中央政界特報

■平成30年3月15日(木) 第5350号

「政治特報」

 自民党内が騒がしくなってきた。あちこちで、額を寄せ合っての会合、勉強会が。9月の総裁選へ向け、号砲が鳴った。

 日本列島を爆弾低気圧が吹き抜けた3月1日。
 国会も荒れ模様に。安倍晋三首相は力を入れていた「働き方改革関連法案」から裁量労働制を削除することを正式に明らかにし、今国会での提出を断念。
 それにあわせるように、党内のあちこちで動きが。
 その日の夜、岸田派と石破派の幹部が会談。
 岸田文雄政調会長、石破茂元地方創生相は顔を出さなかったものの岸田派からは望月義夫元環境相が、石破派からは鴨下一郎元環境相が。
 国会内では二つの勉強会が。
 「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」と「2020年以降の経済社会構想会議」。
 岸田派と石破派幹部による会合は、総裁選へ向けてのもの。
 「ポスト安倍」への意欲をみせている岸田氏と石破氏。
 両派の勢力は岸田派が石破派の倍以上。
 戦略も違う。岸田氏は安倍首相からの「禅譲」を目指しており、石破氏は正面からの対決を前面に押し出している。
 現時点で安倍首相の「3選」支持は安倍首相の出身母体の細田派、安倍首相とは「セレブの仲」である麻生太郎副総理兼財務相が率いる麻生派。そして幹事長として「キングメーカー」を目指している二階俊博幹事長が領袖の二階派。
 「数が物を言う」が常識の永田町にあって、安倍首相は優位を保っている。
 だが、岸田派、石破派、さらには3月14日に竹下亘氏が派閥会長に就任する額賀派の動きによっては先行きはわからない。
 そんな状況の中での二つの勉強会。
 「勉強会の顔ぶれからも、総裁選のカギを握ってくることも考えられる」(永田町筋)の見方もされている。
 村上誠一郎元行革相らによる「財政・金融・社会保障制度に関する勉強会」は、安倍首相が就任以来掲げている「アベノミクス」からの脱却をめざしている勉強会だ。
 「2020年以降の経済社会構想会議」の会長は橘慶一郎参院議員だが、会長代行には小泉進次郎筆頭副幹事長が。
 メンバーは若手有志議員。

「東日本大震災から7年」

 11年3月11日。東北地方を中心にして襲った東日本大震災から7年が経った。
 いまだ完全復興への道のりは遠い。
 そんな中、復興への「シンボル」のひとつ、県立ふたば未来学園高校が初の卒業生140人を送り出した。
 東日本大震災と東京電力福島第1原発事故の直撃を受けた福島県双葉郡に県立ふたば未来学園高校が開校したのは15年4月8日。
 この日、入学したのは152人。
 校名の「未来」そのままに、従来の高校とは違う斬新さを持ってスタートしている。
 制服はアイドルグループ、AKB48の衣装を手がける茅野しのぶ氏のデザインによるもの。
 紺色のジャケットの衿には白いラインが入っている。
 校歌をプロデュースしたのは秋元康氏で、作詞は詩人の谷川俊太郎氏、作曲はクリエーター箭内道彦氏。
 授業内容も斬新で「アカデミック系」(進学向け)、「トップアスリート系」(スポーツの技術習得)、「スペシャリスト系」(農業、工業など)の3分野。
 宇宙飛行士の山崎直子さんなど各界からスペシャル講師が。
 卒業式には当時、復興政務官として学校の創立から関わってきている小泉進次郎自民党筆頭副幹事長も出席。
 卒業生に祝辞を送っている。
 復興政務官から筆頭副幹事長と党内でのポストは移動しているが、小泉氏は「復興はライフワーク」としており、これからも積極的にかかわっていくことを言明。

「議員連盟」

 国会内につぎつぎに立ち上げられる議員連盟。
 その内容も「国会掃除に学ぶ会」「ダンス文化推進議員連盟」といったものまでさまざま。
 そんな中、また新しい議員連盟が発足した。
 3月1日に旗揚げされた「超党派ママパパ議員連盟」がその新しい議員連盟。
 与野党の枠にとらわれず自民党、公明党、立憲民主党、希望の党、民進党、共産党、維新の党、自由党、社民党から約40人の議員が参加している。
 会長は自民党の野田聖子総務相、副会長は公明党の高木美智代衆院議員、立憲民主党の蓮舫参院国対委員長。
 幹事長は自民党の橋本聖子参院議員会長。
 議員連盟立ち上げの主旨は「子育て世代の政治参画の促進」に。
 世界における日本の女性議員の現状は寂しい限り。
 列国議会同盟(本部ジュネーブ)の発表によると女性の議会進出は193カ国中、158位。
 それこそ最下位に近いところに低迷している。
 昨年10月の衆院選挙でも女性で当選したのは47人。
 「政治の世界で女性が活躍」には、はるかに遠い。
 12年12月26日、第二次安倍内閣を発足させたとき、安倍晋三首相は高市早苗総務相、有村治子女性活躍相、山谷えり子拉致担当相、松島みどり法務相、小渕優子経済産業相と5人の女性閣僚を誕生させたが、現在の閣僚は野田総務相、上川陽子法務相の2人だけ。
 「女性が国会で働くにはまだまだ」
 野田氏はそう声を高くしている。
 野田氏は1児、蓮舫氏は2児のママだ。

「旗を揚げる」

 石破茂元地方創生相が領袖の派閥「水月会」が錦の旗を揚げる。
 いつものように毎週木曜日昼は自民党各派の会合が国会内で開かれる。
 昼食をとりながらの会合で、派閥の結束を示すものに。
 この日、石破派も会合を。それも、いつもより熱気に満ちていた。
 同派の名称「水月会」を揮亳した書が披露された。
 筆をとったのはNHK大河ドラマ「平清盛」の題字を書いた金澤翔子さん。
 会合に出席した議員の目を釘づけにした。
 石破派のはじまりは「さわらび会」と名乗った勉強会。
 石破氏自身は「派閥」には消極的で、幹事長時代には「派閥政治の弊害」を強く主張していた。
 そのこともあり、表立った派閥ではなく、派閥に属しない議員らによる情報交換の「無派閥連絡会」だった。
 「さわらび会」を、派閥「水月会」と正式に旗揚げしたのは15年9月28日。
 このとき「私のような者でも政権を目指したい」と。
 「水月会」と命名したのは「水も月も無心に映す。自由自在な境地をあらわす」と説明している。
 このとき集まったのは鴨下一郎氏、山本有二氏ら、石破氏以外で19人。
 現在も派閥の勢力は変わらない。
 総裁選に出馬するには本人を除き19人の推薦人が必要だ。
 石破氏が自信を持っているのは地方票。今回の総裁選から地方票に置かれる比重が大きくなる。
 「旗」をかかげることで、地方票を多く集めることができるか。

「沖縄北方担当大臣」

 体調不良で沖縄北方担当相を辞任した江崎鉄磨氏の後任として就任した福井照衆院議員。
 江崎氏の体調不良は「一過性脳虚血性発作」で、一度退院したが、再入院。
 安倍内閣での閣僚の辞任は昨年7月、自衛隊の南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報問題で引責辞任した稲田朋美防衛相以来のこと。
 江崎氏は昨年8月3日の内閣改造で入閣したばかりで、在任は半年にもなっていない。
 「政策通であって、適任」と安倍晋三首相は福井氏を起用した理由を語っている。
 昭和28年12月14日、大阪府出身。
 東大工学部を卒業して建設省に。
 建設省では都市局土地区画整理事業対策官などを。
 国会議員になったのは2000年の衆院選挙。このときの選挙は激戦で自民党、公明党、民主党、共産党の4党による激戦だった。
 これを制して初当選。選挙には強い。05年にも再選され、09年には元県知事の橋本大二郎氏を退けて勝利している。
 14年の選挙でも比例単独6位で当選だ。
 これまで一度も大臣の椅子に座ったことはない。
 文科委、TPP特委、農林水産政務官、文部科学副大臣を歴任。
 当選6回にして初めての入閣。
 もっとも沖縄、北方を担当するのははじめてではない。
 衆院沖縄・北方特別委員長のポストにいたこともある。
 3月3日に沖縄を訪れ、翁長雄志知事と会談している。
 これから、その力量が注目される。

「UFOが来たら」

 UFO(未確認飛行物体)の存在を信じている人はどれほどいるだろうか。
 ましてや、UFOを安全保障上から「警戒すべき」と思っている人はどれほどいるか。
 映画の世界では、UFOに世界が一丸となって立ち向かっていっている。
 それが現実のものになるか。そのときのための対応策を構築しておく必要があるか。
 政府の答弁は「対応についての検討は行っていない」だ。
 UFO飛来について質問主意書を立憲民主党の逢坂誠二が出してきた。
 主意書には「武力攻撃」「安保関連法による集団的自衛権の行使」にも言及している。
 これが2月27日の閣議で取り上げられ、政府としての答弁書を。
 「対応を検討していない」の答弁書は「確認したことがない」ことから。
 UFOに関する主意書が閣議で取り上げられたのは今度が初めてではない。
 1999年12月20日の閣議にも。
 「領空侵犯ということにはならないだろう」「災害派遣ということになるか」
 などの論議のすえ「存在は確認していない」の政府答弁書を出している。
 このとき、UFOの存在を主張したのは防衛相だった石破茂氏。
 「存在しないと断定できる根拠はない」
 町村信孝官房長官も「個人的には絶対にいる」の考えだった。
 石破氏は「ゴジラだったら、災害派遣だ」とも。
 このとき「物議をかもすな」と閣僚の発言にクギをさしたのは自民党総務会長の二階俊博氏。
 あれから19年、またもやUFOが閣議に襲来。

「国民栄誉賞と応援」

 ソチ、平昌と2大会連続オリンピックで金メダルを獲得した男子フィギュアスケートの羽生結弦選手に国民栄誉賞が贈られる方向に。
 これまで国民栄誉賞に輝いているのは77年受賞で一番目となった王貞治氏をはじめ26人。
 羽生選手は27人目の栄誉ということになる。
 オリンピックのゴールドメダリストの受賞は女子マラソンの高橋尚子選手、女子レスリングの吉田沙保里選手、伊調馨選手と女子選手が続いていた。
 国民栄誉賞を決定するのは時の首相。
 「首相が決めることですから」と菅義偉官房長官。
 安倍首相が最も多く出している。
 晴れやかな話題の一方で日本オリンピック委員会(JOC)は母校でのオリンピック選手の壮行会、報告会を非公開に。
 学生募集などの宣伝活動に使用しないよう「五輪の知的財産保護」を前面におしだしてのものだが「おかしい」の声も多く上がっている。
 壮行会、報告会をダメとは。
 平昌五輪での日本人選手の活躍は目覚ましかった。
 まさに「メダルダッシュ」で金メダルが4個、銀メダルが5個、銅メダルが4個の計13個。
 これは日本としては冬季五輪で歴代最高の獲得数。
 銅メダルを手にしたカーリング女子選手の「そだね〜」の北海道訛りはすっかり流行語に。
 そんな盛り上りに水を差すような要請。
 これには菅義偉官房長官も異議をとなえている。
 2020年夏には東京五輪が開幕する。