中央政界特報

■平成30年4月19日(木) 第5355号

「政治特報」

 安倍晋三首相の3選となるか。9月の自民党総裁選へ向け党内各派は騒がしい。そんな中、注目されるのは長老OBの動き。

 桜も散り、青葉の季節に入った。
 名残り雪まで降った3月の1カ月余で総裁選の絵図は大きく変わってきた。
 安倍首相の「1強」は絶対的でなくなっている。
 安倍首相のほか、総裁選への出馬が予想されるのは岸田文雄政調会長、野田聖子総務相、石破茂前地方創生相。
 動きは活発に。その動きの後ろに長老OBの動きも。
 まず積極的に動きだしたのは山崎拓元副総裁。
 石破氏が領袖の石破派の勉強会に山崎氏の姿が見られた。講師に招かれてのもの。
 その前に石破派幹部と石原伸晃元環境相が会長の石原派幹部が会談している。
 石破派からは重鎮の鴨下一郎元環境相が出席。山崎氏は石原派を代表する形で出席。山崎氏は石原派の最高顧問の肩書がついている。
 この4月に派閥の名称が変更になった。額賀派が竹下派に。
 額賀福志郎氏に代わって、派閥会長の座に就いた竹下亘総務会長。
 竹下登元首相の下、「一致団結箱弁当」の固い結束を誇った竹下派の復活だ。
 名称変更にともない竹下派のスタンスにも変化が。
 額賀氏は「安倍首相支持」の立場だった。だが、竹下氏は微妙な発言を。
 「政策的に一番近いのは岸田派、だが…」
 石破氏の方にも目を向けている。
 竹下派に影響力を持っているのが元自民党参院議員会長の青木幹雄氏。
 岸田氏の後ろには古賀誠元幹事長が。 
 岸田氏が安倍内閣で4年半にわたって外相をつとめたことには「長けりゃいいというもんではない」と。
 派閥を岸田氏に譲ったあとも、ことあるごとにゲキを飛ばしている。
 「無風」とまで言われた総裁選だが、にわかに「風雲急」を告げてきている。
 地方票だけでなく、国会議員票の票読みも読みきれなくなっている。
 あわせるように存在感を増してきている長老OB。
 20人余のグループを率いる谷垣禎一前幹事長の動きからも目が離せない。

「少ない女性議員」

 3月31日付けでNHKを退社した有働由美子アナウンサー。
 8年間メインキャスターを務めていた「あさイチ」で、その人気は全国すみずみまで。
 気になるこれからだが、「一ジャーナリストとして頑張っていきたい」と。
 有働アナがNHKを離れたことで民放各局はざわめいている。
 有働アナの「ジャーナリスト」に生きる決意は固いが、民放各局は争奪戦になることへ備えている。
 有働アナの今後に注目しているのはテレビ局だけではない。永田町にもインパクトを与えている。
 来年は参院選がある。有働アナの人気からすれば、選挙の「超目玉」は間違いなし。
 「女性の活躍の場を」の声は高くなっている。
 だが、現状は掛け声ばかりが先行し、実態が伴っていない。
 政治の世界でもそれは顕著。
 世界の議会による「列国議会同盟」が昨年12月に発表した議員の中に占める女性の割合で日本は193カ国中157位。
 昨年の衆院選挙をみてみると、全候補者で女性候補者は17・7%しかなく、当選者にいたっては10・1%。
 3月に超党派議員による議員連盟「ママパパ議員連盟」を発足させ、4月に地元岐阜市に「女性政治塾」を開塾した野田聖子総務相は言っている。
 「女性議員がほとんどいない。いまこそ女性が答えを出さなくてはならない」
 市民団体[クォーター制を推進する会](代表・赤松良子元文相)は「政治分野における男女共同参画推進法案」の議員立法成立を求めている。

「ポスト安倍のトップ」

 河野太郎外相が「ポスト安倍」の中でトップに。
 にわかに読めなくなった9月の自民党総裁選。
 3選を目指す安倍晋三首相の「絶対」は大きく揺らいできている。
 併せるように動きが活発になってきている石破茂前地方創生相、岸田文雄政調会長、野田聖子総務相。
 石破氏は大阪市内で1000人を超える参加者を集めての講演会、岸田氏も地方行脚に。
 野田氏は「女性政治塾」を立ち上げてきた。
 いずれもまだ、正式に総裁選立候補を宣言していないが、総裁選をにらんでのもの。
 激しさを増してきている「ポスト安倍」。
 河野氏も「ポスト安倍」に名前が上がっているが、石破氏、岸田氏、野田氏のような積極的な動きはしていない。
 「河野氏が狙っているのは次の次」(永田町筋)の見方がされている。
 「首相にしたい人」の各世論調査でも岸田、石破、野田の3氏より下位に。
それが「ポスト安倍」でトップ。
 これは資産でのランキング。
 昨年10月の衆院選挙で当選した衆院議員465人の資産が公開されたが、河野氏が「ポスト安倍」の有力候補の中で一番に。
 その資産は8894万円。その内訳をみると土地、建物はゼロで預貯金が743万円だが、トヨタ自動車株、キャノン株、ソニー株、電通株など証券、株式をガッチリと。
 ちなみに岸田氏は3395万円、野田氏は1806万円、石破氏は1555万円。
 河野氏が大きく引き離している。総裁選には資金力も必要。

「勢力と台所」

 民進党と希望の党による「新党協議」が本格的になっている。
 来年の参院選、その次の衆院選をにらんでのもので、民進党大塚耕平代表、希望の党玉木雄一郎代表は「大きな固まりをつくりたい」と力が入っている。
 現在の両党の勢力は民進党が衆院14人、参院42人の計56人。
 希望の党は衆院51人、参院3人の計54人。
 ひとつにまとまれば衆院56人、参院6人の計62人の立憲民主党を抜き野党第1党になる。
 「分裂前の民進党時代のパワーを持つことになる」(永田町筋)
 そこには党の台所事情を左右する問題も。
 政党交付金だ。総務省は4月に入ってすぐの2日、2018年分の政党交付金の配分額を発表している。
 総額317億7000万円余を、1月1日時点での国会議員数と国政選挙の得票数によって、受給の申請をしていない共産党を除く各党に配分。
 これによると衆院選で大勝した自民党は174億9000万円余。
 選挙前に民進党から3分裂してしまった民進党は35億7000万円余、希望の党は30億4000万円余、立憲民主党は27億6000万円余。
 仮に3党がひとつなら100億円に近い配分になっている。
 選挙での勝敗がストレートに台所を直撃だ。
 民進党と希望の党による「新党」がはたしてまとまるか。
 希望の党内には「分党」を求める声もあがっており、結束とは反対にさらに分裂することにもなりかねない。
 大塚代表、玉木代表の真価が問われる。

「一丸の会」

 離合集散。ばらばらになったかと思うと、また集まろうとしている。
 民進党と希望の党の合流話だ。
 民進党大塚耕平代表と希望の党、玉木雄一郎代表は「合流」に力がはいっている。
 だが、民進党、希望の党の両方の党内は「合流」に一本になっていない。
 さらに分裂しかねない状態だ。
 そんな中、永田町の外で政治団体が立ち上げられた。
 昨年10月の衆院選で落選した旧民進党系の約30人が集まって設立された「一丸の会」。
 「我々によってもう一度、まとまろう」
 永田町に届けとばかりに、声を高くしてきている。
 議席を失った者たち。素浪人が集まっているが、議院バッヂを確保している議員にも増して民進党、希望の党、立憲民主党と3分裂している現状を心配し、憂いている。
 素浪人をまとめているのは馬淵澄夫氏。
 民主党政権で国交相を務めていたが、昨年の選挙で落選。
 03年の衆院選で奈良1区から出馬して初当選。旧民主党にあって1、2を争う論客として知られていた。
 11年の民主党代表選に出馬している。このとき野田佳彦氏、海江田万里氏、前原誠司氏、鹿野道彦氏、そして馬淵氏と5人が立候補。
 馬淵氏は第1回目の投票が25票で決選投票に残れなかった。
 30年以上もボディビルで鍛え胸囲は120センチ。6人(1男5女)の子だくさん。「ターミネーター」の異名を。
 「一丸の会」で旧民進党に「喝!」を。

「永田町の話題の中心」

 なにかと話題の麻生太郎副総理兼財務相。
 衆参両院国会議員の中で麻生財務相はひときは目立つ存在だ。
 国会内における言動にはじまり、ファッションにいたるまで。
 昨年10月の選挙で当選した衆院議員の資産が公開されているが、ここでも存在感を。
 資産額は4億8682万円。
 その主なものは東京都渋谷区神山町の自宅。敷地面積約2400平方メートル。建物は洋館建てで床面積約720平方メートル。
 実勢価格にすると、50億円近い資産価値になるのではないかとも見られている。
 政界の「セレブ」といえば鳩山由紀夫元首相だったが。
 麻生財務相はいま記録を更新中だ。
 それも「このさき、この記録は破られることはないだろう」(永田町筋)という記録を。
 それは財務相としての在任記録。
 12年12月26日の第二次安倍内閣発足で財務相に就任。
 以来安倍晋三首相を支えてきており、今年2月12日に、宮沢喜一氏の1874日を抜き、戦後の蔵相・財務相在任でトップに立っている。
 政権の座には1年もたず358日しかおれなかったが。
 「長くやっていればいいというもんじゃない」
が記録を更新したときの感想。
 もっとも戦前には高橋是清氏が3214日、松方正義氏が5302日蔵相を務めている。
 衆院議員では伊吹文明元衆院議長、二階俊博自民党幹事長についで3番目の年長。78歳。

「資産ゼロ」

 公開されている衆院議員の資産。
 465人の衆院議員の平均資産約2900万円。 
 そんな中で「資産ゼロ」になっている小泉進次郎自民党筆頭副幹事長。
 土地もなければ、建物もなければ株式もない。預貯金もない。すべて該当なしに。
 ちなみに1位は自民党の神山佐市氏(埼玉7区)で9億3071万円。
 安倍晋三首相は1億396万円。
 当選4回、36歳。
 結婚の予定もない。野田聖子総務相から「はやく結婚しては」と言われているが、その気はまったくないようだ。
 兄の俳優、小泉孝太郎氏も結婚の予定はない。
 兄弟揃って「まだまだ」とその気すらないようだ。
 父親の小泉純一郎元首相は自身がバツイチということもあって息子の結婚には「いっさい口出しなし」だ。
 初当選以来、小泉氏はモテモテ。
 圧倒的な人気で、どこにいっても黒山の聴衆が。
 選挙では立候補者から「応援にきて」とひっぱりだこ。
 いまここにきて、党内からラブコールがきている。
 9月の自民党総裁選が迫ってきている中、安倍晋三首相の「1強」がゆらいでいる。
 各世論調査で支持率にカゲリが。
 小泉氏へのラブコールは石破茂元幹事長から。
 「思いを共有している」と。
 小泉氏は2012年の総裁選では安倍首相ではなく、石破氏に投票している。
 「小泉氏の動きが総裁選の票を左右してくる」(永田町筋)
 総裁選でもモテモテに。