中央政界特報

■平成30年3月22日(木) 第5351号

「政治特報」

 財務省の文書書き換え問題で、国会は大荒れ。政権を揺るがしかねない事態になってきている。そんな中、自民党二階俊博幹事長の存在感がますます増している。

 3月7日夜、安倍晋三首相と二階幹事長は東京・赤坂の日本料理店「津やま」で2時間ほども会談している。
 内閣のトップと自民党のトップ。
 2トップの会談に、二階幹事長の存在感の大きさが表われている。
 二階幹事長は安倍首相と会談した5日前の2日には、石破茂元地方創生相と会談。
 石破氏が自民党本部の幹事長室を訪れて約10分ほど。
 会談は石破氏のほうから申し入れてのもの。
 国会は紛糾の度合いを増している。
 文書書き換え疑惑で緊迫してきている。
 9月の自民党総裁選での3選を目指している安倍首相が、ここを乗り越えていけるか。
 永田町では「二階幹事長が安倍内閣の命運を握っている」ともっぱらだ。
 7日夜の赤坂での会談が「キーポイントになっている」(永田町筋)の見方が強い。
 二階幹事長はいちはやく「安倍の次は安倍」と総裁選での安倍首相支持のスタンス。
 それだけに赤坂会談の内容が注目されている。
 二階氏が幹事長の椅子に座ったのは16年9月。あれから1年半余で、自民党を完全に手中に。
 二階幹事長が領袖の二階派(志師会)は勢力を拡大。その人数は44人。 
 これは細田派、麻生派、額賀派、岸田派に次ぐ。
 「志師会」の結束は固い。二階幹事長の地元、和歌山県の高野山の寺「無量光院」などでの研修会で結束を図っている。
 総裁選の9月が迫ってきていることで、「ポスト安倍」をめぐっての動きが活発になっている。
 これまでは水面下の動きだったが、いまでは水面上で。
 岸田文雄政調会長の岸田派と石破派の幹部同士による会談。
 石破派と石原伸晃元環境相が率いる石原派幹部の会談。
 そして石原派と谷垣禎一前幹事長のグループの会談。
 かつてない派閥間の動き。
 それでも永田町の声は「二階幹事長が全てを握っている」だ。
 79歳。全国会議員の中で伊吹文明元衆院議長につぐ長老だ。
 財務省の文書書き換えで、安倍政権の前途はにわかに先行きは見えなくなってきている。
 それだけに、ますます二階幹事長の言動から目が離せない。

「電話会談」

 世界が激しく動いている。
 各国首脳の動きもあわただしさを増している。
 お互いに地球を飛び回っての首脳会談。日帰り、トンボ返りはごくごく当たり前に。
 安倍晋三首相も「地球儀俯瞰的外交」で今年に入ってからも首相官邸を留守にすることが続いている。
 それに併せて増えているのが電話による首脳会談。
 米トランプ大統領との電話会談は、ごくごく日常的なまでに。通話時間も長い。
 「ホワイトハウスと首相官邸の間でのやりとりは、かつてとは比べようにならないものになっている。トランプ大統領と安倍首相の個人的なつながりの強さもある」(永田町筋)
 トランプ大統領のほかでの今年になっての安倍首相の電話会談は、1月5日のメキシコのペニャニエト大統領から始まった。
 1月24日にはオランダのルッテ首相と。
 2月23日には南アフリカのラマポーザ大統領と。
 3月6日にはオーストラリアのターンブル首相、カナダのトルドー首相と電話で話し合っている。
 このときはトランプ大統領が鉄鋼やアルミ製品に高関税をかけることを表明。
 これについての対応、そしてTPP(環太平洋経済連携協定)に対する意見交換が。 
 今年6月のG7サミット(主要先進国首脳会議)はカナダで開催されることからも、トルドー首相との電話会談は時間も長かった。
 北朝鮮情勢に動きがみられだしたことで、電話会談は多くなりそう。

「夜の会合」

 かつて「政治は夜つくられる」といったことが言われていた。 
 東京のど真ん中、国会近くの赤坂の料亭街がそれは賑わっていた。
 連夜のように黒塀に囲まれた高級料亭の前には黒塗りの乗用車が横付けに。
 「料亭に出入りできるようになったら、政治家として大物に」
 永田町ではそういったことまで言われていた。
 田中角栄元首相、佐藤栄作元首相などはひいきの料亭を。
 だが、そんな「料亭政治」は細川護煕首相になった時からパッタリと激減。
 有名料亭も「相続問題」などもあり、消えていっている。
 いまや「会合はホテル」もしくは「国会内」で。
 それがここにきて、夜の会合が多くなってきた。
 3月7日、赤坂の日本料理店「津やま」に安倍晋三首相が姿をあらわし、自民党二階俊博幹事長も。
 林幹雄幹事長代理も含めての食事をとりながらの会談は2時間余も。
 前日の6日には石破派と石原派の幹部がやはり夜に会談を持っている。
 石破派からは会長代理の鴨下一郎元環境相が、石原派からは最高顧問の山崎拓元自民党副総裁が。
 半年ちょっとにせまってきた自民党総裁選。
 このことが夜の会合を多くさせている。
 安倍首相と二階幹事長との会談でも総裁選が話題に。
 石破派と石原派幹部の会談も、総裁選を睨んでのものに。
 石破派が開く憲法の勉強会に山崎氏を講師として招く。
 石破氏は夜ではないが、党本部に二階幹事長を訪れて会談したのは関東地方に春一番が吹いた翌日の3月2日。

「理想の上司」

 ランキングばやりだ。あらゆるジャンルでのベストテンが発表されている。
 そんな中、明治安田生命保険が行ったアンケート調査は新社会人を対象にした「理想の上司」。
 売り手市場の中に4月入社の新入社員はどんな理想の上司をイメージしているか。
 男性の1位はお笑い芸人の内村光良氏。2位は元テニス選手でスポーツキャスターをはじめテレビで活躍している松岡修造氏。3位はタモリ氏。
 女性のほうは1位が日本テレビアナウンサーの水卜麻美氏、2位は女優の天海祐希氏、3位はレスリングの吉田沙保里氏。
 なんとも寂しいのは国会議員の名前があがっていないこと。
 小学生を対象にした「将来なりたい職業」といった調査でも政治家はランクインしていない。
 その昔、政治家は「末は博士か、大臣か」とまでいわれていたのだが。
 いまの永田町で最も人気がある小泉進次郎自民党筆頭副幹事長の名前も見られない。
 小泉氏は36歳という若さ。スタイルもいい、文句なしのイケメン。
 選挙応援ではどこにいっても女性ばかりか、男性も含めた黒山の人だかりになる。昨年10月の衆院選挙でも「自民党勝利」の立役者だった。
 各党党首だが自民党は安倍晋三首相、公明党は山口那津男氏、維新の党は松井一郎氏、立憲民主党は枝野幸男氏、希望の党は玉木雄一郎氏、民進党は大塚耕平氏、共産党は志位和夫氏、社民党は又市征治氏、自由党は小沢一郎氏。
 「支持率で政治をしているわけではない」
 議員の間からは必ず聞かれる言葉だ。

「親の心」

 小泉純一郎元首相が、久しぶりに自分の息子のことを語った。
 3月7日、東京有楽町駅前、電気ビル内の外国特派員協会での会見で。
 「私より勉強家だよ。私の講演録はユーチューブで見ているようだ」
 小泉元首相が息子のことを最初に自慢したのは2008年9月27日、地元神奈川県横須賀市で、政界引退を正式に報告したとき。
 後継者とした進次郎氏を檀上に引っ張り上げ「親ばかかもしれないが、私がはじめて立候補したときよりしっかりしている」と。
 そして、こう言葉を続けていた。
 「政治家になれと言ったことはない。が、進次郎は政治家になりたいと言った」
 小泉元首相も進次郎氏も初立候補は27歳。
 小泉元首相は落選している。
 「よほど自分は出来が悪いと落ち込んだ」
 進次郎氏は初当選以来、トントン拍子で自民党内の出世階段を駆け上がっている。
 青年局長、復興政務官、筆頭副幹事長。
 そしていまは「ポスト安倍」とまで。
 ここで小泉元首相は、親ばかぶりをチラリとのぞかせている。
 順風万帆の息子を心配している。
 「まだ若くて、生意気といわれているから、本人には遠慮がある」
 実際、自民党内には「進次郎氏の一番の敵は嫉妬、ねたみ」といわれている。当選4回、36歳。
 父親が心配しているように、控え目を通している。
 テレビに出演しないのも「目立ち過ぎないように」から。

「石原派はいま」

 3月6日、安倍晋三首相の神経をヒリヒリさせるような動きがあった。
 自民党石破派の幹部と石原派の幹部が会談。
 石破派からは鴨下一郎元環境相、石原派からは山崎拓元副総裁が。
 鴨下氏は石破派の会長代理で山崎氏は石原派の最高顧問。
 頂上会談といってもいい。
 表向き「石破派の勉強会の講師に山崎氏を招く」となっているが、会談の中身は「9月の総裁選に向けての意見交換」(永田町筋)と見られている。
 両派幹部の会談が安倍首相を刺激したか、翌日の7日、東京・赤坂の日本料理店「津やま」で安倍首相は二階俊博党幹事長と会食の席を持っている。
 自民党内の7つの派閥で、現段階で総裁選での安倍首相支持を表明しているのは細田派、麻生派、二階派。
 「石破派は石原派を引き込みたがっている」(永田町筋)
 本来なら石原派を率いる石原伸晃元環境相も「ポスト安倍」の有力候補の一人。
 12年の総裁選に出馬。このときは地方、党員票96票で終わってしまっているが、「総理、総裁」の椅子へ「ステップアップした」と言われていた。
 それが失言を。
 東京電力福島第一原発事故に伴う中間貯蔵施設建設をめぐり「最後は金目でしょ」とひとこと。
 これで「ポスト安倍」レースから後退してしまっている。
 石原派の勢力は12人。7派閥の中では最少だ。
 だが総裁選が迫ってきている中にあっての12人は大きい。
 谷垣禎一元幹事長グループと会合を持つなどの動きも。

「日中改善に」

 3月8日、安倍晋三首相は歌手谷村新司氏と会食した。
 場所は国会近くの永田町のザ・キャピトルホテル東急。
 このホテル、改築前は東京ヒルトンホテルだった。
 ホテル内のレストラン「ORIGAMI」で。ここはヒルトンホテル時代からのもの。
 安倍首相はよく利用している。
 ディナーではなく、12時すぎから昼食を。食卓には谷村夫人、長谷川栄一首相補佐官が同席。
 1時間ほどの会食で、谷村氏に安倍首相から、これまでの日中文化交流に貢献していることへの感謝の言葉が。
 安倍首相は芸能界にも多くの人脈を広げている。
 俳優の津川雅彦氏とはことあるごとに会食している。
 国会の合間をぬっての谷村氏との会食。
 そこには中国との関係改善を目指す安倍首相の強い思い入れが。
 1月28日、河野太郎外相は中国に飛び、李克強首相と会談。
 中国は釣魚台国賓館で迎えるという歓待を。
 今年は日中平和友好条約締結40周年。関係改善をさらに進める節目の年だ。
 日中友好といえば谷村氏。中国との出会いは81年に北京で開かれた日中国交正常化10周年を祝うコンサートで歌ってから。このときはアリスとして。以後、音楽を通じて交流。
 04年から5年間、名門・上海音楽院の教授を。昨年も上海でコンサートを開いている。
 ヒット曲「昴」は中国人の間でも人気の愛唱歌だ。
 谷村氏との会食には安倍首相の特別な思いが。