中央政界特報

■平成30年4月26日(木) 第5356号

「政治特報」

 自民党内の各派閥の動きが活発になっている。ここにきて、幹部同士による会合がひんぱんに。総裁選まで5カ月余。

 4月10日夜、東京都内で会合した麻生太郎副総理兼財務相と二階俊博自民党幹事長。
 総裁選のキーマンである両氏の会合が現状の自民党を表わしている。
 3選を目指す安倍晋三首相、「ポスト安倍」を目指す石破茂前地方創生相、岸田文雄政調会長、野田聖子総務相。
 「戦国ダービー」(永田町筋)といわれる総裁選は第4コーナーをまわった。
 しかも、その決着がまったく読めない。
 今年初めの段階では「1強」の安倍首相の3選は「固い」とみられていた。
 自民党は7派1グループの集合体。
 その7派1グループは細田派、麻生派、竹下派、岸田派、二階派、石破派、石原派、谷垣グループ。
 日が暮れてくると、各派幹部の姿が消えて行く。
 「他派との会合によっての情報収集」に。
 今年にはいってからの各派閥幹部同士による会合は1月15日に麻生氏と岸田氏が会談。このとき麻生氏は岸田氏に「2位を目指せ」と。
 2月7日に細田派と岸田派が。細田派からは塩谷立選挙対策委員長、岸田派からは望月義夫元環境相が。
 やはり7日には石原派と谷垣グループが会合を持っている。
 3月1日には石破派と岸田派が。石破派からは鴨下一郎元環境相、岸田派からは望月元環境相が顔を出している。
 3月3日には石破前地方創生相と二階幹事長が会談している。
 3月6日には石破派と石原派が。石原派からは最高顧問の山崎拓元副総裁が出席。石破派からは派閥会長代理の鴨下元環境相が。
 安倍首相の動きも激しい。
 1月25日には東京・赤坂のふぐ料理店「い津み」で岸田氏と2時間会食。
 翌26日には東京・松濤のフランス料理店「シェ松尾 松濤レストラン」で麻生氏と。
 3月7日夜には東京・赤坂の日本料理店「津やま」で2時間ほど二階幹事長と食事をとりながら会談している。
 米トランプ大統領との首脳会談で渡米した前日の4月16日には東京・西麻布の焼肉店「叙々苑」で岸田氏と今年になって2回目の会食を2時間。
 現時点で安倍首相を支持しているのは細田派と麻生派。
 二階派も「安倍支持」のスタンスだが、ここにきて二階幹事長の安倍首相に対する姿勢は厳しくなっている。

「東京五輪一筋」

 2020年東京オリンピック・パラリンピックまで2年とちょっと。
 カウントダウンにせきたてられるように、東京の街もせわしなくなってきている。
 いま永田町は大揺れだ。安倍晋三政権の支持率は急落している。
 併せるように自民党内のざわめきも大きくなっている。
 山崎拓元副総裁、青木幹雄元参院議員会長、古賀誠元幹事長といった、自民党OBが影響力をのぞかせてきている。
 そんな中、永田町の騒動から引いている森喜朗元首相。
 いまの森元首相は東京五輪組織委員会会長の職に専念。
 永田町のことは「お呼びではない」といった感じに。
 組織委員会会長に就任するまではそうではなかった。
 国会議事堂近くの砂防会館内の事務所から、長老OBとしての影響力を誇示していた。
 青木氏、古賀氏らとはひんぱんに連絡を。
 それが「最後の御奉公」と組織委員会会長に就任してからというもの、口をついて出るのは「東京五輪を成功させなくては」の一点張り。
 東京五輪のロゴも、マスコットも決まり、大会のイメージカラーも「紅色と藍色」と決まった。
 そしていま最終的な調整にはいっているのが聖火リレーコース。
 東京の15日間をはじめ全国を114日間で走ることまでまとまっている。
 富士山頂をめぐることもプランの中に。
 ヘリコプターで運ぶか、徒歩でいくか。
 森会長には永田町の騒ぎに首を突っ込む時間はない。

「小沢氏の嘆き」

 民進党と希望の党の合流、新党結成がまとまった。
 「中道民主政党」が綱領の軸に。
 「原発ゼロ」「専守防衛」などの政策を前面に打ち出している。
 「政権を担う党になる」
 民進党大塚耕平代表、希望の党玉木雄一郎代表は、声をあわせるように言っている。
 衆院14人、参院41人の民進党と衆院51人、参院3人の希望の党が一つになれば、衆院56人、参院7人の立憲民主党を抜き、野党第1党になる。
 大塚、玉木両代表は強気いっぽう。
 これに厳しい目を向けているのが自由党の小沢一郎代表。
 自由党も新党に加わるように誘われていた。
 大塚代表が小沢代表と会談している。
 だが、小沢代表はこの誘いを拒否。
 「立憲民主党を加えた全野党が結集すべき」が小沢代表の考え。
 小沢代表がかねてから主張しているのは「オリーブの木」構想。
 元日、小沢代表邸では新年会が開かれる。
 これはずっと以前から続けられているもので、最盛期には部屋に入りきれない年賀の客であふれた。
 いまの自由党は衆参6人。かつてのような年賀客の多さはないが、新年会はとぎれることなく続いている。
 今年の新年会で小沢代表は言っていた。
 「野党が完全に連携していたら、昨年の選挙は圧勝していた」
 それだけに、民進党と希望の党による新党には乗れない。
 民進党と希望の党による新党は、来年の参院選の「勝利」を目指しているが。

「動きだしたカメさん」

 昨年10月の衆院選挙に出馬せず政界から「引退」した亀井静香元金融担当相。
 「一緒に戦う仲間もいなくなった。もう未練はない」
 そう引退の弁を語っていた。
 地元で会社を経営しており、「残りの人生を楽しまなくては」とも。
 だが、カメさんはやはりじっと引っ込んだままではいられないようだ。
 引退してから半年余しかたっていないのに、またまた動き出すことを自ら口にしている。
 BSフジの「プライムニュース」に出演し、動きだすことを明らかに。
 「5月に北朝鮮を訪問する」というもの。
 議員バッチをつけているときの亀井氏は、それこそ常に話題を。
 1936年11月1日、広島県比婆郡山内村生まれ。父は村の助役だった。東大経済学部を卒業し住友精化に入るが、病気で1年で退社。国家公務員上級試験に3番の成績で合格。警察庁に。警察庁時代には連合赤軍事件、テルアビブ空港事件に。
 国会議員になったのは79年。以後、永田町で波乱の政治家人生を。
 自民党時代の後半は主流派から外れ「傘張り浪人だよ」とボヤキ、小泉純一郎首相の郵政民営化に造反し、自民党からは除名に。その後は国民新党代表、菅直人内閣の金融相などを。
 まさに永田町劇場で主役から脇役までを。
 北朝鮮訪問の意向を明らかにしたことで、再び永田町劇場の舞台にあがろうとしている。
 安倍晋三首相とは3月中に面会している。
 カメさんはなにを考えているか。しばし、その動きに注目だ。

「二番目争い」

 野党第1党の座争い。民進党・希望の党と立憲民主党の争いになっている。
 昨年10月の衆院選挙で民進党は立憲民主党、希望の党、民進党に3分裂。
 立憲民主党が野党第1党に。
 それが、ここにきて「1位、2位争い」が勃発。
 希望の党と民進党が新党を結成することで合意。
 「中道民主党」を新党の綱領とすることも決まっている。
 「大きなかたまりになる」
 民進党大塚耕平代表、希望の党玉木雄一郎代表はそう声を高くしている。
 現在の民進党は衆参両院議員55人、希望の党は衆参両院で54人。
 両党の全員が合流し新党を結成すれば109人。
 立憲民主党の衆参両院63人を上まわっている。
 野党第1党の座は民進党と希望の党による新党に。
 統合の話は立憲民主党にもあった。
 だが、これを立憲民主党枝野幸男代表は強く拒否している。
 「合従連衡するつもりはまったくない。新党結成には加わらない」
 拒否の理由を「希望の党とは理念も政策も違う。このことで有権者の支持をもらっている」と。
 新党に加わることより、枝野代表が取り組んでいるのは市民に政治参加を進める「立憲パートナーズ」制度。
 登録料500円で市民を取り込んでいくことを。
 野党第2党争いの決着はついていない。
 「新党に加わらない議員もかなり出てくるはず」(永田町筋)
 来年の参院選での32ある1人区の候補者擁立もあり、これからが「力比べ」に。

「大阪出張」

 4月17、18日のトランプ大統領との日米首脳会談のため、安倍晋三首相は17日に政府専用機で羽田空港を発った。
 トランプ大統領のフロリダの別荘での会談が終わるやトンボ返りのように帰国。
 そんなすきまもなく詰まったスケジュールの中、安倍首相は13日、14日の両日、大阪に。
 ここにきての大阪出張。大阪での地方組織の大会への出席のために。
 首相が地方組織の大会のために顔を出すのはまず異例といっていい。
 その異例な大阪出張には、9月の総裁選がつながっている。
 今年、正月の段階では安倍首相の「1強」は絶対的だった。
 新年、伊勢神宮参拝のおりの記者会見では「声なき声にしっかりと耳を傾けていく」と自信のほどを。
 それがいま支持率は急落。足元が揺らいできている。
 「ポスト安倍」で石破茂前地方創生相が勢いを増してきている。
 「首相にしたい人」の世論調査の中には、石破氏が安倍首相をしのいでいるものまで。
 今回の総裁選から選挙の内容に変更が。地方票が重視されるようになり、国会議員だけの投票では勝てなくなっている。
 12年の総裁選は石破氏が地方票で勝ちながら、国会議員による決選投票で安倍首相が勝利。
 このねじれが今回からなくなる。
 「地方票を確実に」と大阪での2日間、安倍首相は目一杯動いた。
 地元企業を訪ね、天神橋筋商店街も練り歩いてもいる。
 大阪選出地方議員との写真撮影にも時間をとっている。

「ファイアーならず」

 大仁田厚氏の決めセリフは「ファイアー!」だ。
 プロレス時代、勝利の雄叫びとして「ファイアー!」と叫んでいた。
 4月15日に投開票された佐賀県神_市長選挙。
 この市長選のマットに上がったが、「ファイアー」とはならなかった。
 現職の松本茂幸氏が自民、公明党の推薦を受け9002票で当選。4期目に。
 「4選阻止」を掲げていたが大仁田氏は約1000票余少ない8025票。
 投票率は65・80%と過去最低。
 投票率があがっていたら、どうなっていたか。
 大仁田氏が立候補の声をあげたのは今年に入ってからで1月18日に。
 「市民の声を重視した市政を目指したい」と。
 1957年10月25日、長崎市生まれ。
 実家は長崎市の老舗「大仁田風呂敷店」。
 長崎市生まれの大仁田と神埼市とのつながりは、母親のふるさとであることから。
 プロレス時代は、それは過激なファイトで鳴らしていた。
 全身傷だらけ、縫合手術跡が勲章になっているほど。
 政治の世界に身を投じたのは01年の参院選。自民党比例代表区で約46万票を獲得して初当選。
 だが、07年夏の参院選出馬を辞退。再びマットの上に。
 現在、永田町で議員バッヂをつけているプロレス出身者は馳浩衆院議員、アントニオ猪木参院議員。
 馳氏とはマットで対決している。03年5月3日の対決は無効試合となる流血戦だった。
 落選は2010年の長崎県知事選についで今回が2度目になる。