中央政界特報

■平成30年2月8日(木) 第5345号

「政治特報」

 希望の党が揺れている。政策の違い、方針の違いから再分裂の様相を。結党して半年もたっていないのに。

 支持率が希望の党の現状をそのまま表わしている。
 「希望の党」として華々しく旗揚げされた直後の各世論調査結果は、それこそ「希望に満ちた」ものだった。
 「衆院選の投票先」では15パーセントに届こうかという高い支持を。それも無党派層に限ると、自民党を上まわる支持を確保していた。
 選挙には現職時代から鋭い勘をきかせている小泉純一郎元首相も「自民党の過半数確保はわからない」といった読みをしていた。
 旗揚げは文字通り「フィーバー状態」だった。
 自民党幹部は「政権を奪われるかもしれない」と本気で青くなっていた。
 「小池百合子氏の排除の発言がなかったら、本当にどうなっていたか分からなかった」(永田町筋)
 衆院選の結果は当選50人。
 自民党を倒すどころか、野党第一党の座も「排除」した立憲民主党にさらわれてしまっている。
 小池百合子都知事が東京都内のホテルで「希望の党」の旗揚げ記者会見をしたのは9月25日。
 「希望、この2文字が好きなんです」と。
 あれからわずか4カ月余、現在の支持率はなんと1パーセントそこそこ。
 「とても支持率などといえたものではない」
 永田町では厳しい声まで聞かれている。早々の失速だ。
 希望の党としてバッチをつけている議員にしてみれば、まさに「希望がなくなった」数字といえる。
 通常国会での安倍晋三首相。ゆったりと構えている。
 昨年はまったく野党批判をせず「丁寧」をくりかえしていたのに。
 代表質問では軽くいなしてもいる。
 なかでも希望の党に対しては余裕を。
 希望の党は分裂寸前の危機状態。
 憲法改正をめぐって党旗揚げメンバーと民進党からの合流組の間で対立。
 小池都知事にも火の粉が飛んでいる。
 現在、「特別顧問」の肩書のある小池都知事に「離党」を促す動きが。
 2分裂どころか3分裂ということも。
 玉木雄一郎代表は「希望が動き、野党の大きな固まりを作る」の声を高くしているが、代表として指導力そのものが問われている。
 衆院選以来、沈黙している小池都知事は、このさきも沈黙をつづけるか、それとも反発してくるか。これまた予測がつかない。

「トップの健康状態」

 米トランプ大統領の健康状態が明らかになっている。
 71歳という年齢、就任してからの発言などから「心身両面の健康状態」が注目されているが、すべて「満点」という。
 トランプ大統領の希望で受けた「認知能力検査」も満点。
 「健康」のお墨付きを得たことで、トランプ大統領の口からは、さらに世界が緊張する言葉が飛び出してきそう。
 リーダーの健康状態はどの国においても「国家機密」。
 そんな「国家機密」を破るようなトランプ大統領の検診結果公表は、ホワイトハウスの自信と強気を裏付けるものか。
 日本のトップ、安倍晋三首相はどうか。
 自身の健康状態について、「すこぶる健康」と。
 事実、第一次政権のときと、第二次政権を発足させた12年12月26日以降とは別人のよう。
 第一次のときは潰瘍性大腸炎で、わずか1年で政権の座を退いてしまっている。
 潰瘍性大腸炎は少年時代から患っていた持病。
 だが、いまは「新薬によって劇的によくなった」と胸を張っている。
 健康には細心の注意をはらっている。慶応大学付属病院で定期的に人間ドックに。
 週末には東京・六本木のグランドハイアット東京内の「スパ」で2時間以上汗を流している。
 そして趣味を兼ねたゴルフ。
 東京・谷中の禅寺での座禅も。
 食欲は旺盛だ。焼肉店のはしごをしていることも。
 すでに74カ国を突破した外国訪問も。時差に苦しむといったことはまったくない。

「百合子知事を意識か」

 すっかり鳴りをひそめてしまっている小池百合子東京都知事。
 日本列島に「百合子旋風」を巻き起こした昨年とは大きな違いだ。
 いま口を開けば「都政にまい進」と。
 都議会はブームの頂点時に結成した「都民ファーストの会」が多数をしめているが、「独走」とはいかなくなっているのも事実。
 これは小池知事も認めている。
 「しっかりと論議をしていきます」
 自民党、公明党をはじめ各会派との連携を。
 そんな都議会の中に、動きが。
 音喜多駿都議と上田令子都議が1月17日、政治塾「OPEN」を立ち上げた。
 音喜多氏、上田氏は高揚し「人材を発掘し、育てていきたい」と。
 視線の先には19年の統一地方選挙での候補者擁立が。
 音喜多氏、上田氏は小池知事の側近中の側近だった。小池知事誕生も両氏の働きによるものが大きかった。
 それが、昨年、「百合子旋風」が吹く中、「都民ファーストの会」を離脱。
 側近から一転して「小池批判」の急先鋒に。
 小池知事の勢が止まった一因になっている。
 音喜多氏、上田氏が立ち上げた政治塾は、明らかに小池知事を意識してのもの。
 小池知事も政治塾を起こし、「都民ファーストの会」で都議会の多数を。
 いま小池知事の立ち上げた政治塾は休塾状態。
 音喜多氏、上田氏の政治塾「OPEN」は100人余の受講生を募集している。
 「都政にまい進」の小池知事だが、脅威になるかも。

「市長選出馬」

 全身、傷だらけ。超過激なデスマッチで人気になった元プロレスラー大仁田厚氏が、ターゲットを「市長」に絞り込んできた。
 4月に任期満了となる佐賀県神埼(かんざき)市の市長選に出馬することを正式に表明している。
 「透明性のある分かりやすい市政をする」と。
 大仁田氏は長崎市の老舗「風呂敷屋」の生まれ。
 父親は原爆被害者で、大仁田氏は「原爆二世」。
 神埼市とのつながりは母親が神埼の生まれ。
 「母のふるさとに骨を埋めるつもりでいる」
 そう決意のほどを語っている。
 1957年10月25日生まれの60歳。73年に全日本プロレスに入門しプロレスラーの道を。
 82年にNWAインターナショナル・ジュニアヘビー級王座。89年に自らFMWを旗揚げ。
 現役時代の試合は常に流血戦だった。
 それこそ身体じゅうに傷を負い、縫合手術の跡だらけ。
 「傷は俺の勲章!」と吠えていた。
 そんな大仁田氏が政治の世界に。2001年の参院選に自民党公認で出馬して当選。
 だが、07年の選挙には出馬を辞退し、1期のみで引退。
 プロレスラーに復帰したあと、10年の長崎県知事選に立候補したものの落選。
 神埼市長選への出馬表明で、8年ぶりに「選挙」というマットにあがることに。
 参院議員時代には総務委員、文教科学、議院運営委員などを務めていた。
 イラク特措法強行採決では、当時自由党の森ゆうこ議員との「乱闘」で話題になっている。

「蓮舫国対委員長」

 民進党を離党、立憲民主党に入党した蓮舫氏。
 それだけではない。入党するや、すかさず参院国対委員長に就任。
 2月22日に幕を開けた通常国会で早速、自民党と渡りあっている。
 離党して1カ月もしないでの重要ポストに。
 蓮舫氏は民進党の代表をつとめており、代表経験者が国対委員長に就任は異例なこと。
 ましてや入党して1カ月もたたずでの就任も異例。
 起用した理由を枝野幸男代表は「突破力、発信力がある」と。
 そこには立憲民主党内の苦しい事情が。
 昨年10月の衆院選で野党第1党になった立憲民主党だが、参院議員は少ない。
 枝野代表は「まわす人が足りない」と本音を。
 民進党の代表の座に就いたとき、蓮舫氏は「政権取り」を強くアピールしていた。
 永田町でも「風を巻き起こすのではないか」と女性首相誕生説までささやかれていた。
 だが、結果はわずか1年足らずで代表の座を追われている。
 国対委員長は、「縁の下の黒子」(永田町筋)といわれているが、最も目立つポストであるのも事実。
 青山学院大学法学部を卒業、クラリオンガールに選ばれて芸能界入り。ワイドショーのキャスターを経て04年の参院選で議員バッヂを。
 民主党政権では42歳で行革担当相。
 常に脚光を浴びてきているだけに、国対委員長への就任は様々な意味で注目されている。
 立憲民主党の衆院国対委員長は辻元清美氏。自民党にとっては手強い相手になる。

「ベテラン登板」

 窮状の社民党のマウンドに大ベテランが登板してきた。
 任期満了、国会議員のバッヂがないことを理由に降板した吉田忠智党首。
 あとを継ぐ投手(党首)がいない。
 国会議員は照屋寛徳氏、吉川元氏の衆院議員の2人、参院議員は又市征治氏、福島瑞穂氏の2人。
 衆参あわせても4人しかいない。
 これではリリーフどころではない。
 4人の中では1966年生まれと一番若い吉川氏の登板の声もあったが、「ベテランの力を」と又市氏が73歳の身体にムチ打って。
 44年7月18日、富山市生まれ。 
 国会議員になったのは01年の参院選。社民党から出馬し、14万票を獲得して比例区で当選。
 その後の07年、13年の選挙にも勝ち、当選3回。
 生い立ちは厳しいものだった。7歳のときに母親が他界。体の弱い父親を助けて農業を。新聞配達も。
 富山高校卒業後、富山県庁に就職。ここで組合活動に参加し、自治労富山県本部書記、連合富山県会長代理などをつとめて政治の世界に。
 社民党にあっては参院議員会長、副党首などのあと幹事長に。
 社民党の現状は厳しく、そして寂しい。
 かつて、社会党時代は自民党と二大政党を張り合っていた。
 国会議員だけで200人を越えたこともあった。
 党本部のあった社会文化会館(老朽化で取り壊し)は千客万来で、それは熱気に満ちていた。
 それがいまでは弱小政党に。又市党首がどう建て直してくるか。

「政策本」

 自民党石破茂元地方創生相が1月30日、471ページにおよぶ分厚い本を出版した。
 本の表紙には「石破茂と水月会の日本創生」のタイトルが。
 政策本だ。ページをめくると石破氏と、その仲間たち、派閥「水月会」のメンバーの講演録がまとめられている。
 その中身は「憲法、地方創生、財政、成長戦略」などなど。
 本の中身でも明らかになっているが、石破氏がとくに強調しているのは憲法。
 安倍晋三首相との考え方の違いを明確にしている。
 1月22日に始まった通常国会。
 安倍首相は今国会中に「憲法改正」法案を揚げることに強い意欲をみせている。
 それは施政方針演説でも明らかにしている。
 「国のかたち、理想の姿を語るのは憲法です。議論を深め、前に進めていく」
 ここにきての政策本の出版。
 石破氏の視線の先には9月の自民党総裁選がある。
 安倍首相は3選を目指しており、2021年までの長期政権に強い意欲と自信を。
 石破氏の出版は安倍首相への先制攻撃。
 政権の座を目指すとき、その戦略の一端として政策本を出版する。
 麻生太郎副総理兼財務相が総理大臣の座をものにしたときもそうだった。
 4回目の挑戦となった08年の総裁選。その前に「とてつもない日本」という著書を刊行。あれよあれよと売り上げを伸ばしベストセラーに。
 総裁選勝利につながっている。