中央政界特報

■平成30年4月5日(木) 第5353号

「政治特報」

 国会が大荒れの中、各世論調査による支持率が注目される数字を出している。

 支持率が大きく動いた。安倍内閣の支持率に顕著な動きが。
 12年12月26日に政権の座に復帰した安倍晋三首相。
 このときの内閣支持率はどの世論調査も60パーセント台。
 復活した安倍首相への期待感が、そのまま数字に。
 ちなみに、歴代内閣の発足直後の一番は01年4月8日の小泉純一郎内閣でなんと80%台も。
 最も低かったのは98年7月31日の小渕恵三内閣で30%台。
 17年7月に40%を割り込んだことがあるが、安倍内閣は常に50%台をキープ。
 それが、ここにきて急落を。
 財務省の決済文書改ざん問題が、そのまま支持率を直撃。
 各調査で軒並みに数字を落としてしまっている。
 第2次安倍政権になってから5年3カ月、最大の下落に。
 永田町では支持率が40%を割り込むと「危険水域にはいった」といわれているが、30パーセント台ギリギリの調査結果もあり、まさに「危機的状況」に。
 過去の政権では竹下登内閣、森喜朗内閣の末期は一桁台だった。
 昨年10月の衆院選挙でも284議席獲得と大勝し、この5年余、安倍首相は議席数で「1強」、支持率でも「1強」の「絶対的な1強」を誇示してきた。
 それが、いまここにきて揺らいできた。
 「危険水域」から脱して持ちなおすことはできるか。 
 高い数字を維持してきた小泉内閣だが、一度大きくダウンしたときがある。
 田中真紀子外相を解任したとき。
 数字を下げたとき、小泉首相はこう言っていた。
 「支持率で政治をしているわけではない。それに支持率は一度は下がったほうがいい」
 9月の自民党総裁選を控えており、この時期にきての支持率低下はどう影響してくるか。
 「一度支持率が落ちると、再上昇は簡単にはできない」
 永田町ではそう言われている。
 今後の主な日程は6月20日に通常国会会期末、9月に自民党総裁選、19年春に統一地方選、4月30日に天皇陛下退位、夏に参院選、20年7月に東京五輪と続く。
 「支持率建て直しにはやはり、得意とする外交か。4月中旬には訪米しトランプ大統領との首脳会談が予定されている。
 5月末にはロシアのサンクトペテルブルクでプーチン大統領との首脳会談。

「伸び悩み」

 各世論調査で安倍内閣の支持率が下落し、自民党の支持率もダウンしてきている。
 だが、野党の支持率は依然として低空飛行のまま。
 「伸び悩み」状態から脱していない。
 自民党の支持率が下がっていても、それが野党に「上昇」につながっていない。
 野党で最も支持率が高いのは立憲民主党だが、それでも10%前後がやっと。
 この数字は昨年10月の衆院選挙で55議席を獲得したときとほとんど同じ。
 寂しいのは希望の党。
 小池百合子東京都知事の下、民進党を割って「希望の党」を旗揚げしたときには大きな期待感を持たれたのだが。
 いま国会は大荒れだ。財務省の決済文書改ざん問題で。
 野党の安倍首相、内閣に対する追及は厳しく熱を帯びている。
 第二次安倍内閣になってから5年3カ月余。
 安倍晋三首相はかつてない窮地に追い込まれている。
 「自民党内からも批判の声があがっている。まさに危機的状況」(永田町筋)
 それなのに、野党の支持率は上がらない。
 昨年秋の衆院選挙で民進党は立憲民主党、希望の党、民進党と3分裂。
 その後、再結集を模索する動きに。
 国民の間に民主党政権の3年余の「トラウマ」が払拭されていないことも。
 支持率が落ちてきているとはいえ自民党は依然として30%台をキープしている。
 野党にとっては支持率が上昇しないことは、なんとも悩ましい。

「オバマ前大統領」

 オバマ前米大統領が3月24日から25日まで来日した。
 民間団体の招待によるもので、25日には安倍晋三首相と昼食をとりながら会談。
 オバマ氏の来日は、2016年5月に現職大統領として初めて被爆地・広島を訪れて以来、2度目。
 前回の来日のとき、安倍首相は東京・銀座のすし店「すきやばし次郎」で「おもてなし」をしている。
 このとき、オバマ大統領は安倍首相から山口の酒「獺祭」の酌を受けながらトロ、ハマチなどを口に運び、「とてもおいしかった」の感想を。
 広島でオバマ氏は「核なき世界」を強くアピールしていた。
 だが、いままた世界は「核」で緊張状態になっている。
 トランプ大統領は核戦略見直しに舵を切っており、ロシア、プーチン大統領も「核戦略」に踏み込んできている。
 世界中がピリピリしてきている。
 今回の来日では政治的な問題は会談のテーマになく、あくまでも「民間人」としての会談に。
 アメリカの大統領は退陣後「政治」から完全に下がってしまう。オバマ氏もそうだ。
 退陣後、ワシントンで話題にあがることはほとんどない。
 日本の場合はどうか。政権の座から降りることと「政治家」としての退陣はつながっていない。
 麻生太郎氏、菅直人氏、野田佳彦氏は現職の国会議員。
 安倍首相による今回の「おもてなし」も寿司だったが、店は「銀座久兵衛」に。
 「親指を立て、オバマ氏は満足していた。

「昨年とは大違い」

 小池百合子東京都知事がほとんど話題にあがらない。
 それこそ「あの人はいま」といった感じになってしまっている。
 昨年の今頃とは大違いだ。
 昨年の小池都知事はそれこそ話題にならない日はなかった。
 連日のようにテレビのワイドショーを賑わしていた。
 昨年のちょうどいま、築地市場移転問題で大騒ぎ。
 そして衆院選へ向けての希望の党旗揚げ。さらには「排除」のひとこと。
 一時は「小池首相が誕生するのではないか」とまでいわれたものだ。
 それが、いまやまったく音なし状態。
 ワイドショーから追いかけまわされることもない。
 今年に入ってから目立った行動は平昌パラリンピック閉会式に出かけたことぐらい。
 それすらもほとんど話題にはなっていない。
 「都政に邁進します」と語っていたが、築地の豊洲移転も「いつの間にか」といった感じで今年10月11日に行われる。
 あれほど大騒ぎしていたのだが。
 3月23日の記者会見で、これまでなにかと重用してきた「特別顧問」の廃止を明らかにしている。
 特別顧問は「側近政治」と批判の的だった。
 これを廃止し、第三者からアドバイスを受ける仕組みにするという。
 このニュースも話題になるところまでいっていない。
 わずか、1年でこうまで違ってきてしまうとは。
 昨年までの小池知事の記者会見は熱気に満ちていたのだが、いまは静かな会見に。

「最長老」

 大揺れの国会。収拾のメドが立たない状態が続いている。
 絶対的な「1強」だった安倍晋三首相、そして自民党が窮地に。
 各世論調査で安倍内閣の支持率、自民党の支持率が減少だ。
 「なにが起こるかもしれない」(永田町筋)情況に。
 そんな中、自民党議員に「喝!」の大声が。
 声の主は伊吹文明元衆院議長。
 「自民党は傲慢だと思われてしまっている。これが支持率が下がった大きな原因だ」
 伊吹氏は問題発言が所属議員の間から相次いで出てきていることを強く危惧している。
 「安倍首相をしっかりとささえていかなくてはいけないときなのに」と。
 伊吹氏は大長老だ。自民党議員にあって最年長の80歳。
 ちなみに2番目は二階俊博幹事長、3番は麻生太郎副総理兼財務相。
 昨年10月の衆院選挙で伊吹氏は京都1区から出馬して悠々当選している。
 京都市生まれで、生家は江戸時代から続く繊維問屋。
 京都大学経済学部を卒業し、大蔵省に。昭和58年に初当選し、昨年10月の衆院選で11回目の当選。
 この間、文部科学相、労働相、財務相、国家公安委員長などの閣僚、自民にあっては幹事長を歴任。衆院議長の椅子にも座っており、文字通りの長老だ。
 自民党内の派閥では二階俊博幹事長の「二階派」に属している。
 昨年の内閣改造では安倍首相からの入閣のオファーを「衆院議長をやった男が、いまさら」と断っている。

「宇宙へ」

 宇宙を目指す。宇宙を開発する。
 安倍晋三首相の視線の先は宇宙。
 3月20日、安倍首相は宇宙開発をにらんだ方針を発表している。
 それは宇宙開発に取り組むベンチャー企業育成の支援策。
 今後5年間で約1千億円の資金を供給するという。
 資金の支援だけではなく、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が有する技術の提供も。
 「明日の日本は宇宙開発にかかっている」といった意気込みが込められている。
 「下町ロケット」を小説、テレビドラマの中だけでなく、国を挙げての支援策だ。
 いま世界の宇宙開発で、際だって力を入れてきているのは中国。
 明らかにされているのは20年代前半に宇宙飛行士が滞在できるステーションの建設。
 現在の宇宙ステーションは日本、米国、ロシア、欧州など15カ国によるもの。これとは別に独自の宇宙ステーションを目指している。
 宇宙開発をリードしてきた米国は、一時、後ろ向きになっていた。
 まるで興味がなくなってしまったように。
 だが、ここにきてトランプ大統領が前向きにギアを踏み込んできている。
 月探査、火星探査の拠点の建設の文書に署名している。
 各国が狙いをつけている開発は月。
 月の資源の所有権を念頭に法整備にはいっている国もある。
 「商機」ととらえている民間企業も。
 中国は13年に月着陸をしている。日本は追いつけるか。

「世界を駆ける」

 世界を駆ける男。河野太郎外相が、まさに「世界を駆ける男」だ。
 新しい年、18年になってから3カ月。
 河野外相は霞ヶ関の外務省大臣室にいるより、地球を飛びまわっている。
 まだ松の内の1月3日にパキスタン、スリランカ、モルディブ歴訪に。
 この地域への進出を強めている中国を牽制してのもの。
 1月の海外歴訪はびっしりと詰まっており、12日にはミャンマーの首都に河野外相の姿は見られた。
 アウンサンスーチー国家顧問と会談。イスラム教徒ロヒンギャの帰還支援を。
 4日後の16日にはカナダのバンクーバーに現われている。
 北朝鮮問題に関する多国間の外相会合出席。
 1月の外国訪問はこれで終わりではなかった。
 トンボ返りで28日には中国の北京に。
 釣魚台国賓館で王毅外相と3時間半余も会談。李克強首相とも面会している。
 日本の外相の訪中は約1年9カ月ぶりのことだった。
 2月に入ってからも外国歴訪は続く。
 10日から12日までにはシンガポールとブルネイを訪問。
 1週間後の17日にはドイツのミュンヘンに。
 「ミュンヘン安全保障会議」に出席。
 3月にはいってからは16日に米国ワシントンでペンス副大統領、マティス国防長官と会談。
 外相のポストはかねてから河野外相が希望していたものとはいえ、時差ボケなどといったことはまったく関係なしのハードさだ。
 「外相専用機があれば」は本音。