中央政界特報

■平成29年12月21日(木) 第5338号

「政治特報」

 「ポスト安倍」へ自民党岸田文雄政調会長が動きだした。派閥横断の勉強会「外交政策研究会」を旗揚げ。

 「外交政策研究会」が旗揚げされたのは12月に入ってすぐの6日。
 岸田氏は自らが領袖の派閥「宏池政策研究会」を率いている。
 「外交政策研究会」はこれとは別の派閥にとらわれない勉強会。
 岸田氏は12年12月26日に第2次安倍政権が発足してから今年8月まで外相のポストに。
 4年8カ月におよび、これは戦後歴代2位。
 在任中に52カ国に飛び、140カ国以上の外相と会談している。
 勉強会を旗揚げしたことを、岸田氏は「あくまでも勉強会。貴重な経験を若い人に感じてもらいたい」と政局とのリンクを強く否定している。
 だが、ここにきての動きは明らかに安倍晋三首相後の政権の座を意識したもの。
 「ポスト安倍の1番手にいるということのアピールにほかならない」(永田町筋)
 旗揚げの会合に参加したのは衆参17人。岸田派の議員だけでなく、細田派、額賀派などからも出席している。
 「ポスト安倍」に候補として名前が上がっているのは岸田氏のほか野田聖子総務相、河野太郎外相、石破茂前地方創生相。
 勉強会が18年9月の自民党総裁選を視野に入れていることは勉強会の役員に表われている。
 4人の「ポスト安倍」の戦略はそれぞれ違う。石破氏、野田氏、河野氏は選挙での正面突破。
 その中でも石破氏は安倍首相に厳しい批判の声をぶつけている。
 岸田氏の戦略は「禅譲」だ。
 安倍首相を外相として支えてきており、「禅譲」に強い自信を。
 「禅譲」戦略をより確かなものにするよう、勉強会の幹事長は安倍首相の実弟、岸信夫衆院議員。
 「禅譲」が戦略だが、「言うべきことは言う」の姿勢も。
 安倍首相に対し「丁寧」を求め、安倍首相が力を入れている憲法改正にも「国民の理解を得るように」の苦言を。
 足場を着実に固めてきているが、そこには政治資金も。
 総務省が公表した2016年度の政治資金収支報告書にそのことは明らか。
 政治資金集めのパーティーは6回開き、4人の中ではトップの約1億4000万円余を。
 派閥の勢力は細田派、麻生派、額賀派についで4番目。10月の衆院選挙でもしっかりと45人をキープしている。

「五輪は大丈夫か」

 「東京オリンピック、パラリンパックは本当に大丈夫か」
 都民の間でそんな声が聞かれている。
 サラリーマンの街、JR新橋駅に近い飲み屋街。サラリーマンの間では築地市場移転問題、東京五輪開催問題が危惧されている。
 師走に入った12月1日、小池百合子都知事は新宿の都庁内にある都議会議場での都議会定例会で所信表明を。
 最初に「私自身の行動で多くの皆さまにご困惑、ご心配をおかけした」と謝罪。
 記者会見では「都政に専念する」と。
 だが、現状の小池知事は窮地に追い詰められていっている。
 知事としてのデビューはそれは華々しかった。 「改革」の声を高くし、今年の都議会選では自民党現職を大量に蹴落とし「都民ファーストの会」が圧勝。
 しかし、小池旋風は長続きはしなかった。
 衆院選挙に「希望の党」を旗揚げして臨んだが「排除」のひとことで
 風はピタリと止んでしまった。
 いま東京都には小池知事によって先送りされた難問が山積している。
 「入札改革」がまったく不調で、都は一部の入札を断念。特命随意契約への切り替えを検討している。
 豊洲市場ももろにあおりを受け、9件中、落札はわずか2件。このままいけば来年の開場には間にあわなくなってしまう。
 特命随意契約となれば「改革」とはまったく逆に。
 流行語大賞のトップテンに「都民ファースト」が入ったことに「私ではない」と言っているが。

「カチマス」

 草野球チーム「カチマス」が旗揚げされた。
 主将は前原誠司前民進党代表。
 前原氏は大の野球ファン。京都教育大付属高校で硬式野球部に所属し、3年のときはレギュラー捕手。京都大学でも体育会の野球部に所属。
 京都大野球部といえば4年前のドラフトでロッテに指名されて入団した田中英祐投手が有名。
 今年限りで田中投手は退団し、卒業時に内定していた住友商事に就職。来年から商社マンに。
 田中投手が活躍していた野球部で前原氏は投手だった。
 前原氏は国会議員になってからは地元のソフトボールチーム「バジャーズ」「山端クラブ」などに所属。
 京都生まれとあって、プロ野球では阪神タイガースの熱烈なファン。
 子供の頃、田淵幸一選手の体にタッチできたことを喜んでいる。
 「カチマス」の前進は前原氏が音頭をとり民進党時代の2016年に結成された「民進カチマス」がはじまり。
 12月5日、当時の「民進カチマス」のメンバーが国会内に集合し、新チーム「カチマス」として。
 メンバーは前原氏の所属している希望の党からだけでなく、民進党、立憲民主党からも。
 副主将は民進党の那谷屋正義参院国会対策委員長。マネジャーは無所属だが、立憲の衆院会派に属している山尾志桜里氏。
 衆院選直前に小池百合子東京都知事とのタッグに走った前原氏だが、結果は「逆風」にさらされることに。
 民進党、立憲民主党、希望の党による野球チームで「つながり確認」を目指しているが。

「伸びない支持率」

 希望の党が厳しい現状に直面している。
 各世論調査が発表されているが、支持率が落ち込んだまま。
 2パーセントが「やっと」といった状態だ。
 立憲民主党が15パーセントに届こうかという高い支持率を得ているのとは大違い。
 「希望の党に期待するか」の問いにも国民の多くは否定的。
 希望の党が結成されたのは今年9月25日。
 小池百合子東京都知事によって結成され、小池知事が代表に就任。
 3日後の9月28日に、民進党両院議員総会で希望の党への「合流」が決定。
 このときは「自民党の1強を倒す」のボルテージは頂点に。
 だが、その翌日に飛び出した小池知事の「排除」のひとことで、一転して逆風に。
 10月22日投票の衆院選では公示前の57議席を減らす50議席しか
獲得できなかった。
 11月10日に、玉木雄一郎衆院議員が代表に就任。小池知事は14日に代表辞任し特別顧問に。
 この間の動きを有権者は厳しい目で見ていたことに。それがそのまま伸びない支持率に表われてしまっている。
 「2パーセント前後の支持率から2桁の支持率にあげるのは容易なことではない」(永田町筋)
 12月5日、連合の中央委員会が開かれた。
 神津里季生会長が明らかにしたのは国会議員による政策勉強会「連合フォーラム」の立ち上げ。
 民進党、希望の党、立憲民主党と分裂してしまった民進党を再度「まとめたい」の考え。
 立憲民主党は慎重な構え。希望の党はどうする。

「パーティーは踊る」

 米トランプ大統領が来日の折り、宿泊したのは東京日比谷の帝国ホテル。
 来年、秋篠宮家の長女、眞子さまが挙式するのも帝国ホテル。
 ホテルオークラが2020年東京五輪へ向けて改装中とあって、帝国ホテルがクローズアップされている。
 そんな帝国ホテルをはじめ都心の主要ホテルではパーティーが花盛り。
 それも国会議員によるパーティーが。
 「会議は踊る」の向こうを張り、まさに「パーティーは踊る」といった感じだ。
 そのことは昨年、1年間のパーティーの開催数が裏付けている。
 安倍内閣の閣僚にかぎってみても24人の大臣のうち、17人が昨年1年間に56回のパーティーを開いている。
 パーティー券は1枚2万円。
 56回のパーティーで約7億円強の政治資金が集められた。
 閣僚以外の国会議員、それに派閥単位のパーティーも盛んに開かれた。
 安倍晋三首相も「朝食会」という名目で3回開いている。
 「ポスト安倍」を争っている岸田文雄党政調会長、野田聖子総務相、石破茂元地方創生相、河野太郎外相の中で、最もパーティー収入が多いのは岸田氏。1億円近い政治資金を集めている。
 資金力でいけば、「ポスト安倍」の1番手をガッチリとキープだ。
 希望の党の特別顧問でもある小池百合子東京都知事もパーティーを。
 政治団体「フォーラム・ユーカリ」の16年の収入総額は約4000万円。このうちの約3000万円はパーティーで集めたもの。

「強気いっぽう」

 立憲民主党枝野幸男代表が強気だ。
 10月の衆院選挙では55人が当選。野党第1党に。
 選挙戦の期間中、枝野代表は全国を1万3470キロも走りまわった。
 これは公明党山口那津男代表の1万5064キロにつぐ走行距離だ。
 その結果がそのまま55議席につながっている。
 希望の党の代表だった小池百合子東京都知事の「排除」のひとことによって誕生した立憲民主党。
 枝野代表自身、衆院選の直前までこういうことになるとは思ってもいなかったはず。
 いっぺんに野党第1党になったことで、あわてて東京・新橋の暫定事務所から、「本格的な論戦」にそなえ、党本部を開設したのは10月30日。
 国会議事堂から約600メートルほど離れた平河町のビルの1室。
 代表のデスク。そして代表の椅子に座り「前に進む」と声を高くしている。
 強気だ。その裏付けになっているのが各世論調査。野党の中で飛び抜けて高い支持率を得ている。15パーセントに届こうかと言う世論調査もあり、希望の党の7倍強。
 民進党、そして希望の党からは再合流のアプローチがかけられている。
 連合の神津里季生会長も「連合フォーラム」を立ち上げ、野党再結集の呼び掛けを。
 だが、枝野代表は「再合流はない」と拒否だ。
 そればかりか、来年の通常国会では参院でも「立憲民主党」の旗を立てること明らかにしている。
 立憲民主党の参院議員は福山哲郎氏ひとりだったが、ここにきて民進党からの入党者が続いている。

「ドンとしての足場固め」

 12月24日から29日の予定で自民党二階俊博幹事長は中国を訪問。
 年が押し詰まったなかでの訪中は自民党、公明党両党幹部と中国共産党幹部による「日中与党交流協議会」への出席のため。
 中国には12月になってすぐ公明党山口那津男代表が訪問しているが、「日中与党交流協議会」は二階幹事長が中心になっている。
 二階氏が幹事長の椅子に座ったのは昨年9月。
 あれから1年半もたっていないが、いま自民党を完全に手中に。
 幹事長は党の金庫のカギを握っており、選挙の公認権も握っている。
 その権力は絶対的。加えて、二階幹事長自身がパワーを持っている。
 質問には低い声でボソッと。
 この迫力には若手議員は、二階幹事長と目があっただけで緊張してしまう。
 幹事長に就任してからさらにパワーアップだ。
 二階派の勢力は増しており、それは集金力にも。
 総務省の発表による2016年政治資金収支報告書にそれはありあり。
 自民党派閥の中にあって「志帥会」(二階派)の集金力は際立っている。
 収入の多くはパーティーによるもの。
 二階幹事長の力はパーティー券の売れ行きが物語っている。
 昨年4月、千代田区のホテルニューオータニでのパーティーは大宴会場に入りきれなかった。
 1回のパーティーで約1億8000万円ほどの政治資金を集めている。
 二階派の派閥事務所は参院副議長公邸のすぐ近くの砂防会館。
 出入りする客の多いこと。