中央政界特報

■平成29年11月23日(木) 第5334号

「政治特報」

 民進党から分裂した立憲民主党、希望の党、無所属の会、そして民進党。4党の代表も顔ぶれが揃った。今後の動きは。

 衆院選によって民進党は分裂。
 これまでは民進党として一つだったのが民進党、立憲民主党、希望の党、無所属の会、と4つに。
 代表もこれまでは民進党の1人だったのが3人増えて4人に。
 その顔ぶれも大きく変わった。
 民進党は大塚耕平氏、立憲民主党は枝野幸男氏、希望の党は玉木雄一郎氏、無所属の会は岡田克也氏。
 このうち、代表の経験があるのは岡田氏ひとり。
 知名度もある。民主党時代に代表を務めており、民主党政権では副総理、外務大臣の要職を。
 その性格は「原理主義」といわれているほど。趣味はカエルの置物を集めること。それにスポーツクラブで体を鍛えることも。バッグの中にはトレーニングウエアとシューズがはいっている。
 枝野氏の知名度も高い。東日本大震災のときは官房長官として、連日連夜、記者会見に。
 「枝野寝れ」の声が国民の間に起こったほど。
 カラオケが得意で、大のアイドルファンでもある。
 岡田氏、枝野氏にひきかえ、ほとんど知られていないのが大塚氏と玉木氏。
 玉木氏は16年の民進党代表選に出馬したことで名前と顔が永田町でも「一致」されるようになったが、岡田氏、枝野氏のようにはなっていない。
 「あの人はFOW」とまったくの無名なのは大塚氏。これは本人が言っている。
 「大塚って、誰でしょう、といったところではないですか」
 代表就任も自己紹介から入っている。
 分裂してしまった現状について、4代表の主張はそれぞれ違っている。
 岡田代表は、
 「政府をチェックする機能を果たしていきたい。立憲、希望とは連携する結節点になっていく。いきなり希望から立憲には行きにくい人もいるだろう。その人たちの受け皿になる」
 枝野代表が前面に押し出しているのは、
 「早晩に数合わせには乗らない。そういったことで誤解されれば、期待はあっという間になくなってしまう」
 玉木代表が明らかにしているのは、
 「自分たちのカラーを出していく。連携できるところとはしていく」
 大塚代表は
 「立憲、希望とは徐々に信頼関係を構築していきたい」
 特別国会は11月17日の安倍晋三首相の所信表明演説で本格的な国会審議に突入している。
 立憲民主党、希望の党、無所属の会、民進党、そしてそれぞれの代表の動きはどうなるか。注目される。

「ビースト」

 2泊3日で秋の日本を訪れたドナルド・トランプ米大統領。
 大統領専用機「エアーフォースワン」(空軍1号機)で横田基地に。このときのエアーフォースワンはいつもと同じ2機で。
 トランプ大統領が搭乗していたのは2機目。1機目の着陸の30分ほど後に。
 そのまま濃緑色の大統領専用ヘリコプター「マリーンワン」(海兵隊1号)で埼玉県川越市の霞ヶ関カンツリー倶楽部に。
 宿泊したのは皇居に面した日比谷の帝国ホテル。
 2泊3日の滞在中、銀座の鉄板焼き店「銀座うかい亭」、首脳会談が行われた赤坂の迎賓館と、東京の街を。
 このときの大統領専用車を中心にした車列は。29台。
 白バイ、警視庁パトカーに先導された車列の中央に「ビースト」(野獣)と呼ばれる2台の大統領専用車。
 ビーストは8〜10台あり、日本に運びこまれたのは2台。
 トランプ大統領が乗車していたのは2台目のほう。
 まさに「野獣」そのもので「窓のある戦車」ともいわれている。
 ゼネラル・モーターズの「キャデラック」がベースに。
 ドアの厚さは20センチ、窓も13センチの厚さがある防弾ガラス。車体はアルミ、チタン、セラミックなどの素材で、ロケット弾にもびくともしない。長さは5・49メートル、重さは9トン。車内には衛星電話、大統領の血液、酸素供給装置、さらには機関銃も。化学兵器も遮断できる完全密閉。
 安倍晋三首相は「夕食会」のときに同乗。

「安倍流おもてなし」

 2020年東京オリンピック誘致の決め手になったのは滝川クリステルさんの「お・も・て・な・し」。これがIOC委員のハートをつかんだ。
 2泊3日で首都東京をかけめぐったドナルド・トランプ米大統領に対しても最大級の「おもてなし」が。
 安倍晋三首相による「安倍流おもてなし」の極意が発揮された。
 「おもてなし」はまずゴルフで。
 埼玉県川越市の霞ヶ関カンツリー倶楽部で、プロゴルファー松山英樹選手をまじえて。
 トランプ大統領が米軍横田基地に到着したとき、安倍首相は首相官邸で記者団にかこまれていた。
 到着するや、首相官邸屋上から陸上自衛隊ヘリコプターで霞ヶ関カンツリークラブに。
 「すばらしい日だ」と言うトランプ大統領に「最高の天気ですね」と。
 プレーは90分で9ホール。
 昼食は大統領の好物のハンバーガー。
 「DONALD&SHINZOALLIANCEEVENGREATER」(ドナルドと晋三、同盟をより偉大に)と金糸でししゅうした白い帽子をプレゼント。
 夕食会はメラニア夫人、昭恵夫人をまじえて東京銀座の鉄板焼き店「銀座うかい亭」で。
 宿舎の帝国ホテルまで迎えに出、大統領専用車に同乗して。
 半円形のテーブルに安倍首相、トランプ大統領、メラニア夫人、昭恵夫人の形に横一列。
 話がしやすいようにと安倍首相の注文で。
 料理は和牛、アワビの鉄板焼き。締めはチョコレートパフェ。
 晩餐会にはピコ太郎も出席している。

「ファーストレディー外交」

 安倍晋三首相夫人、昭恵さんが久しぶりに表舞台で存在感を発揮した。
 ドナルド・トランプ米大統領のメラニア夫人に、2泊3日の滞在中、そばに寄り添ってのファーストレディー外交。
 東京・銀座の宝飾店「ミキモト本店」、東京・中央区の京橋築地小学校、銀座の鉄板焼き店「銀座うかい亭」での夕食会、迎賓館での晩餐会。
 昭恵夫人はメラニアさんの横に。
 服装もそのつどメラニアさんに合わせるように、地味にしていた。
 メラニアさんとは、今年2月に訪米したとき以来の再会。
 メラニアさんは1970年4月26日、旧ユーゴスラビア(現スロベニア)生まれの47歳。
 米国には96年のユーゴ内戦のときに渡ってきている。01年に米国の永住権を取得。
 トランプ大統領と結婚したのは05年1月。06年にバロン君を出産している。
 アメリカに来る以前はスロベニアでモデルをしていた。180センチの長身で、スラリとした美人。トランプ大統領にとっては3人目の妻だ。
 来日中も、つねにトランプ大統領の一歩あとに。つつましやかな一面をみせていた。
 昭恵夫人は初等科から聖心女学院。同専門学校を卒業して電通に入社。父親は森永製菓の元社長、松崎昭雄氏。
 安倍首相とは上司の紹介で知りあった。このとき22歳。3年後の1987年6月に結婚。
 山口県のFM放送局でパーソナリティーも。14年には東京・神田に料理店「UZU〜うず」を開店と活発だ。60歳。

「ほぼ独占」

 衆院選で大勝した自民党。
 狙い通り、衆院の常任委員長と特別委員長のポストをほぼ独占している。
 国会審議で常任委員長、特別委員長が占める位置は大きい。
 「審議の進行などが大きく左右されてくる」(永田町筋)
 常任委員長で自民党以外の政党から就任しているのは総務委員長の公明党古屋範子氏、決算行政監視委員長の立憲民主党荒井聡氏、懲罰委員長の希望の党中山成彬氏。
 特別委員長では沖縄・北方委員長に立憲民主党横光克彦氏が就任しているだけ。
 常任委員長の中でも、とびきり注目度の高い予算委員長には自民党にあっても長老の河村建夫氏。
 15ある常任委員長で予算委員長はまさに花形。
 各党、国会議員も「予算委員会」に入ることを目指している。
 予算委員会であつかう審議は多岐にわたっている。しかもNHKのテレビ中継が入る。
 その予算委員会を仕切る委員長。花形の中の花形だ。
 就任した河村氏は1942年11月10日、山口県萩市生まれ。慶応大学商学部卒業。政治の世界に入ったのは県議から。
 山口県議に連続4期当選。国政に出たのは90年の衆院選。 
 自民党きっての「文教通」で、これまでの経歴にもそのことは表われている。小渕第2次改造内閣で文部政務次官、第2次森改造内閣で文部科学副大臣、小泉改造内閣で文部科学副大臣、小泉第2次改造内閣で文部科学大臣。麻生内閣で官房長官。
 花の予算委員会をどう仕切ってくるか。

「支持率」

 安倍晋三首相が追い風に乗ってきている。
 衆院選挙での大勝。永田町の一部には「野党の自滅によるもの」といった声もあるが、圧勝だったのは確か。
 トランプ米大統領からも「偉大な勝利」と持ち上げられている。
 選挙前は「70議席ほど失うのではないか」とまで言われていたが、284議席を確保。
 自民党内にささやかれはじめていた「ポスト安倍」のざわめきを押さえ込んでしまった。
 あわせるように各世論調査で、安倍内閣の支持率は上昇軌道に。
 選挙前に比べ、5ポイント前後アップしている。
 なかには50パーセント台を上回る世論調査も。
 「支持率でも安定した状態になってきている」(永田町筋)
 加えて追い風も。
 トランプ米大統領の来日。
 ゴルフ外交ができたのも安倍首相ならでは。
 トランプ大統領とは今回で5度目の首脳会談を。電話では話し合ったのはすでに16回にもなる。
 世界の首脳では飛び抜けた多さだ。ちなみに2番目はイギリスのメイ首相で13回、3番はドイツのメルケル首相で11回。中国の習近平主席は8回。
 安倍首相の支持率で注目されるのは若い世代の「支持」が多いこと。
 そのことは多くの若い世代が衆院選で自民党に投票していることにあらわれている。
 一時、安倍内閣の支持率は政権維持で「危険水域」といわれている40パーセントを大きく割り込み、30パーセントを切った世論調査も。
 風は向い風から追い風に。

「民進党代表」

 希望の党代表に就任の玉木雄一郎氏。
 衆院選挙前に旗揚げされた希望の党。
 投票直前までは話題の中心だった。
 「政権を取るのではないか」(永田町筋)とまで言われ、安倍晋三首相も緊張していた。
 だが、「排除」のひとことで風向きが変わり、選挙では結局は50議席しか獲得できずじまい。
 玉木氏が代表の座に座ったのは11月10日。国会にやっと間に合った駆け込みで。
 玉木代表の顔には笑いはない。代表に就任したという高揚感もない。
 まず最初に口をついて出たのが「党内一致結束」。
 党内を固めることからの出発となっている。
 国会議員による投票で39票を獲得したが、対立候補の大串博志氏にも14票が。
 ここに、希望の党の不安が。永田町でははやくも先行きを危ぶむささやきがされている。
 「分裂するのは避けられないのではないか」
 玉木氏は小池百合子東京都知事と同じ方向を向いているが、大串氏は立憲民進党との連携のスタンスで安保関連法反対だ。
 玉木代表は1969年5月1日香川県生まれ。東京大学法学部を卒業し、大蔵省に。ハーバード大学大学院に留学。外務省に出向。内閣府特命担当大臣秘書専門官を経て国会議員に。05年の選挙は次点に終わったが、2度目の挑戦の09年の選挙で初当選。
 16年には民進党代表選に出馬したが蓮舫氏に敗れている。
 代表を辞任した小池氏が「若い人」と言っているように48歳。
 波乱を感じさせる党をどうまとめていくか。