中央政界特報

■平成30年2月1日(木) 第5344号

「政治特報」

 安倍晋三首相は余裕たっぷり、自信たっぷり。「出たい人はみんな出ればいい」。9月の自民党総裁選についての発言だ。

 2021年までの長期政権がかかっている総裁選。
 出馬がささやかれているのは岸田文雄政調会長、野田聖子総務相、石破茂元地方創生相。
 「そして河野太郎外相、小泉進次郎筆頭副幹事長には「待望論」が。
 戦国ダービーの様相を呈しているが、安倍首相は、「出たい人はみんな出れば」とまで言い放っている。
 「閣内にあろうがなかろうが、どんどん出ればいい。自民党は素晴らしい人がうんかのようにいます」
 女性初の「首相」を目指している野田総務相には「我こそはと手を挙げて」と。
 自民党きっての人気の小泉進次郎氏をもけしかけている。
 正月明け早々に訪問したエストニアのラタス首相をひきあいに出し「39歳で首相になっている。若い人もその時に備えておくべきだ」
 自身の出馬には「雪が溶け、木の芽がふきだすころに判断する」
 あわてず、騒がずといった余裕をみせている。
 そこには裏付けが。
 まず支持率。各世論調査による支持率で、安倍政権の支持率は軒並み上昇してきている。
 一時は政権維持で「危険水域」とされる40パーセントを大きく割り込んでしまっていたが、昨年10月の衆院選挙後は右肩上がりに。
 第二次政権を発足させてからの最高支持率は65パーセント強。それにはまだ届かないもののジリジリッと上がっている。
 このことが安倍首相の強気と自信に。
 通常国会開会後、自民党内がにわかに騒がしくなってきている。
 党内の派閥に動きが出だした。
 額賀派内では領袖の額賀福志郎会長に退任を求める声が。
 石破派では石破会長が総裁選をにらんで「石破茂と水月会の日本創生」と題した政策本を出版。
 岸田文雄氏は安倍首相と2人だけの会談を。
 9月の総裁選まで8カ月余。
 二階俊博幹事長は重ねて「安倍さんの後は安倍さん」の声を高くしているが、「一寸先は闇が永田町の常識」となっている。
 それでも安倍首相は余裕のスタンス。

「国家機密」

 ゴルフは安倍晋三首相にとって最大の趣味であり、健康維持、ストレス解消のためのとっておきのもの。
 昨年は森友、加計学園問題で激しく野党からの追及を受け、ほぼゴルフは封印だった。
 それだけに9月に来日した米トランプ大統領と、埼玉県川越市の霞ヶ関カントリークラブでのゴルフ会談は上機嫌そのもの。
 今年は正月休みからクラブを握っている。
 2日に神奈川県茅ケ崎市のスリーハンドレッドクラブで経団連御手洗富士夫名誉会長、榊原定征会長らと。
 「富士山がきれいにみえた」と上機嫌。
 そんな安倍首相のゴルフだが、「国家機密」になっているものがある。
 腕前のほど。スコアだ。
 これまで一度も自らのスコアを口にしたことはない。
 首相番記者の間では「極秘中の極秘。まさに国家機密」といった言われ方。
 その国家機密が明らかになった。
 10日、首相官邸に美女がやってきた。2017年ミスユニバース日本代表の阿部桃子さんが安倍首相を表敬訪問。
 新年そうそうの美女の訪問に、安倍首相は国会で見せる顔とはまったく違う顔を。
 美女の前では、ついつい口がゆるんでしまうのか。
 固く口を閉ざし、「国家機密」とまでいわれるほど秘密だったスコアをポロリと。
 「ベストスコアは79」と。
 胸を反らし「いいショットもたくさんある」とも。
 今年はクラブを握ることが多くなるかも。

「バルト3国、東欧訪問の成果は」

 安倍晋三首相が新しい年を迎えて真っ先に飛んだバルト、東欧諸国。
 ブルガリア、セルビア、ルーマニアの東欧とバルト3国のリトアニア、エストニア、ラトビア。
 この6カ国に日本の首相が現職中に訪問したのは安倍首相が初めて。それだけに力の入りようが違っていた。
 日本の「営業本部長」を自認しており「必要とあれば地球のどこにでも飛んでいきますよ」の言葉通り、意欲満々。
 「メイドインジャパン」のセールに、IT企業など日本企業31社の幹部を引き連れて。
 フットワークのよさは歴代首相で安倍首相が飛び抜けている。
 小泉純一郎元首相は49カ国をまわったが、安倍首相は今回の東欧、バルト3国訪問で76カ国に。
 注目されるのはその成果。
 ブルガリア、ルーマニア、リトアニア、エストニア、ラトビアはEUに加盟しており、ブルガリアは今年前半のEU議長国。
 EUとの間にはEPA(経済連携協定)の問題が。
 TPPが米国の離脱でダッチロール状態にあるだけに、EPAは「早期に発効したい」問題だ。
 年明け最初の取引で東京株式市場は急反発。
 2万3506円39銭と、大幅な値上がり。
 これは1992年1月7日以来26年ぶりの高値。
 この好調さを維持していくには、次なる手が必要。
 バルト3国、東欧3国訪問には、そんな安倍首相の狙いがこめられている。歴訪の成果が表れるのはこれから。

「通常国会」

 1月22日に召集された第196通常国会。
 国会には「通常」「臨時」「特別」の3国会がある。
 通常国会の会期は150日で、今年の通常国会の会期末は、延長がなければ6月20日まで。
 議場は正面から見て左側が衆議院、右側が参議員。
 今国会の審議では17年度補正予算案、18年度予算案。憲法改正、働き方改革関連法案が焦点になっている。
 安倍晋三首相の施政方針演説は、東京帝国大学初代総長、山川健次郎氏の「国の力は人にあり」の引用で始まった。
 「女性も男性も、お年寄りも若者も、障害や難病のある方も、全ての日本人がその可能性を存分に開花できる新しい時代を、共に切り拓いていこうではありませんか」
 時間を割いたのは「働き方改革」「人づくり革命」に。
 「働き方改革」では「非正規という言葉をこの国から一掃します」と強調している。
 今国会の最大の焦点になっている憲法改正については、演説の一番最後でさらりとふれている。
 「50年、100年先の未来を見据えた国創りを行う。議論を深め、前に進めていくことを期待する」
 演説の中では憲法改正は短かかったが、強い意欲にあふれているのは確かだった。
 国会開会2時間前、11時半過ぎから10分ほど開かれた両院議員総会では憲法改正を「実現の時」と声を高くしている。
 150日間にわたる通常国会。
 立憲民主党枝野幸男代表は「対峙していく」と。
 与野党攻防の火ぶたが切られた。

「社民党の現実」

 通常国会が開かれている衆参の両議場。
 「1強」の自民党が議場席の大半を占めて圧倒している。
 寂しいのは野党席。昨年10月の衆院選でも野党は自民党に歯がたたず、それは議場席にもそのまま表れている。
 寂しい野党席で、さらに寂しいのは社民党議員。
 衆院議員は照屋寛徳氏、吉川元氏の2人。参院は福島みずほ氏、又市征治氏の2人。衆参あわせて4人しかいない。
 議場でもその姿を見いだしずらい。それぐらい影がかすんでしまっている。
 退任の吉田忠智氏の後を継ぐ党首選の告示は1月12日にされたが、立候補の届け出がなく、26日に再告示。
 協議のすえ、最年長の又市氏を党首に。
 国会議事堂から車で15分ほど、地下鉄日比谷線を利用して10分余。
 社民党の党本部は隅田川の川岸に面した賃貸ビル。周囲にはタワーマンションがそびえており、党本部は一段と小さく見える。
 社民党の前身、社会党時代とは天と地の違いに。
 社会党時代の最盛期は国会議員だけで200人を超えていた。
 党本部の職員も150人余。いま職員は16人で、これでも「多い」と希望退職を募っている。
 社会党時代、党本部が置かれた三宅坂の社会文化会館は地上7階で、会議室だけで20以上もあり、つねに、なんらかの会議が開かれていた。
 5、6階は688人が収容できる大ホールだった。
 木村拓哉主演のドラマ「CHANGE」の撮影も行われた。
 社民党の現状はまさに寂しい。

「2番がいい」

 「1位じゃないといけないんですか。2位ではダメなんですか」
 そう言ったのは民主党政権時代、行革担当相のポストにいた蓮舫氏。
 事業仕分けで大ナタをふるい「仕分けの女王」とも。
 「2位じゃダメなんですか」には日本の学者、研究者は猛反発。
 「1位でないほうがいい」「2位がいい」
 いま「2位」をベストと主張しているのは麻生太郎副総理兼財務相、
 「事業仕分け」での話ではない。
 9月の自民党総裁選をめぐっての「2位論」だ。
 1月16日、麻生副総理兼財務相は、岸田文雄自民党政調会長と会談。
 「ポスト安倍」を目指しての総裁選に出馬が予想されているのは岸田氏、野田聖子総務相、石破茂元地方創生相。
 状況は3選を目指す安倍晋三首相が優勢。
 今回の総裁選から地方票の比重が増しているが、国会議員票ではやはり安倍首相。
 出身母体の細田派をはじめ安倍首相の支持派が多い。
 二階派の二階俊博幹事長は言い切っている。
 「安倍さんの後は安倍さんでいい」
 総裁選は麻生氏がキャスチングボートを握っている。
 岸田氏の「ポスト安倍」への意欲は強い。
 麻生氏は総裁選に4度出馬している。4回目にして総裁の椅子にすわったが、自身の体験から「まずは2番を狙え」と。
 足場を固めれば「ポスト安倍はまわってくる」の考えだ。
 岸田氏の戦略は安倍首相からの禅譲。
 禅譲を確かなものにするには「2番」が得策となるか。

「露出が激減」

 小池百合子東京都知事がすっかり「話題」にならなくなってきた。
 露出度がめっきり減ってしまっている。
 昨年の小池知事は、話題にならない日はなかった。
 テレビのワイドショーの「目玉」。
 小池知事のメディア戦術も見事だった。記者会見は必ず、ワイドショーの時間帯の午後2時から3時の間に。
 それが今年は記者会見を行ってもニュースとしても取り上げられなくなっている。ましてやワイドショーからは完全に見放されてしまっている。
 昨年暮れの仕事納めでは「来年は戌(いぬ)年。ワンダフルな年にしたい」と。
 新しい年を迎えた仕事始めの4日、年頭訓示で「都民ファーストの原点に戻る」と。
 だが、その表情は硬い。昨年みせた「百合子スマイル」はまったく見られない。
 「犬は1年で人間の7年分も成長する。今年は犬のようなスピードをもってやっていきたい」
 戌年にからめて決意のほどを。
 昨年みせた余裕はどこにも感じられない。
 東京都知事に就任したのは16年初夏。今年は4年任期の知事として、折り返しの年だ。
 しかも東京オリンピック、パラリンピックまで1000日を切ってしまっている。
 築地市場の豊洲移転は今年の10月ときまったが、行く手には課題が山積している。
 「大胆に進めていきたい。去年までは種まきだった。加速させる」
 強気の姿勢は昨年までと同じで、変わらずなのだが。