中央政界特報

■平成29年11月30日(木) 第5335号

「政治特報」

 希望の党代表の座を降りた小池百合子東京都知事。日本中を釘づけにした「小池劇場」は終幕か。それとも再上演はあるのか。

 代表辞任を発表したのは11月14日の希望の党両院議員総会。
 その前日の13日、「小池劇場」の終演を告げるような結果が明らかになった。
 開票された東京都葛飾区議選で「都民ファーストの会」は惨敗だった。
 定数40人に59人が立候補。
 「都民ファースト」からは5人出馬したが4人が落選。当選したのは1人だけ。
 渥美清さんの映画「寅さん」でおなじみの葛飾区の区民には「排除」の小池劇場は受け入れられなかった。
 つい4カ月前の都議会選では50人立候補し49人が当選したのに。
 いかに「小池ブーム」が失速したかは、都民ファーストの公認内定を辞退した女性候補が当選したことでも明らか。
 代表辞任を小池氏は「国政は国会議員にまかせる」と。
 衆院選には235人も擁立しながら、当選したのはわずか50人。
 それも旧民進党出身議員が大半。
 小池劇場が幕を開けたのは昨年の東京都知事選。
 ここで一気に劇場を満員にして、今年の都議会選では、劇場内に入りきれないほどに。
 そして迎えたクライマックスの衆院選。
 このとき永田町には「小池総理が誕生するかもしれない」といった声まで起こった。
 だが、ここで主役の小池氏の口から、想定されなかった「排除」のひと言が。
 これで舞台は暗転。
 小池氏の背中には厳しい声が。
 「裏切られた」「都合が悪くなっての逃亡だ」「失望した」などなど。
 自民党時代の小池氏とは関係のいい石破茂元地方創生相も言っている。
 「絶頂にいるときが一番危険なんだ。その通りになってしまった」
 これで本当に「小池劇場」は幕となってしまうのか。
 永田町では「再演はある」の見方がされているのも事実。
 これまでの小池氏の「したたかさ」が「再演あり」の根拠に。
 それに「クールビズ」を提唱し定着させているように、独創的な読みの深さも。
 だが、「再演」は、「専念する」としている都知事の仕事にかかっている。
 豊洲移転、東京五輪問題など、小池都知事になってから停滞してしまっている問題は多い。
 14日、「都民ファーストの会」として初めて開いた政治資金パーティーには2万円のパーティー券で1700人が出席している。

「支持率上昇」

 ダウンしてアップ。安倍内閣の支持率だ。
 東アジアサミットから安倍晋三首相が帰国したのは11月15日。
 ベトナム、フィリピンに滞在中、ロシアのプーチン大統領、中国の習近平国家主席をはじめ各国首脳との首脳会談。
 帰国したその日に東京・六本木の国際文化会館で開かれた「日本酒のお披露目会」に出席するなど、外遊の疲れはまったく感じさせない。
 元気印をアピールしている。
 その顔には余裕が。
 「羽田を政府専用機で出発する前にくらべ、生き生きとしている」(永田町筋)
 東アジアサミットに出席している間、各世論調査が発表されている。
 この世論調査の結果が安倍首相に余裕をもたらしたか。
 どの世論調査でも支持率はアップだ。
 衆院選挙前に比べ、5ポイント近くアップしている世論調査も。
 不支持率が下がり、支持率が不支持率を上まわっている。
 政党別支持率でも着実に上昇軌道に。
 支持率は一度ダウンすると、容易に回復させるのは難しい。
 政権在任中、高い支持率を維持していた小泉純一郎元首相も苦労した。
 「支持率は一度落ちたほうがいいんだ。頑張らなくてはという気になるから」
 そんな余裕をみせていたのに、下がったときは顔をひきつらせていた。
 それほど厳しい再浮上。
 安倍首相の支持率は「危険水域」といわれる30パーセント台にまで落ちていた。
 そこからの再浮上だけに、本物か。

「ジワリと勢力拡大」

 465人の衆院議院で79歳の伊吹文明氏、78歳の二階俊博氏に続き麻生太郎副総理兼財務相は77歳で年長議員3番目。
 今回の衆院選。野党からは「大義なき解散」と安倍晋三首相は攻撃された。
 永田町では麻生氏が「たきつけた解散」ともっぱらだ。
 追い込まれての解散はどうなるか。
 これは麻生氏が政権を担当したとき、身にしみて感じている。
 解散、総選挙で自民党はひきつづき「1強」を確保。
 だが、党内の派閥による勢力地図には変化が。
 最大派閥の細田派は94人から91人に。2番手の麻生派は58人で変わらず。以下額賀派は55人から50人、岸田派は46人から45人、二階派は45人から44人、石破派は20人で変わらず。石原派は14人から12人。
 選挙後、麻生派はジワリと勢力を拡大した。
 民主党政権で外相を務めていた松本剛明氏を11月7日に派閥に引き入れている。
松本氏は今回の選挙は自民党公認として兵庫11区から出馬して当選。
 松本氏を加えたことで麻生派は選挙直後より1人増えて59人に。
 3番目の額賀派との差を広げた。
 派閥拡大を続ける麻生氏。
 その狙いはどこにあるのか。
 昨年までは「まだまだ政権担当をあきらめていない。首相に返り咲く気」(永田町筋)といわれていたが、いま現在の狙いは「永田町のドン」としてのキングメーカーか。

「政治塾」

 野田聖子総務相が動きだした。
 11月7日の記者会見で動くことを明らかに。動きの内容は女性を対象にした政治塾の立ち上げ。
 ここにきて政治塾立ち上げのノロシをあげたのは「自民党内に女性候補の輩出ができていない」が理由。
 確かに野田氏のいうように、女性議員は少ない。
 安倍晋三首相は「女性が活躍する社会」を政策の目玉にしているが、足元からしてまだまだ。
 今回の衆院選での女性の立候補者は自民党25人、公明党5人、希望の党47人、共産党58人、立憲民主党19人、維新4人、社民党4人、こころ1人、諸派31人、無所属15人。
 このうち当選したのは自民22人、公明4人、希望2人、共産3人、立憲民主12人、維新1人、無所属3人。
 政治塾はまず地元の岐阜県で来年春にスタートする意向だ。
 野田氏が「女性政治塾」を立ち上げるのにはもうひとつの狙いがある。
 それは「総理大臣」の椅子を目指してのもの。
 9月25日に小池百合子東京都知事が臨時記者会見を開き「希望の党」の代表就任を発表。
 以来永田町は小池知事を中心に動き、「日本で最初の首相になるのではないか」といったことまでささやかれた。
 野田氏の「政権の座」狙いの意欲は強い。
 小学生の卒業作文にも「総理大臣になる」と書いている。
 まず自民党総裁にならなくては。総裁選は来年9月。安倍首相は3選に強い自信を。
 野田氏が対抗するためには存在感を強烈にアピールする必要がある。

「手ごわい国対委員長」

 「ソーリ、ソーリ」
 辻元清美氏は一躍これで有名になった。
 全国にその名が知られるようになった。
 時の小泉純一郎首相に「ソーリ、ソーリ」と激しく食い下がった。
 淡々と質問を受けていた小泉首相も、この「ソーリ、ソーリ」には思わずたじろいだほど。
 時は流れ、安倍晋三首相になってからも、辻元氏は国会審議の主役に。
 15年7月15日の衆院特別委員会。
 質問に立っていた辻元氏に安倍首相がヤジを飛ばした。
 「早く質問しろよ」
 このヤジで特別委員会は紛糾している。
 その辻元氏が、いま自民党の前に立ちはだかってきている。
 野党第1党の立憲民主党の国対委員長として。
 「最小の野党第一党」といった言われ方をされている立憲民主党だが、枝野幸男代表をはじめとして、その顔ぶれは手ごわい。
 辻元国対委員長も手ごわい一人。
 いかに手ごわいか。特別国会での質問時間をめぐって早速自民党とぶつかっている。
 野党の質問時間削減を求める自民党にひかない。
 市民活動から社民党の衆院議員になったのは96年。
 その後、秘書給与問題などで退いていたが、12年の選挙で復活。
 希望の党には「排除」されて立憲民主党に。
 与野党国対委員長の対決といえば、自民党大島理森氏(現衆院議長)と民主党山岡賢次氏のガチンコ勝負。国会名物になっていたほど。辻元氏と対する自民党国対委員長は森山裕氏。辻元氏がどこまで攻め込んでいくか。

「これからの立ち位置」

 つい1カ月ほど前まで、野党第1党の代表だったのに、いまや存在がすっかりかすんでしまっている前原誠司前民進党代表。
 衆院選前までは話題の中心だった。
 「自民党の1強を終わらせる」と、小池百合子東京都知事とタッグを。
 だが、これがすべて裏目になってしまった。
 いっぺんで「話題」の外に。
 衆院選には無所属で出馬。手堅く票を集めて当選している。
 現在の所属は希望の党だ。
 前原氏が希望の党に入ったのは11月6日。国会内で樽床伸二代表代行に会い、入党届を提出。
 それこそひっそりと入っており、永田町でもまったく話題にもなっていない。
 野党第1党の前代表としては、なんとも寂しい。だが、これが現実なのだ。
 希望の党の代表は玉木雄一郎氏。
 小池百合子都知事が共同代表の座を降りたことで、玉木代表がすべての実権を。
 玉木執行部は大島敦代表代行をはじめ、古川元久幹事長、長島昭久政調会長ら。
 玉木代表は自身に近い人選で固めている。
 執行部にも前原氏の名前はない。
 立党にかかわった細野豪志氏が憲法調査会会長に就いているのとは大きな違い。
 今年9月の民進党代表選。このとき代表の座を争ったのは枝野幸男氏。
 枝野氏は立憲民主党を立ち上げ代表に。前原氏は取り残されている。
 永田町ではすっかり話題にならなくなってしまっている。
 「一兵卒として党を支えていきたい。」と。

「大串氏と14人の仲間」

 玉木雄一郎代表、大島敦代表代行、古川元久幹事長、長島昭久政調会長、大西健介選挙対策委員長、泉健太国会対策委員長、細野豪志憲法調査会会長、松沢成文参院議員団代表でスタートした希望の党執行部。
 代表の座を辞任した小池百合子東京都知事は「私はサポートしていく。国会議員団に委ねる」とエールを送り、玉木代表は「よちよち歩きだが、これからが勝負。全員野球でやっていく」を強調。
 憲法論議の責任者となった細野氏は「いい人事だ」と。
 だが、この人事に永田町では「一波乱は避けられない」の見方が。
 玉木代表と代表選を争った大串博志氏は、役職のどこにも入っていない。
 11月10日に行われた代表選。党所属国会議員53人が投票し、玉木氏が39票、大串氏が14票。
 投票前「玉木氏を勝ち過ぎさせてはいけない。大串氏に恥じをかかせてはいけない」といったことがささやかれていたが、大串氏の14票に、希望の党の現状がはっきりと表われている。
 玉木代表と大串氏のスタンスはまったく相反している。
 玉木代表は憲法改正論議推進の考え。
 大串氏は「憲法9条の改正は必要ない」だ。
 大串氏は65年8月31日、佐賀県生まれの52歳。東大法学部を卒業し、大蔵省に。国会議員になったのは「日本を再生したい」の思いから。座右の銘は「志」。
 大串氏が今後、どういった動きに出てくるか。
 「離党」については強く否定しているが、大串氏と14人の仲間の動きから目が離せない。