中央政界特報

■平成30年1月18日(木) 第5342号

「政治特報」

 政権の座に復活し、6度目の正月を迎えた安倍晋三首相。「実行の1年」を強調し、外交、そして憲法改正に強い意欲を。

 4日、三重県伊勢市の伊勢神宮に参拝。
 12年12月26日に第2次政権を発足させてから、伊勢神宮参拝は6度目になる。
 参拝後の記者会見では今年の干支の「戌(いぬ)」にちなみ「感覚を研ぎ澄まし、声なき声にしっかり耳を傾ける」と。
 年末、年始、安倍首相は渋谷区・富ケ谷の自宅を出、東京・六本木のホテル「グランドハイアット東京」に宿泊。
 暮れの30日には神奈川県茅ケ崎市の「スリーハンドレッドクラブ」で昭恵夫人と納めのゴルフ。
 「富士山が見えて、1年の締めくくりには最高」と。
 年が新しくなった2日にはやはり「スリーハンドレッドクラブ」で御手洗富士夫経団連名誉会長らと初ゴルフを。
 初ゴルフの感想は、
 「富士山も見えて気持ちがいい。今年は何かよいことがありそう」
 昭恵夫人とは3日にグランドハイアット東京周辺を30分近く散歩。
 英気を養ったところで、5日、永田町の自民党本部での仕事始めに出席。
 年頭所感は、
 「約束した政策を進め、改革を進めていく」
 今後の主な政治日程は1月22日に通常国会召集。会期末は6月20日。
 3月25日に自民党大会。
 9月に自民党総裁選。
 秋から冬にかけて臨時国会召集。
 大きな山は三つある。通常国会と自民党総裁選、憲法改正発議。
 通常国会については「働き方国会」命名している。
 総裁選は安倍首相の「長期政権」がかかっている。
 ここで3選となれば2021年までの政権担当の道が開けてくる。
 総裁選に立候補がウワサされているのは岸田文雄政調会長、野田聖子総務相、河野太郎外相、石破茂元地方創生相。
 憲法改正の発議は、今年後半が考えられている。
 安倍首相の憲法改正への意欲は強い。
 「憲法の議論を深めていきたい」
 外交にも全力投球の構え。
 正月明け早々にエストニア、ラトビア、リトアニア、ブルガリア、セルビア、ルーマニアを訪問。
 いずれの国も日本の首相としては初めての訪問だ。

「永田町劇場の主役・岸田文雄自民党政調会長」

 自民党内には多くの派閥がある。
 群雄割拠といっていい。そんな派閥の中にあって、岸田文雄政調会長が率いる岸田派(宏池会)は保守本流の名門派閥。
 これまで派閥創設者の池田勇人元首相をはじめ大平正芳元首相、鈴木善幸元首相、宮沢喜一元首相と4人の首相を輩出してきている。
 派閥の背骨を成しているのは「ハト派」だ。
 「タカ派」が勢いを増している自民党内にあって、「ハト派」はややもすると「弱腰」とみられてしまいがち。
 永田町では「お公家集団」と揶揄されることも。
 だが、岸田氏は骨太だ。
 「ハト派」としてひとくくりされない。
 「宏池会」の後見人、古賀誠元幹事長が「集団的自衛権行使容認」に慎重なスタンスをとっても、必ずしも同調していない。
 独自の考え方で行動している。
 第二次安倍政権が発足した12年12月26日から、昨年9月まで外相として世界を飛び回ってきた。
 外国に「顔を知られている」ことでは安倍晋三首相にひけをとっていない。
 9月に行われる自民党総裁選。
 岸田氏は「ポスト安倍」の最有力候補にあがっている。
 国会議員として初当選したのは1993年。安倍首相とは当選同期だ。
 「ポスト安倍」候補の中で安倍首相が最も信頼を寄せている岸田氏の政権獲りの戦略は「禅譲」。
 政治資金は豊富だ。公表されている2016年の政治資金収支報告書によると、岸田氏は1億3000万円余。これは有力候補の中ではトップ。

「永田町劇場の主役・石破茂元地方創生相」

 宇宙へ。新しい年を迎え、また一歩、宇宙への夢が実現に近づいていく。
 海外では2024年から火星に移住する計画を実行に移す企業が。
 日本でも宇宙ベンチャー「アイスペース」が2020年の月面着陸を目指している。
 雄大な宇宙。石破氏はUFOは「存在する」が持論。
 防衛相時代、政府は「存在を確認していない」の答弁書を閣議決定したが、石破氏は「存在しないという断定できる根拠はない」と。
 そして「領空侵犯にはならないだろう。だが、なにを言っているかわからない場合はどうするか」とも。
 9月の自民党総裁選。安倍晋三首相が3選されれば、2021年まで政権担当の道が開けてくる。
 その次の政権担当者は誰になるか。
 石破氏は総裁選での勝利に強い自信を。
 その裏付けになっているのが全国各地での人気。
 12年の総裁選では地方議員票、党員票では安倍首相に勝っていた。
 すでに「ポスト安倍」へ向けて着々と動いている。
 母体となる自らの派閥「水月会」での結束固め。そして地方回り。
 「1強」の安倍首相に対しては厳しい政策批判の声を上げている。
 石破氏といえば「カレー」が有名。
 「軍事オタク」でも知られているが「カレーオタク」はその何倍も知られている。
 地元鳥取県の具材(大山地鶏、らっきょ、とっとり梨など)をしっかりと煮込んでいる。
 カレーと同じように、発言にもスパイスがきいてきている。

「永田町劇場の主役・野田聖子総務相」

 新しい年、2018年は野田聖子総務相にとって、「リベンジ」の年だ。
 「ポスト安倍」に名前があがっているのは野田総務相、岸田文雄自民党政調会長、石破茂元地方創生相、河野太郎外相。
 この4氏の中で、3選を狙う安倍晋三首相が一番警戒しているのが野田氏。
 野田氏には「日本で初の首相」という期待が国民の間にある。
 「日本で最初に女性で首相になるのは誰か」はかねてから永田町で言われてきている。
 これまで名前があがっているのは野田氏のほか田中真紀子氏、稲田朋美氏、小渕優子氏、そして小池百合子氏。
 小池氏は昨年、「希望の党」で衆院選に挑むなど、初の女性首相に「王手か」とまで言われていた。
 結果は小池旋風は失速。野田氏の存在があらためて浮き彫りになっている。
 リベンジは15年の総裁選に対して。
 野田氏は出馬に手を挙げ、党内議員に支持を強く訴えた。
 だが、最終的に20人の推薦人を確保できずに断念。安倍首相が無投票で再選された。
 あと1人、確保できれば20人になるところだった。
 「私の力不足」
 不出馬に追い込まれた胸の内をそう語っていた。
 このときの自民党の派閥は細田派、額賀派、岸田派、麻生派、二階派、石原派、山東派の7派だった。
 派閥の締め付けが厳しく、各派閥に所属する287人が、そして無派閥議員が安倍首相を支持。
 今年、野田氏は地元岐阜県に女性を対象にした「政治塾」を設立。「ポスト安倍」へ本気だ。

「永田町劇場の主役・枝野幸男立憲民主党代表」

 立憲民主党枝野幸男代表はカラオケが趣味だ。
 いったん、マイクを握るともう放さない。
 声には自信を持っている。もちろん、歌唱力にも自信を持っている。
 自信の裏付けは中学、高校時代に合唱団に属し、全国大会で優勝した実績からきている。
 レパートリーは広い。演歌からアイドルの歌まで。
 民主党幹事長として走りまわっていたときは坂本冬美の「また君に恋してる」をこぶしをきかして熱唱していた。
 昨年春の都議選前、民主党が大揺れのときは欅坂46の『不協和音』を。
 歌詞の内容が当時の民主党そのまま。枝野氏そのまま。
 立憲民主党を立ち上げ、衆院選で勝利。野党第1党の位置を占めたときにも「不協和音」を歌っている。
 乃木坂46の「インフルエンサー」もレパートリーの中に加えてきている。
 立憲民主党はモテモテだ。
 選挙で勝利したことで国民から大きな支持を得ている。
 それは立憲民主党公式ツイッターのフォロワー数が物凄い勢いで膨張していることでも明らか。
 自民党のフォロワー数を上まわっていることでこの人気は本物。
 民進党が「崩壊の危機」に直面している。
 民進党に離党届けを提出し、立憲民主党入りする議員が続いている。
 山尾志桜里氏が入党するや、すかさず民主党で代表を務めた蓮舫氏までもが枝野代表に入党届を。
 党としての合流は否定しているが個人に関しては「仲間として」受け入れている。

「永田町劇場の主役・小池百合子東京都知事」

 新しい年を迎えた小池百合子東京都知事。
 今年は、永田町からは距離を置き、都政に「全力投球」しなければならない年に。
 置かれている状況は厳しい。2020年東京オリンピック・パラリンピックまで1000日を切ってしまっている。
 暮れも押し詰まった昨年12月26日、小池知事は大会組織委員会会長の森喜朗元首相と会談した。
 開会式までに会場の整備は間に合うのか。
 「心配している」という森会長に、小池知事は「大丈夫」と言い切っている。
 昨年10月までの永田町の上空は「小池旋風」が吹きつづけた。
 16年8月に東京都知事に就任。17年春は率いる「都民ファーストの会」が大勝。
 その勢いで「希望の党」を率いて国政に。
 一時は「希望の党」人気が圧倒的で、安倍晋三首相も緊張したほど。
 だが、「排除」のひとことで風はピタリとやんでしまった。
 五輪施設に併せ、東京都民の台所、築地市場の豊洲移転の問題。
 小池知事は今年10月11日に「移転」と決定しているが、本当に「大丈夫」なのか。
 現状は――。
 昨年暮れの発表で豊洲市場の地下水から飲み水の環境基準の160倍に当たる有害物質ベンゼンが検出された。
 組織委員会が一番心配しているのは築地市場跡地の五輪輸送拠点。
 森会長は「都を信じたい」と。
 いまの小池知事は国政どころではない。都知事としての仕事が「待ったなし」だ。

「永田町劇場の主役・小沢一郎自由党代表」

 自由党代表として新しい年を迎えた小沢一郎氏。
 かつての小沢代表の新年は、それはもう喧噪状態だった。
 元日は東京都内の私邸での新年会。恒例の行事となっており、毎年多くの新年挨拶の客が。民主党時代には100人を超える議員が集まり、それこそ身動きとれないほど。
 その間を小沢氏はお酌をしてまわり、新年会は大変な盛り上がりを。
 そして新年会で小沢氏は新しい年の抱負を吠えた。
 うま年のときは「駄馬では終わらない」と。
 2018年を迎えた小沢氏の置かれている状況は寂しい。
 昨年10月の衆院選で17回目の当選を。
 だが、進めていた野党再編がならず、初めて無所属での立候補だった。
 これまで常に「永田町」で「主役」を張ってきている。
 89年8月に自民党幹事長に就任したときは、それこそ権勢の極みを。
 93年に自民党を離党したあとも「剛腕」をこれでもかとばかりに発揮。新党を立ち上げてはつぶし、また新党を。
 自らの手で細川内閣、羽田内閣、そして民主党内閣を興している。
 国会議員を含む1000人を引き連れ訪中したことも。
 小沢氏は1942年生まれ。
 「政治家魂」はこれまでと同じ。
 口を開くたびに「もう一度政権政党を作る」と。
 野党再編への意欲は強い。目ざしているのは「オリーブの木」だ。
 囲碁を趣味としており、その実力は国会議員で一番。
 「攻め」を得意としている。