中央政界特報

■平成30年1月25日(木) 第5343号

「政治特報」

 小泉純一郎元首相が動き出した。「原発ゼロ」法案を発表。安倍晋三首相に「自民党政権は終わる」とも。

 二男の自民党小泉進次郎筆頭副幹事長が「ポスト安倍」に名前があがってきている。
 「席順を飛び越えることも」
 永田町の一部では「大穴」の声も。
 そんな中、父親が動き出した。
 正月明け早々の10日、浦賀水道を望む横須賀の私邸を出て、東京の永田町に。
 その昔、浦賀水道に現われたペリー提督は江戸幕府に開国を迫ったが、小泉元首相は安倍政権に「原発ゼロ」を迫るために永田町に出てきた。
 グレーのスーツに紺色のネクタイ。
 同行したのは細川護熙元首相。
 トレードマークのライオンヘアーはすっかり白くなり、しかも乱れ気味。
 「安倍政権で原発ゼロは難しい。このままでは自民党政権は終わる」
 ライオンヘアーを揺さぶりながら吠えた。
 手には「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」が。
 法案は自らが顧問を務める民間団体「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」が作成したもの。
 14年5月7日に発足された「自然エネルギー推進連盟」の発起人には小泉元首相、細川元首相のほかに作家の瀬戸内寂聴氏、作家の赤川次郎氏らが名を連ね、賛同者には女優の吉永小百合氏らも加わっている。
 このたびの「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」には2050年までに電力を再生エネルギーで賄うことがまとめられている。
 「国民が目覚め、必ず近い将来ゼロになる」
 原発は小泉元首相が在任中に力をいれていたものだが、政権の座を降り、国会議員のバッヂをはずしてからは「脱原発」の旗振りを。ライフワークになっている。
 原発ゼロに走り出したのは13年にフィンランドを訪問してから。
 高レベル放射性廃棄物処理施設を視察。
 「もはや原発ゼロしかない」の腹を固めている。
 昨年は目立った動きはなかったが、今年は年初から全力投球の構え。
 安倍首相にはプレッシャーをかけている。
 「安倍首相では原発ゼロにはならない。賛同する党ならどことでも協力する」
 さらに声を高くし、
 「自民党は選挙で負ける」
 世論を巻き込み、「郵政民営化」を断行したときのように、国民の声をバックにし、大きな波を起こす考え。
 細川元首相を担いだ14年の東京都知事選は、舛添要一氏に116万票もの大差をつけられ惨敗しているが、「原発ゼロ」には強い自信と確信を持っている。

「食事会の顔ぶれ」

 暮れから正月にかけ、安倍晋三首相は滞在した東京・六本木のホテル「グランハイアット東京」を中心に、都内で食事を楽しんでいる。
 迎える新しい年へ向けての英気を食事で。
 出掛けたのはすし店「六禄」、中国料理店「CHINNAROOM」、ステーキハウス「オークドア」、日本料理店「京都瓢_赤坂店」などなど。
 食事には昭恵夫人が同席。
 大みそかに出かけた「オークドア」には母親の洋子さん、岸信夫自民党衆院議員ら親族が。
 そんな安倍首相の食事会で注目されるのは5日の東京・銀座のブルガリ銀座タワー内での会食。
 同席したのは国会議員でもなければ、財界人でもない。
 俳優の津川雅彦さん、木村佳乃さん、歌手の泉谷しげるさん。
 安倍首相は親しい芸能人との会食をよくしている。
 なかでも津川さんとは毎年必ず。
 昨年も安倍首相は津川さんと食事を楽しんでいる。
 津川さんは昨年暮れに体調を崩していたが、すっかり元気になっていた。
 この日、午前には自民党本部で仕事始めのあいさつ。
 午後には東京・紀尾井町のホテルニューオータニの宴会場「鶴の間」での経済3団体の新年祝賀パーティーであいさつ。
 メキシコのペニャニエト大統領とは電話会談を。
 そんなびっしりつまったスケジュールのあとに津川さん、木村さん、泉谷さんらとの会食。
 なんの話題で盛り上がったか。
 津川さん、泉谷さんは厳しい直言でも知られている。

「憧れられる日は来るか」

 正月早々、永田町の住人には、なんとも厳しく、そして寂しいランクが発表された。
 第一生命保険が発表した子供を対象にした「大人になったらなりたい職業」の調査結果だ。
 快挙を見せたのは「学者・博士」。
 昭和の時代、「学者・博士」は子供にとって憧れであり、目標だった。
 だが、平成に入ってからは人気がさっぱり。
 子供達の憧れではなくなってしまっていた。
 それが今年の調査で、男の子の「なりたい職業」のトップに。
 実に15年ぶりの1位返り咲きだ。
 そこには、近年の日本人学者、博士の頑張りがある。
 秋に発表されるノーベル賞。ここ数年というもの、毎年のように日本人ノーベル賞受賞者が続いている。
 これが子ども達にも「素晴らしいこと」と憧れの職業に。
 ちなみに男の子の2位は野球選手。子供の野球人口は減少傾向にあるが、それでもしっかりと「憧れ」られている。
 女の子の1位は「食べ物屋さん」で、2位は「看護師さん」。
 「食べ物屋さん」は21年連続のトップ。
 まさに不動といっていい人気だ。
 なんとも寂しいのは政治家。子供の「憧れ」ではなくなっている。
 国会議員に限らず、地方議員にいたるまで、なにかとメディアで取り上げられる問題の主人公に。
 この事実が、子供には「憧れ」の対象ではなくなってきている。
 その昔、政治家は「一番」の憧れだったのに。
 政治家のリーダー安倍晋三首相はこの現実をどう見ているか。

「台所は大変」

 今年も自民党の「1強」の永田町。
 「1強」になってから6年目に突入。
 この間、窮地に追い詰められていっている野党。
 昨年の正月より党の数が2つも増えた。
 民進党が分裂し希望の党と立憲民主党が誕生。
 「多党時代と聞こえはいいが、弱小政党ばかりに」
 永田町ではそんなことが言われている。
 窮地は野党各党の台所事情にそのまま表れている。
 選挙のたびに議席を減らした社民党は昨年に、党本部を中央区新川の賃貸ビルに移し、間借りしている。国会議事堂からは遠くなってしまった。
 かつては三宅坂の社会文化会館が党本部だったのだが。
 昨年10月の衆院選挙でも議席を増やすことができず、台所事情は厳しい。
 その厳しい台所に仲間入りしているのが民進党、希望の党。
 民進党の悲劇は分裂だけでは終わっていない。
 党からの離党者が相次いでいる。
 山尾志桜里衆院議員、蓮舫元代表までが離党、立憲民主党に移ってしまった。
 昨年の正月、民進党は衆参両院146人で正月を迎えたが、今年の正月は60人。
 今年の政党交付金は大幅減額確実に。
 党本部ビルはガラガラ。テナント料を節約が大きな問題になっている。
 これは小池百合子都知事の「排除」発言でしぼんでしまった希望の党も同じ。少なくなる政党交付金でのやりくりに悲鳴が上がっている。

「明治維新から150年」

 今年は明治維新から150年という節目の年。
 NHKの今年の大河ドラマは西郷隆盛を描いた「西郷どん」。
 西郷隆盛の出身地、鹿児島は熱くなっている。
 「西郷どんで、鹿児島ブームを」と。
 明治維新の立役者の一人、西郷隆盛の生きざまが1年間にわたって放映される。
 明治維新の立役者となると、これはもう山口県にズラリ。
 安倍晋三首相は7日、母親洋子さん、昭恵夫人を伴って地元の山口県長門市に入った。
 地元後援者へのあいさつと、父の故安倍晋太郎元外相の墓参りを。
 墓前で誓ったのは「選挙で約束したことを一つ一つ実行する」と。
 8日、下関市の山口県国際総合センターでの地元後援会の新年あいさつでは、さらに声を高くしていた。
 長州が生んだ偉人、吉田松陰の「栄辱によって初心に負(そむ)かんや」の言葉を引用。
 「この言葉を胸に刻んで一歩一歩前進していく」
 言葉のはしはしに9月の自民党総裁選を乗り切り、歴代最長の政権担当を担う自信が。
 これまでの自民党総裁選で最も多く勝利しているのは64年12月、66年12月、68年11月、70年10月と4度の佐藤栄作元首相。
 ついで中曽根康弘元首相、小泉純一郎元首相の3度。
 安倍首相も06年、12年、15年と3度。
 安倍首相がすべてにおいて目標にしている祖父の岸信介元首相は57年と59年の2度。すでに祖父を上まわっている。
 150年目という記念の年に4度目の勝利というドラマをつくるか。

「デューク東郷出動」

 政界きってのセレブ、麻生太郎副総理兼財務相。
 東京・渋谷の私邸は敷地面積2400平方メートル。愛飲するのはマッカラン、くゆらす葉巻はバルタガス。
 そんな麻生氏が自慢しているものがある。
 所持している漫画「ゴルゴ13」だ。
 大の漫画好きで知られており、その中でも「ゴルゴ13」にほれ込んでいる。
 「ゴルゴ13は全巻持っているよ。全巻持っているのは、そうはいないんじゃないか」
 主人はデューク東郷。
 今年も外務省はデューク東郷に「出動要請」を出した。
 2018年の世界。昨年にも増して緊張の度合いを増している。
 世界中、あらゆるところに日本企業は進出。
 このことから、いつどこでテロや犯罪に巻き込まれてしまうかわからない。出張、そして駐在している日本人ビジネスマンの安全をいかに確保するか。
 昨年3月、外務省はデューク東郷に出動してもらった。
 昨年は漫画として。今年も出動を要請し、しかも「動画」でさらにリアルに。
 デューク東郷は、世界情勢にも精通しており、危機管理、安全確保のスペシャリスト。
 外務省はデューク東郷の任務を拡大している。
 安全マニュアルを企業研修などでフルに活用してもらえるようにネットで公開。
 安倍晋三首相は正月明け早々に「日本の営業本部長」として外国に飛び出している。
 年明け最初の東京市場の終値は2万3000円台という26年ぶりの高値だった。

「政府専用機があれば」

 米トランプ大統領が飛び回るときに使用するのが大統領専用機「エアーフォースワン」。
 専用機は大統領だけのためだけではない。
 マイク・ペンス副大統領には「エアーフォースツウー」がある。
 日本の政府専用機を使用する国会議員はほぼ総理大臣。
 安倍首相はこの政府専用機で、正月早々、バルト3国などを訪問している。
 「専用機があればもっと飛びまわれるのだが」
 そんな声を上げているのが河野太郎外相。
 岸田文雄前外相は、外相在任中、ひんぱんに外国を巡っているが、河野外相も昨年9月に就任いらい外務省の大臣室に居ることが少ない。
 年明けてすぐの3日からパキスタン、スリランカ、モルディブを歴訪。
 6日に足を踏み入れたモルディブは日本の外相として河野外相が初めて。
 インド洋に浮かぶ約1200の島からなるモルディブの人口は約40万人。
 安倍首相がまわりきれない国にも足を伸ばす外相。
 タフでないと務まらない。永田町ではこんなことが言われている。
 「外相を2年やったら寿命が縮む」と。
 河野外相は「もっと世界を飛び回る必要がある」の考えから、「外相専用の飛行機があれば」の検討を明らかにしている。
 確か島しよ国を訪問するときは不便。民間航空を乗り継ぐことで、時間的にも厳しい。
 政府専用機は19年に米ボーイング社の777―300ERになる。
 現在のジャンボ747―400の老朽化で。
 だが、外相専用機の導入はまだ上がっていない。