刺客を立てるという徹底ぶり。
 これが人気になり、政権在任中の支持率は常に高かった。
 就任したときの支持率は80パーセント超で、退いたときも50パーセントを維持していた。
 一度、大きく落としたときがある。
 田中真紀子外相を更迭したとき。
 安倍首相が今日あるのは小泉元首相によるものが大きい。
 安倍氏を官房長官に抜擢。
 このときの両者の関係はまさに「良好」そのものだった。
 それがいまでは「良好」とはまったく遠いものになっている。
 政権の座を降りてからの小泉元首相は「脱原発」の先頭に立っている。
 それも安倍首相を徹底して批判している。
 「安倍首相の言っていることは間違っている」とまで。
 安倍首相が9月の自民党総裁選で3選を目指していることについても「難しいだろうな」と。
 安倍首相に連続在任を抜かれてしまったことをどう感じているか。
 安倍首相としては小泉元首相の動きは3選を目指す上で、なんとも気になるところだ。

「英語力」

 世界各国、各地で毎日のように開かれている国際会議。
 G7、G20をはじめとした会議、そして顔を突き合わせての首脳会談と安倍晋三首相はそれこそ「地球儀俯瞰外交」そのものに飛びまわっている。
 閣僚もひんぱんに。かつての日本の大臣は、よほどのことがない限り、世界に出ることはなかった。
 だが、いまや地球は小さくなり、日帰りの国際会議も。
 そこで注目されるのが「英語力」だ。
 米トランプ大統領とは電話会談も頻繁の安倍首相の英語力だが「わかりやすい英語」と評価は高い。
 2020年の東京五輪を招致したときのIOC(国際オリンピック委員会)のプレゼンテーションも英語だった。
 歴代首相で「トップの英語力」と評判だったのは宮沢喜一元首相。
 「アメリカ人よりも英語がうまい」とまで。
 負けていないのは小泉純一郎元首相。
 政権在任中、「文書にカタカナが多すぎる」と官僚を怒鳴りつけている。英語が苦手かというと、その反対。
 「憲法も英語で話す」という英語力。ロンドン大学に留学しており、本物。
 麻生太郎副総理兼財務相は米国スタンフォード大学留学。
 蔵相会議をはじめ国際会議出席は多いが、苦にしていない。
 中曽根康弘元首相も自信を持っていた。
 いま閣僚の中で『一番の英語力』は河野太郎外相。
 米国ジョージタウン大学に留学し、「ジョークも英語で」という達人。

「出馬に意欲」

 来年夏の参院選。自民党には「比例区は70歳定年」の候補者選定基準がある。
 参院選時にこの選定基準にひっかかる議員は9人。
 その中にはいっている山東昭子議員。
 選定基準通りに身を引く考えはない。
 党が行ったヒアリングでも「出馬」の強い気持ちを。
 定年制が設けられたのは「団体内候補の新陳代謝」の方向から定められたもの。
 山東氏は団体内候補ではなく、個人票で当選を重ねてきている。
 このことが出馬への強い意欲に。
 参院当選7回のベテラン議員で、自民党参院議員の重鎮の一人。
 参院副議長も務めており、党内での発言力は強い。
 今年、麻生派と合流するまでは「山東派」の領袖として派閥を率いていた。
 昭和17年5月11日生まれ。
 御茶ノ水の文化学院文学科卒業。
 10歳のときにラジオの子供番組のナレーターに応募。「赤胴鈴之助」のナレーションを。
 これで人気を得て15歳で東映専属の女優に。
 約70本の映画に出演している。
 44年、テレビの人気番組「クイズ・タイムショック」では5週勝ち抜きを達成し「クイズの女王」の異名をつけられている。
 国会議員になったのは49年の選挙。125万余の票を得て全国区5位で当選。
 「定年制」には、これまでに例外もあり、8回目の当選に向けやる気満々でいる。

「1億総活躍は」

 安倍晋三首相が政権の座に復帰したのは12年12月26日。
 いらい強調してきているのが「デフレからの脱却」「アベノミクス」であり、「1億総活躍」。
 とりわけ「1億総活躍」は安倍政権の政策の根幹に。
 5月30日、「ニッポン1億総活躍プラン、フォローアップ」会合が開かれ、安倍首相も出席。
 「働き方改革こそ最大のチャレンジ」と。
 現状はどうか。正規で働く人は増えているか。
 数字では非正規で働く人は少なくなってきている。
 非正規の人は2014年は18・1%だったが、17年には14・3%に。
 安倍首相が目標としているのは東京オリンピックの年の2020年までに10%以下にまですること。
 「デフレからの脱却」では、いま以上の経済成長が欠かせない。
 経済協力開発機構(OECD)の見通しによると、19年の日本の国内総生産(GDP)の成長率は1・2%。
 経済成長には経済界との緊密な連携が必要。
 そこで注目されているのが経団連の第14代会長に就任した中西宏明会長。
 経団連には大手を中心に1350社が会員になっている。経団連会長は「財界総理」とも呼ばれており、日本経済の舵を握っている。
 中西会長は日立製作所会長で、日立の再建に力を発揮してきた。
 それだけに、自信を持っており、「財界総理」として強気。
 安倍政権にも「言うべきことは言う」と。
 安倍首相、中西会長による二人三脚ぶりが注目される。