中央政界特報

■平成30年5月17日(木) 第5359号

「政治特報」

 「解散」「ポスト安倍」と騒がしさが増している。そんな永田町で自民党二階俊博幹事長の権勢は増している。「キングメーカー」として。

 二階幹事長がいかに永田町で力を持っているか。
 その凄さをあらためて見せられたのは4月23日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニの宴会場「鶴の間」で開かれた総勢44人の二階派「志師会」のパーティー。
 会費2万円のパーティ―に集まったのは15カ国大使をはじめ約5000人。
 「鶴の間」は同ホテル最大の宴会場だが、中に入りきれないほど。
 安倍晋三首相は6時半過ぎにかけつけて挨拶。
 「大黒柱として党を支えていただいている」と。
 出席した「ポスト安倍」に名前があがっている岸田文雄自民党政調会長は、二階派パーティーの迫力に「負けました」と絶句。岸田派は47人。
 自民党で一番の94人の勢力を誇る安倍首相の出身母体、細田派会長の細田博之元幹事長も「私どもは人数は多いが、5、6回当選のベテラン議員は二階派が多い」と。
 「竹下派」を4半世紀ぶりに復活させた竹下亘自民党総務会長はこうだ。
「二階派から(ノウハウを)盗もうと思う」
 連休中、二階幹事長はモスクワにいた。
 安倍晋三首相が政府専用機で中東訪問に向け羽田を発った日、二階幹事長はロシアのサンクトペテルブルクでの記者会見で「今は国会審議に専念するとき」と永田町の上空に吹きはじめた解散風を否定。
 その一方で「外交での成果は高い。3選支持は1ミリも変わらない」と 9月の自民党総裁選での安倍首相支持の立場を強調。
 二階氏が幹事長のポストに就任したのは16年。
 以後、派閥勢力を拡大し、いまや二階派は細田派、麻生派、岸田派につぐ勢力。
 9月の自民党総裁選で、安倍首相は3選を目指している。
 安倍首相が長期政権をものにすることができるか。
 二階幹事長がその「カギ」を握っている。
 これまで麻生太郎副総理兼財務相が「キングメーカー」だったが、いまその立場は厳しいことに。
 「代わって二階幹事長がキーマン」(永田町筋)
 3月2日には「ポスト安倍」の一番手、石破茂前地方創生相が党本部の幹事長室に「春のごあいさつ」に訪れている。
 夜の会食も増えている。3月7日には東京・赤坂の日本料理店「津やま」で安倍首相と会食。
 4月10日は東京都内のステーキ店で麻生氏と会食。
 4月18日夜には赤坂の「津やま」で小泉純一郎元首相、山崎拓元副総裁、武部勤元幹事長、小池百合子東京都知事と会食。

「クールビズと小池知事」

 夏も近づく八十八夜…も過ぎて五月。
 季節は夏にはいってきた。
 新茶がおいしい、となり、今年もクールビズが始まった。
 国会議事堂に隣接する霞ヶ関の官庁街。「東京メトロ」の駅から各省庁に向かう官僚もスーツ族が目立って減ってきている。
 ポロシャツにスニーカーといった姿も。
 いま、国会を揺るがす震源地になっている財務省ももちろんクールビズ。スーツは着ていてもノーネクタイ姿が多い。
 地球温暖化防止、それに省エネルギー対策として始まったクールビズは今年で14年目になる。
 期間は5月から9月末までに。
 「クーラーを28度に抑えて」とクールビズを提唱したのは小池百合子東京都知事。
 当時、小泉内閣の環境大臣だった小池氏が声をあげたことではじまった。
 小泉純一郎首相が率先垂範。まっさきに上衣を脱ぎ、ネクタイをはずした。
 小池氏はその後、「もったいない」「風呂敷活用」、そして地上から電柱をなくす「無電柱」をアピール。
 「トルコ風呂」の呼び方が消えたのも小池氏が動いたことがはじまりに。
 時の渡部恒三厚生大臣に働きかけている。
 いまの小池氏、東京都知事として厳しい状況が続いている。
 東京の新しい台所は10月11日に築地から豊洲に。
 開場まで半年もないのに、いまだに問題が。
 昨年6月に築地の跡地を観光拠点として「食のテーマパーク」にする構想を明らかにしているが、前に進んでいない。

「OBへの危惧」

 「口をはさむのもほどほどに」
 永田町でこんな声が聞かれだしている。
 自民党総裁選まで半年を切ってしまっている。
 3選を目指す安倍晋三首相、それに「ポスト安倍」に名前のあがっている石破茂前地方創生相、岸田文雄政調会長、野田聖子総務相の動きが活発になってきている。
 これに合わせるように自民党OBの言動も目立ってきた。
 小泉純一郎元首相、山崎拓元副総裁、青木幹雄元参院議員会長、古賀誠元幹事長。
 そして福田康夫元首相も。
 小泉氏はズバリ、こう言い切っている。
 安倍首相の3選について「難しい。信頼がなくなってきている。何を言っても言い逃れになってしまっている」
 昨年までは安倍首相の進める原発への批判はしても、総裁選にからんだ踏み込んだ発言はしていない。
 それがここにきてズバスバと。
 4月18日には「同窓会」と称して山崎氏、小池百合子東京都知事、武部勤元幹事長、そして二階俊博幹事長をまじえ、東京・赤坂の日本料理店「津やま」で会食している。
 ここでも話題は総裁選のことに。
 沈黙を続けていた福田元首相も安倍政権批判を口に。
 青木氏、古賀氏、山崎氏は「ポスト安倍」候補の背後での動きを。
 こうしたOBの言動に現役議員からは危惧の声が。
 小泉元首相は議員バッヂを外したとき「もう永田町には関係しない」と距離を置くことを言っていたのに。

「若手の動き」

 永田町は「いつ、なにがあってもおかしくない」状況になっている。
 国会の上空には「解散風」も吹きだしている。
 自民党ばかりでなく、野党も混乱状態に。
 希望の党はわずか7カ月で解党。
 民進党は希望の党と合流し新党「国民民主党」に。
 「世界一の人材揃い」と国際的に高い評価を受けていた官僚からも問題が噴出。
 永田町で言われていることに「一寸先は闇」がある。
 いままさにその通り「一寸先」は見えない。
 そんな中、自民党の若手議員が動きだした。
 19年10月の消費税10%への引き上げに「凍結」の動きが起こっている。
 声を上げたのは「日本の未来を考える勉強会」。
 安藤裕衆院議員が呼びかけ人代表となり、衆参両院から若手議員40人余が。
 「デフレから抜けだしていないのに、増税すれば再デフレになる」との提言を安倍晋三首相に。
 小泉進次郎筆頭副幹事長も声を上げてきている。
 若手議員が中心となり勉強会「党政調会のあり方等に関するプロジェクトチーム」の立ち上げ。
 小泉氏が事務局長としてまとめている。
 勉強会では「政」と「官」の関係などについての論議を。
 自民党の衆参両院議員は若手議員が多い。
 「安倍チルドレン」と呼ばれている若手議員は厳しい見方をされてきている。
 「問題ばかり起こしている」と。
 だが、人数からも自民党を支えているのは若手。それだけに、これからの若手議員の動きが注目だ。

「野党第1党は変わらずだが」

 希望の党と民進党が統合し新党「国民民主党」に。
 だが、離脱議員が多く、野党第1党になれなかった。
 野党第1党はひきつづき立憲民主党。
 枝野幸男代表の国民民主党を見る目は厳しい。
 新党合流の誘いには「選挙目当て」とまったく相手にしなかった。
 希望の党と民進党が合流した国民民主党と立憲民主党との距離はさらに開いてしまっている。
 岡田克也氏、野田佳彦氏をはじめ国民民主党に背中を向けた議員は大物に多い。
 各世論調査結果によると、野党で最も支持率が高いのは立憲民主党。
 どの世論調査でも、ほぼ10%を確保している。
 だが、立憲民主党の前途が「明るいか」といえば、そうでもない。
 枝野代表は国会での質問でも明らかなように強気。
 足元が揺れている安倍晋三首相に対する追及は激しい。
 それでも、立憲民主党の前途はまだまだ多難だ。
 10パーセント台の支持率確保といっても、自民党との差は大きい。
 「野党第1党でありながら、支持率は低すぎる」(永田町筋)といった見方までされているほど。
 来年夏には参院選がある。
 枝野代表、そして立憲民主党の真価が問われる選挙となるが、見通しは立っていない。
 地方組織が脆弱。地方を固める県連はいまだ20。
 地方議員の人数となると、自民党より2000人余も少ない。
 政党交付金も27億6000万円余と少なく、台所も厳しい。

「気分転換」

 安倍晋三首相がタフなところを改めて見せてくれている。
 現地時間午後2時にイスラエル・テルアビブ近郊のベングリオン国際空港を政府専用機で飛び立ち、5月3日、午後2時過ぎに羽田空港に到着。
 東京・渋谷区富ヶ谷の自宅に寄ったあと、その足で山梨県鳴沢村の別荘に。
 翌4日、早朝の7時から山中湖村の「富士ゴルフコース」のグリーン上に姿が見られた。
 「調子はどうですか」の番記者の問いかけに「いいですよ」と。
 ゴルフを楽しむや、そのまま東京に戻り、首相公邸に。
 その後、中国の習近平国家主席と1時間ほど電話会談。
 日中首脳による電話会談はこれが初めて。
 電話会談を終えるや、再び鳴沢村の別荘に。
 第1次政権を体調不良で、わずか1年で降板したときとはまったく違う。
 潰瘍性大腸炎が持病だが、これは安倍首相が「新薬のおかげで劇的によくなった」と。
 体調のほうは3月31日に、東京・信濃町の慶応大病院で人間ドックにはいってチェックずみ。
 ゴルフが一番の気分転換で、元気の源になっている。
 気分転換では映画鑑賞もそうだ。
 年末からこれまで3度、映画を鑑賞している。
 12月31日に「DESTINY 鎌倉物語」、2月4日に「嘘八百」、4月8日に「ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男」。
 ちなみに長期政権だった小泉純一郎元首相の気分転換は音楽。プレスリーからXJAPANまで。それにオペラが癒しになっていた。

「元首相の今後」

 希望の党と民進党が合流して旗揚げされた「国民民主党」。
 5月7日の結党に参加した議員は衆院39人、参院23人の62人。
 その中に希望の党の結党メンバーだった長島昭久氏、細野豪志氏、民進党に属していた岡田克也氏、安住淳氏らの顔はみられない。
 「国民民主党」とは離れて独自の道を。
 野田佳彦氏の名前も参加者にはない。
 民主党時代、野田氏の権勢は絶大だった。
 鳩山由紀夫氏、菅直人氏の後を継ぎ首相の椅子にも座っている。
 政権の座に就いたとき、柔道で鍛えた分厚い胸を張り、こう言い切っていた。
 「リアリティーのある政治をする」
 就任直後に寄せられた期待は高かった。
 各世論調査での支持率は60パーセント台。
 野田氏をモチーフにした饅頭「どじょう総理まんじゅう」は飛ぶように売れていた。
 だが、解散に出た12年12月の衆院選で民主党は惨敗。
 その後、幹事長として蓮舫氏を代表に担いだが、かつての権勢には遠いものに。
 国民民主党に参加していない岡田氏は地元三重県で地域政党「三重新政の会」を結成。
 安住氏も地域政党結成を言及している。
 長島氏は「新希望の党」を立ち上げる。
 野田氏も千葉県での地域政党の方向を明らかにしているが、影がかすんできている。
 「素志貫徹」
 これが野田氏の座右の銘。ことあるごとに口にしている座右の銘でいえば、懸命になせば道は開けてくる―か。